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玉川徹氏が直撃!取締役とミステリー作家2つの顔を持つ山田尚史さんに聞く、複業を始める時の心構え

2024.12.22

マネックスグループ取締役兼執行役の山田尚史さんはPKSHA Technologyを退社後に小説家を目指し、2024年出版の『ファラオの密室』(宝島社)が「第22回このミステリーがすごい!大賞」の大賞を受賞(白川尚史名義)。2022年からは現職の仕事にも携わる。


ファラオの密室

山田尚史さん

取締役兼執行役とミステリー作家という2つの顔を持つ山田さん。複数の仕事を両立させるうえでも重要な「好きなことを仕事にする」という視点について、玉川さんが取材。仕事で成長するために必要な環境面の話や、複業を始めたい人の参考になる時間の使い方にも話が及ぶなど、ビジネスパーソン必読の対談となった。

好きなことを複業で始める時にどのような心構えが必要ですか?

玉川 小説家の仕事を志した山田さんは、どんな作品を読まれてきたのですか?

山田 子どもの頃からSFが好きで、ライトノベルの『ロスト・ユニバース』(KADOKAWA/神坂 一)を読んでいました。映画ではスティーブン・スピルバーグ監督作の『A.I.』(2001年公開)が大好きで、劇中に登場するような人工知能を作れたら素敵だなと。そういう気持ちで、AIの第一人者・松尾豊教授の研究室(以下、松尾研)へ入るべく、東京大学を目指しました。同校の理科一類に進んで松尾研に入り、卒業後はAIの機械学習技術を活用してデータの解析を行なうAppReSearch(現PKSHA Technology)を、大学時代の先輩と起業。8年が経過した2020年の末、子育てに専念しようと退任しました。

玉川 無職で子育てを始めるとはジョン・レノンのようですね。山田さんの起業した会社は2017年に〝マザーズ〟(現グロース市場)へ上場しています。その際に株の含み益が相当あり、経済的な余裕があったということなのですか?

山田 そうなんです。それまでの8年間は必死に仕事して、働かなくても生きていける状態で子育てを始めた時に「これから自分は何をしたいのか」をじっくりと考えました。その結果、小説家の道に挑戦したくなったんです。

玉川 僕も小説が好きで時間があれば読むという人間なのですが、山田さんはなぜ最初から趣味ではなくプロとして「小説を書こう」と思ったのでしょう。しかもデビュー作は、山田さんが大学時代や起業した会社でかかわってきたSFではなくミステリーですよね?

山田 執筆すること自体がすごく楽しいし、何よりも自分だけの世界を作り出して世の中に問うことができるという生き方に強い憧れを抱いていたからですね。それと、SFよりもミステリーのほうが読者人口は多いという印象で、募集している賞もいっぱいあることから、ミステリーを書くことにしました。デビュー後に実績を積み上げれば、好きなSFの作品に挑戦することもできますし。

玉川 そんな小説家としての活動とともにマネックスグループの仕事もされているし、相当忙しそうですね。

山田 執筆は孤独な仕事なので、何らかの社会的な接点は持ちたいと考えています。両立は大変ですが、マネックスグループの仕事は人生でプラスの影響が大きく、どちらも大切な仕事です。

時間には限りがあるもの 複業に投資できる時間を考える

玉川 小説の執筆、マネックスグループの仕事、子育てのうち、山田さんの「好きなこと」の順位ではどれが一番ですか?

山田 子育ての「好き」は別格としつつ、経営に携わるマネックスグループの仕事は他人に貢献できる「利他的」な意味、小説の執筆は自分に対する「利己的」な意味で、それぞれ好きです。

玉川 この連載では好きなことを仕事にしている人に話を伺っています。「仕事とは我慢の代償としてお金を得ること」だと考える人が世の中には多いように感じますが、山田さんはどう思いますか?

山田 それは個人かビジネスか、どちらのコンテクストで話すのかで、全く違うように思います。ビジネスの尺度でいえば、企業の業績に貢献するのが絶対条件なので、好きや嫌いは関係ないと。

玉川 確かにそうですね。それと「趣味は仕事にならない」と言う人もいます。

山田 難しい問題ですが、それぞれの定義付けを自身の中で明確にしたほうがいいのではないでしょうか。仕事は「お金を得るために成果を生むこと」、趣味は「何らかの動機で自分がやりたいことのすべて」だと思います。「趣味を仕事にできない」と言う人は、ビジネスの視点で、「趣味を仕事にできる可能性はあるけれど、著しく収入が下がるから、それは甘えだ」という考えがあるのかもしれません。ちなみに僕の場合は、PKSHA Technologyが急成長したことで、結果的に高い経営能力を身に付けられたと感じています。僕の持論ですが「業績が伸びている会社でストレッチして頑張る人」が異様に能力を伸ばせるんですよ。

玉川 おもしろいですね。山田さんのように複業をする効果と、実践したい人へのアドバイスがあれば教えてください。

山田 『RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』(日経BP/デイビッド・エプスタイン)という本の中で「オープンクエスチョンの問題では、スペシャリストよりもゼネラリストの方が高いパフォーマンスを発揮する」と書かれています。複数のレンジで能力を伸ばすことが、そもそも1つの分野を卓越するための条件だといわれることも少なくありません。なので、今の仕事の能力を成長させることを目的とした複業はアリだと思いますよ。ただし気をつけなければならないのは、短期的に収入を最適化しようとしないこと。複業に投資できる時間を考え、自分が向いている領域を探すことにしっかりと費やすほうが成功しやすいはず。自分の体験や周囲の成功者を見ていると、そう感じます。

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