開業134年目の節目となった2024年11月3日、帝国ホテルはオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL(アナザー インペリアルホテル)」を立ち上げた。
開業時の商品は37ブランド・約100アイテムを数え、そのすべてをアンバサダーに就任したシェフやソムリエ、バーテンダーをはじめとする経験豊かなホテルスタッフがセレクト。日本各地の生産者やつくり手が抱える課題へ手を差し伸べるなどして、帝国ホテルにしかできない新しい地域共創の形を目指すという。
この名門の地位に甘んじることのない進取の姿勢に、DIME編集部は感銘。オリジナル商品の共同開発プロジェクトがスタートした。
左から)安田典人(DIME編集室長)、ヒャダインさん(音楽クリエイター)、山田 遊さん(method代表・バイヤー)、鳥海高太朗さん(航空・旅行アナリスト)
【ANoTHER IMPERIAL HOTEL × DIME】コラボ商品の開発プロジェクトが始動!【PR】
帝国ホテルは、新規事業としてオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL(アナザー インペリアルホテル)」をローンチした。開業記念日である11...
第1回企画会議で取りまとめられたオリジナル商品の主な特徴は次の5つ。
1/ランチ付きの体験型プランであること
2/2031年度に解体着工を予定している帝国ホテル 東京本館を舞台にすること
3/スイートルーム『フランク・ロイド・ライト® スイート』など文化的価値のある施設を活用すること
4/『アナザー インペリアルホテル』のアンバサダーとの交流をとおして、ビジネスパーソンの学び直しに寄与すること
5/『アナザー インペリアルホテル』商品の魅力を伝えるプレゼンテーションの場になること
第2回企画会議では、有識者3名が〝世界を魅了するレガシーのひとつである〟と断言した、名門・帝国ホテルを名門たらしめるアンバサダー(ホテルスタッフ)が持つ一流の技術に着目。いよいよDIMEがプロデュースする体験型プランの全容が見えてきた。
ついに開業!〝おいしい〟の次元を超えたお茶が登場
帝国ホテル・広報課 山田純平さん(以下、帝国・山田)「今回の会議は『アナザー インペリアルホテル』開業直後のタイミングですから、本題に入る前にですね、まずはリリースした商品をご賞味ください」
ヒャダインさん(以下、ヒャダイン)「お気遣いありがとうございます。お茶はオールドインペリアルバーの井戸副支配人が、アンバサダーとなって各メーカーと共同開発した商品でしたよね」
帝国・山田「はい。ワイングラスに注いでお出ししたお茶は、IBUKI bottled tea『オリジナルボトリングティー UTSUROI 730ml』(1万2960円)でございます」
鳥海高太朗さん(以下、鳥海)「その商品はとても気になっていて、会議のあと、商品紹介ページを何度も熟読しましたよ。『UTSUROI』は常温でいただくんですよね」
帝国・山田「そうですね。味わいや香り、色がゆっくりと変化いたしますので、空気を含ませながらお飲みいただくのがよろしいかなと思います」
ヒャダイン「『UTSUROI』は香りが深いですね。常温でこれだけ香りが甘いというのは、本当に素晴らしいですよ。旨味もとにかくすごい。丁寧に淹れてもらったお茶に近い味わいを感じますね」
鳥海「そうですね。これも商品紹介ページからの受け売りですけど、この舌にまとわりつくモッタリとした余韻は出汁のよう。やっぱり〝おいしい〟の次元が頭ひとつ飛び抜けているんだよな」
DIME安田(以下、安田)「風味などの移ろいを味わう食中酒としての楽しみ方は、ワインに通じるものを感じますが、かといって、ガバガバとグラスを煽るのは似合わない」
鳥海「だからやっぱり、この価値をわかっていただける方に贈らないといけませんね。もしくはお酒が苦手な方。こういうお茶もあるんだ、と喜んでもらえるはずですよ」
鳥海「これは食レポの難しいパターンだ(笑)。ただ正直な話、『UTSUROI』『MONAKA』のような‶会話がなくなるおいしさ〟を口にしたのは本当に久しぶりで。今回の会議に向けてモール上で商品の魅力を伝える方法を考えてきましたけど、やはり体験に勝るものはないですね。おかげさまで、体験型プランの落としどころが見えてきたような気がします」
体験プランの目玉はブッチャーと味わい深めるお肉ランチか
帝国・山田「やや駆け足になりましたが、お肉の管理をするブッチャー、ランドリーサービス、茶室『東光案』、神前挙式用の神殿を見学していただきました。特にブッチャーやランドリーというのは、たびたび取材依頼をいただくセクションではあるのですが、いかがでしたでしょうか。日々接している私たちでは、得られない感動を受けていらっしゃるようにお見受けしました」
ヒャダイン「おもしろかったです! 僕はブッチャーシェフの村野哲司さんに初めてお会いしましたが、お話は上手ですし、エピソードのどこを切り取っても〝興味深い〟の連続でしたね」
鳥海「〝帝国ホテルの伝統と格式は、細分化されたサービスの上に成り立っている〟というフレーズをたびたび耳にしますけど、まさかお肉のスペシャリストまで養成しているなんて、一般人の我々には考えが及ばないじゃないですか?」
安田「話を聞くと、どうやら帝国ホテルは専任のブッチャーセクションを置く日本唯一のホテルだそうですね。しかも、村野さんの新卒入社以降のキャリアはお肉一色だとか」
帝国・山田「ホテルの調理人は、新卒入社から定年まで、40年ほど務め上げるのが一般的。そのうち約20年間はホテル内のレストランや宴会場など各セクションを経験し、その後、ブッチャーシェフへ就任した従業員は、残りの20年間をお肉に捧げます。村野はその典型です。最初の配属先もブッチャーでしたから、そういう意味では、筋金入りと呼べるかもしれませんね(笑)」
鳥海「前回の会議で、ブッチャーシェフによる講習付きのお肉ランチ案が挙がりましたよね。実現可能性は高そうでしょうか?」
帝国・山田「確度は高いと考えています。具体的な内容について村野と詰めているところでして、体験型プランの核になりそうだなと」
鳥海「お肉を熟成させるエイジングルームの見学は難しいですよね。今回初めて入らせていただきましたけど、あの見た目のインパクトたるや」
ヒャダイン「確かに。エイジングルームでの体験は、超AAA級のコンテンツだと思うんですよね。とはいえ、食の安全性や実際に働いていらっしゃる方々を袖にして、アミューズメント化するのはハードルが高いでしょう」
安田「塊肉を持ち出して解説することは可能なものでしょうか?」
帝国・山田「お肉のおいしさへのこだわりを深堀りできる質疑応答だけでなく、せっかくですから実物を見せながら〝食べ頃の塊肉はこちらです〟とブッチャーシェフ自らプレゼンできる時間を設けることができれば、特別感はさらに高まりますよね」
〝宿泊者限定〟の掟を破る前人未踏の体験を!
