GfK/NIQ Japanは、全国の家電量販約4000店の販売実績データ等を基に、近年防災用品としても注目を集めるポータブル電源の販売動向について発表した(※1)。
※ 全国の家電量販店約4000店の販売実績を集計した調査に基づく
家電量販店での販売数量は前年の約2倍に
日本は地震や台風などの自然災害が多く、その影響で停電が発生するケースも多い。このような非常時にスマートフォンや家電製品に給電できるポータブル電源の需要が高まっている。
実際、家電量販店における2024年4~11月の販売数量は前年同期比90%増と、約2倍に成長した。
ポータブル電源の用途は多岐にわたっている。
災害時の電源確保だけでなく、屋外での利用にも対応しているため、アウトドアでの調理や娯楽機器の給電なども可能だ。近年では軽量、デザイン性に優れた製品も増え、製品のラインアップも充実してきた。
ソーラーパネルと組み合わせれば、コンセントのない場所でも発電、蓄電できるため、長期キャンプにも利用できる。そのためソーラーパネルとのセット販売を行なうメーカーも増えている。
さらに、ポータブル電源は節電ツールとしての活用方法もある。電気料金が安い夜間帯に充電して昼間に給電を行なうことで、光熱費削減をサポートするのだ。
このように活用のバリエーションが広がってきている。
性能面では1000Wh以上の大容量製品が販売を伸ばしており、2024年4-11月では数量構成比35%を占めた。また、9割以上の製品がUSBタイプCポートを搭載するなど、利便性も向上している。
■法人市場での需要拡大も期待
今回の調査結果を受けてGfK/NIQの黒田雅久 シニアアナリストは、「ポータブル電源は個人利用だけでなく、今後は法人市場においても需要が高まっていくことが予想される」と分析している。
災害時の事業継続計画(BCP)の一環で、非常用電源としての採用が進むと考えられるからだ。介護業界では既にBCPの策定が2024年4月より義務化されている。
ポータブル電源は、法人が停電時に事業を継続するための有用な選択肢の一つとなるだろう。
このように災害対策からアウトドア、節電、BCP対策まで、あらゆる場面においてポータブル電源は活躍の場を広げており、今後より一層の普及が見込まれる。
関連情報
https://nielseniq.com/global/jp/news-center/2024/1219-csm/
構成/清水眞希