部下のモチベーション低下を防ぎ、高めるポイントとして、話をじっくり聞く、仕事のやり方に口を挟みすぎないことが重要です。上司からの積極的な声掛け、業務の目的や役割の共有、こまめなフィードバックが効果的です。無理なく続けられる方法を見つけましょう。
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「最近、部下のモチベーションが低下している気がする」。上司として、このような悩みを抱えたことはありませんか?職場の成果は、チームメンバーである部下のモチベーションに大きく影響されます。
そこで今回は、部下のモチベーションを高めるためのポイントや、モチベーションを低下させないために気を付けるべきことを詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
部下のモチベーションが下がる原因とは?
部下のモチベーションが下がる原因を理解するために、心理学の「マズローの欲求5段階説」を活用しましょう。この理論によると、人は基本的な欲求が満たされないと、より高次の欲求を追求する意欲を失うとされています。
(1)生理的欲求と安全の欲求
働きすぎや仕事量の多さなどで、部下が「これ以上は無理」と感じてしまう状況は、基本的な安心感を脅かし、モチベーションを大きく下げる要因となります。心身ともに余裕がない状態では、前向きに仕事に取り組むのは難しいものです。部下が「安心して働ける」と感じられるように、業務量の調整を行い、環境を整えていくことが必要かもしれません。
(2)社会的欲求(所属と愛の欲求)
人間関係は仕事のモチベーションと密接に関係しています。部下が、「職場で孤立している」「同僚や上司との関係があまりよくない」「自分は必要とされていない」と感じていれば、次第に仕事への熱意が失われていくでしょう。
(3)承認欲求
「頑張っても誰も認めてくれない」「成果を上げたのに、評価が変わらない」。このような不満は、部下のモチベーションを下げる大きな要因です。部下に「認められている」「評価されている」という実感を持ってもらえるような環境を整えていくことが大切です。
部下のモチベーションが下がっている兆候に気付くには?
モチベーションが下がっている時、どのようなサインが現れるのでしょうか?見逃してはいけないサインについて見ていきましょう。
(1)ミスが増える・仕事の質が落ちる
普段はできていた業務でミスが増えたり、成果物の質が下がったり、スピードが明らかに落ちていたりする場合は、モチベーションの低下が疑われます。
(2)発言が減る・反応が薄い
感情を表に出さないタイプかもしれないので、これだけでモチベーションが下がっているかどうかを判断するのは難しいですが、普段と異なる行動が見られた場合には注意しましょう。仕事以外に、プライベートで悩みを抱えている可能性もあります。最近どう感じているのか、声を掛けてヒアリングしていくといいでしょう。
部下のモチベーションを下げないための注意点
まずは、部下のモチベーション低下させない工夫が大切です。注意点を見ていきましょう。
(1)部下の話はじっくり聞く
部下に相談された時は、最後まで話をしっかり聞いてから答えるようにしましょう。上司は経験豊富なので、「それはこうしたらいいんじゃない?」とすぐに答えが出ることも多いでしょう。でも、部下の話の途中で答えてしまうと、「ちゃんと聞いてくれない」印象を与えてしまうので注意が必要です。
(2)部下の仕事のやり方に口を挟みすぎない
心配だからと部下の仕事のやり方に口を挟みすぎないことも大切です。監視されているように感じると、信頼されていないと感じ、部下のモチベーションが下がってしまう可能性があります。一度仕事を任せたら、口出ししすぎずにある程度見守る姿勢も必要です。
部下のモチベーションを高めるための方法
では、部下のモチベーションを高めるためには、どんなことができるでしょうか?今日から始められる方法をご紹介します。
(1)上司から積極的に声を掛ける
モチベーションを高めるためには、人間関係が良好であることも大切な要素です。上司から積極的に声を掛け、部下に「自分のことを見てもらえている」「気に掛けてもらえている」と実感してもらえると信頼関係が深まります。仕事だけではなくて、プライベートも含めた部下の人生全体を気にかけていく姿勢を見せるといいでしょう。
(2)業務の目的や役割を共有する
部下の主体性を引き出してモチベーションを高めていくためには、業務の目的や役割を部下と共有するようにしましょう。「この仕事がチームや会社にとってどのような価値を持つのか」「自分が果たすべき役割は何か」を上司からしっかり伝えることで、部下は自分の仕事の重要性を感じられて、モチベーションが高まります。
(3)フィードバックはこまめに行う
部下のモチベーションを高めるには、こまめなフィードバックが欠かせません。どんな小さな成果でも「見てもらえている」と感じられることで、次の仕事への意欲が湧いてきます。
例えば、「さっきの会議での提案、的確でしたね」や「早めに資料を準備してもらえて助かりました」と具体的に伝えるといいでしょう。また、改善点を伝える際も、「ここを整理するともっと分かりやすくなりますよ」と具体的なアドバイスを添えると、次にどう進めればいいかが分かりやすくなります。
まずはできることから始めよう!
部下の指導や育成に悩むことは、上司なら誰しも経験がありますよね。「これでいいのかな」と迷う瞬間もたくさんあるでしょう。でも、部下のモチベーションを高める方法は日々のちょっとした声掛けやフィードバックからでも始めることができます。
「自分のことを気に掛けてもらえている」と感じてもらうだけでも、部下の気持ちは大きく変わります。大切なのは、無理なく続けられる方法を見つけること。まずは、「これならできるかも」と思える方法から一歩を踏み出してみてくださいね。応援しています。
文/高見 綾
心理カウンセラー|“質上げ女子”のお悩み相談。カウンセラー養成コースで豊富な臨床経験を積み、心の世界で学んだことを現実に活かすアプローチに高い評価をいただく。相談数4千超。著書は『ゆずらない力』(すばる舎)。
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