「ホンダN BOX」を例に挙げると
スーパーハイト系軽自動車、ホンダN BOXを例に挙げれば、後席を最前端位置にスライドすると実質奥行きは525mmまで拡大する。まさに魔法のパッケージと言っていいだろう。
そして、N BOXは後席をフラットに倒した時の(やや角度はつく)フロア奥行きがステーションワゴンも真っ青な1270mmにも達するのだから、大容量ミニワゴンと呼べるほどである(スズキ・スペーシアも同520mm、1270mm)。とくにスペーシアとN BOX JOYは後席格納時のフラット度で群を抜いている。
何しろ、スーパーハイト系軽自動車のほとんどが、後席格納状態でママチャリまたは子供用自転車を積み込めるように設計されていて、これはさすがにステーションワゴン、SUVでも難しい積載例と言える。スペーシアはラゲッジルームの開口部に自転車用のガイドが2か所あり、ラゲッジルームの開口部地上高そのものは535mmなのだが、そこだけ510mmに低まっていて、自転車をより積みやすく工夫されていたりするから親切だ。
ところで、三菱デリカミニで愛犬とともにドライブ旅行に出掛けた際のエピソードを披露させてもらうと、わが家では愛犬とのドライブ旅行にペットカートを持参するようにしている。
一体折り畳み式の場合、畳んだ時の全長は約1m。しかし、デリカミニのラゲッジルームのフロア幅は885mmでしかない(N BOX900mm、タント875mm、スペーシア890mm)。ペットカートはその上に重い荷物を置くことができず、斜めに積むと荷物の積載効率がドーンと落ちるため、ラゲッジルームに真横に積む必要がある。フロア幅が890mmで、畳んだペットカートの全長が1mだから、これは諦めるしかなさそうである。だから、最初はペットカートでもコットと本体が分離するタイプを持っていくことにしたのだ。
が、実際には一体折り畳み型ペットカートをしっかりと真横に積み込めたのである。これは予期せず偶然に可能になった話で、具体的には、後席を前寄りにスライドさせたことで、拡大したラゲッジルームのフロア前端付近がリヤドア後端部分になり、リヤドア側の凹んだところの幅が拡大。全長1mのペットカートがちょうど真横に置けて、なおかつきっちりと収まったため、走行中のガタつきもなし!!という理想的なペットカートの積載ができたのだった。
あくまで軽自動車の荷物積載の一例だが、後席を前にスライドできる車種なら、前方にスライドする、あるいは5:5分割の後席を片側、または両側倒すことで、とくに全高、天井の高いハイトワゴン、スーパーハイト系軽自動車であれば、とんでもなくたっぷりのラゲッジルーム容量が稼げることになる。3名乗車でも、後席の片側を倒せば、ラゲッジルームの奥行きは1270mm(N BOXとスペーシアの例)に達し、長尺物の荷物もしっかり積み込めるのだ。つまり、アレンジによって、「軽自動車のラゲッジルームは狭い」という常識が一気に覆されるのである。しかも、スーパーハイト系軽自動車のラゲッジルームの開口部地上高は500mm前後(N BOX490mm、スペーシア525mm)と、世界のステーションワゴンの平均値620mmより遥かに低く、重い荷物の出し入れも楽々・・・という使い勝手の良さも標準装備!?されるのだから嬉しいではないか。とくにクロスオーバー軽であれば、2~3名でアウトドアに乗って行くにも文句なく、アウトドアシーン似合うこと請け合いである。結論づければ、軽自動車のラゲッジルーム(スペース)は、アレンジ次第で使いやすい大空間になるということだ。
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文・写真/青山尚暉