メンタル不調の部下には、精神面、身体面、行動面に異変のサインが現れます。早急に話を聞くことが大切で、話を否定せず最後まで聞き、前向きな言葉は控えましょう。必要があれば外部の相談窓口や医療を勧め、上司1人で対応せずに職場内外でサポートを検討してください。
目次
仕事をしていく中で、ストレスはつきものです。さまざまなストレスに晒され続けることでメンタル不調になってしまう人も少なくありません。
メンタル不調は深刻化してしまう前に適切な対処を行うことが大切になります。
メンタル不調になってしまった人からはさまざまなサインが出ています。管理職には、部下のメンタルヘルスなどのマネジメント行う責任もあるため、部下の不調のサインには敏感でないといけません。
この記事では、メンタル不調のサイン、そして上司としての適切な対応について紹介していきます。
部下のメンタル不調のサイン
人はストレスを抱えていると、精神面、身体面、行動面に異変が表れます。しかし、その異変は、日常と比べて違和感があるといったほんの些細な違いであることも。
仕事で直接関わる機会の多い上司は、日頃の部下の言動を把握しておく必要があります。そして、下記のようなサインが表れている部下に対しては、適切で早急な対応することが求められます。
1.精神面の異変からのサイン
精神面の異変は、主に仕事に対する態度や感情などに症状が出ます。
・仕事に対してやる気がない
・何かをするのに面倒臭そうにしている
・集中力がない
・イライラしたり、泣いたり、感情の起伏が激しくなる
・笑顔がない、元気がない
といった症状が部下に見られる場合は早急な対応が必要です。
2.身体面の異変からのサイン
身体面の異変は下記のようなものになります。
・睡眠に変化が出る
・食欲に変化が出る
・頭痛、腹痛といった症状がある
・めまい、動機といった症状がある
睡眠などはプライベート時の症状であり、不調から来るサインには日常から部下とコミュニケーションをとっていないと気づくことが難しい場合があります。
3.行動面の異変からのサイン
行動面の異変も日頃の部下の行動を把握しておくことが早期発見のために必要となります。
以下のようなサインが見られた場合には注意が必要です。
・遅刻、早退、欠勤などが増える
・周囲との会話や、仕事の相談などの機会が減る
・仕事のミスが増える
・服装の乱れや、清潔感がなくなる
・飲酒や喫煙が増える
上司がすべき適切な対応
部下のメンタル不調のサインに気づいたら、早急に話を聞く機会を持ちましょう。対応する時期が遅れるにつれて症状はどんどん悪化していく可能性があります。
また、ここで取り上げるのは話を聞くときの適切な対応となりますが、話を聞いた後で1つ注意してもらいたいことがあります。それは1人で抱えて、自己判断だけでメンタル不調の部下の対応にあたらないことです。
上司1人でできることは限られていて、その対応によって部下に負担をかけてしまうことも考えられます。本人の了解を得た上で、職場内外でできるサポートを検討するようにしてください。
1.2人きりになれる、安心して話せる場を用意する
誰かに何かを伝えるときには、その状況をもう一度頭の中でイメージし、そのイメージを話します。辛いことであれば、その辛い状況を思い出すことになるのです。なので、話を聞く場所は、可能な限り安心して話せるような、プライバシーに配慮したところを用意してください。
2.話を否定することなく最後まで聞き続ける
部下が話を始めたとき、上司として「そこが間違っているから悩んでしまうんだ」と指導する意味で部下を否定してしまう人がいますが、これは絶対にやめてください。その間違いを簡単に正せると思っているのはあなたの価値観であり、部下にとっては簡単ではないのです。部下も簡単だと思っていたら、メンタル不調になるほど悩んだりはしません。
また、悩みに対して「こうしたらいい」とアドバイスをする人がいますが、それもタブーです。アドバイスはメンタル不調を抱える部下にとってはプレッシャーになってしまう可能性があるからです。
3.前向きな言葉は控える
不調を訴える人に対して、よかれと思って「すぐ良くなるよ」、「話したことでもう少し元気になってきたね」などといった言葉をかける人がいますが、このような言葉は控えてください。
周囲から大したことではないという認識をされると、メンタル不調の症状が深刻になるまで我慢してしまうことにつながりかねません。
4.必要があれば他機関につなげる
対応の冒頭で触れたように、部下のメンタル不調には上司1人で対応しないでください。メンタルヘルスの研修を受けていたとしても正しい対応ができなかった場合には部下のメンタル不調は悪化してしまう可能性があるからです。それだけでなく、部下の対応に困って、上司もストレスを抱えてしまう場合もあります。
部下のメンタル不調が著しい場合には、職場でできる対応以外にも外部の相談窓口や、医療などを勧めるのも1つの方法です。
文・構成/藤野綾子