鳥海「これは僕の想像ですけど、今回の体験型プランは、建築視点で帝国ホテルの歴史を巡る探訪パート、茶室などの施設や働く現場の見学・利用パート、最後に食事という3段構えになると思っていて」
帝国・山田「そうですね。ロビーでご覧にいただけます『光の壁』『ゴールデンローズ』という名前の付いたシャンデリアですとか、誰でも立ち寄れるスペースから入りまして、
本日みなさまをお連れいたしました、1970年の現本館開業当時からある茶室「東光庵」、
あるいは、伊邪那岐大神と伊邪那美大神を祀る多賀大社から分祀した神殿。こちらは着付けから披露宴までをひとつの施設内で結婚式を執り行なう〝ホテルウエディング〟の先駆けになった施設を見学いただくのが、よろしいかなと思っています」
安田「やはり2031年度から建て替えへ突入するわけですからね。現存する空間、景色を堪能することに価値が生まれる。こういった建築方面から帝国ホテルの魅力を掘り下げる取り組みは過去にも実施していましたよね」
帝国・山田「過去には東京建築祭の特別見学、旅行会社さんが企画したガイドツアーを行なったことがあります。ただ、これまでの取り組みで、調理場やランドリーの現場まで足を踏み入れることはありませんでした」
ヒャダイン「無理を承知で提案しますけれど、我々としては、どうにかしてそこへ踏み込みたいですよね。それがホテルと一緒に企画することの意義ですし、ブッチャーは難しいとしても、ランドリーを見学できるのであれば、ぜひ一般の方にも染み抜きの実演を見てほしい。感動ですよ。僕なんて溜息の連続でしたから」
安田「帝国ホテルのランドリーサービスは有名ですから、サービスの存在自体は昔から知っていたじゃないですか。しかも、ランドリーサービスを活用するためだけに帝国ホテルに宿泊するお客様もいるくらい絶大な信頼を集めていますよね。そういった逸話はいくも耳にしてきましたけど、実際に現場を見るまでは使おうとは思わなかったですから」
鳥海「もちろん、宿泊者向きのサービスだからという大前提があるわけですが、ランドリーサービスを内製化しているホテルが希少であること、そして何よりも、あの完璧な染み抜きを市販の洗剤だけで実現していたという驚愕の事実! これぞレガシーだなと感じましたし、ヒャダインさんがおっしゃったように、我々の理想としてはどうにかして鉄の掟を破りたい。たとえば、持参した衣料品の染み抜きを目の前で、特別に実演してもらえるというのはどうですか?」
帝国・山田「そうですね。超特急で仕上げるエキスプレスサービスを活用すれば、16時頃にスタートして、ランドリー見学、碾茶、鉄板焼『嘉門』でお食事を済ませ、お帰りの際に洗濯した衣類を受け取るという3時間プランは可能だと思います。問題は、本来宿泊者向けのサービスであるランドリーを商品化するかどうかですね」
ヒャダイン「難しいところですよね。ちょっと手間はかかりますが、オンラインミーティングツールでランドリー職人の石井英邦さんとコミュニケーションをとりながら染み抜きの実演を視聴するか、あるいは染み抜きを実演したmp4動画を後日プレゼントするのはいかがですか?」
鳥海「あ、それはおもしろいですね(笑)。ちなみに、今回の体験プランの枠はどのように想定しているのでしょうか」
帝国・山田「内容と日程次第ではあるので、正確にはお伝えできませんが、おそらく2枠各5名様限定、4~5万円前後の価格設定になるだろうと推測しています」
鳥海「その2枠は同じ内容ですよね。ホテル側の都合はあるでしょうから、ブッチャーとランドリー、どちらがプランのメインになるのかは、次回をお楽しみといったところですかね」
帝国・山田「ぜひご期待ください(笑)。ひとまず、本館17階にあります鉄板焼『嘉門』の個室で、お肉をメインに、『アナザー インペリアルホテル』の商品を体験するというお食事パートは固めてしまってよいかと感じました。お食事のメニューを含めまして、それ以外の体験内容につきましては、サンプルツアーとしてパッケージしたものを準備いたします」
安田「ありがとうございます。そこでみなさまにプランを実際に体験いただきまして、承認を得られたら商品化するという流れでいきましょう。次回もよろしくお願いいたします」
■関連情報
ANoTHER IMPERIAL HOTEL
ANoTHER IMPERIAL HOTEL 公式Instagram
文/DIME編集部 撮影/長谷川靖哲