本記事の読者の皆様が働かれている会社において、様々な雇用形態(正規雇用、非正規雇用(パート、アルバイト、契約社員、派遣社員、嘱託など))の方がいらっしゃることがほとんどではないでしょうか?
実際、総務省の「労働力調査」によると、雇用者に占める非正規雇用の割合は、2023年平均で37.0%となっており、30年前の1994年平均20.3%から2倍弱という現状です。
そうした方々が集まるチームにおいて、例えば「パートだからそこまでできません」のような発言が出てくるなど、マネジメントに悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、そうしたチームをマネジメントするに当たってのポイントをお伝えします。
(1)「ワンチーム」の意識作り
まずは、一番重要かつすべてのベースとなるのが、雇用形態によらず全員に「ワンチーム」の意識を持たせることです。
なぜなら、「あくまで自分はこのチームの一員なんだ」という自覚がないと、「自分はパートだし、そこまでやらなくていいよね」などと勝手に自己判断する人や、チームで決めたことを守らない人などが出てきかねないからです。
こうなるとチームの雰囲気は悪くなり、集中できる環境ではなくなり、パフォーマンスの低下につながります。
ではどうやって「ワンチーム」の意識を持たせられるのでしょうか?
「チームの一員」という自覚は言い換えると、「このチームで決められたことは守らなければいけないんだ」という意識になっていることです。
そして、実際に守っていることです。
チームのトップが意思決定して旗を振ったら、全員がちゃんとついてくる状態です。
そのため、雇用形態問わず、チームの全員にこれだけは守ってほしいこと(=ルール。呼称は、「約束」「決め事」「スタンダード」など何でも構いません。)を決め、周知し、その遵守徹底をまず進めていきましょう。
ポイントは、そのルールを「難易度0」とし、守れない=意思を持って守っていない、とすることです。
想像してみてください。
「ワンチーム」を作りたいのに、意思を持って守って欲しいことを守っていない人がいる状態を。
(2) チームでの各人の「立ち位置」の視覚化
次のポイントは、「正社員」、「契約社員」、「パート」などといった雇用形態で、仕事における責任を各人が勝手に解釈していないかです。
「パートだから」、「契約社員なので」、「正社員じゃないし」などなどです。
正社員がそうじゃないかで、どこまで責任があるかを自分の感覚で判断してしまっている方、多々いらっしゃいませんでしょうか?
ここは順番がポイントとなります。
チームである以上、そのチームでの「立ち位置」をあらかじめ決める必要があります。
(スポーツで言えば、監督が誰で、自分のポジションはどこかです。)
いわゆる「組織図」です。
雇用形態以前の話として、チームの目標を達成するためにどんな機能が必要で、それを可視化すると、どんな体制になるか。
これが組織図です。
ですので、この組織図を決め、可視化して共有することが次のステップです。
そうすることで、各人の「立ち位置」が明確になります。
「パートだから」より、「チーム内のポジションはここなんだ」を先行させることが重要です。
(3)各人の立ち位置での「役割」の明確化
「立ち位置」を可視化した上で、それとセットで重要なことが「役割」です。
ここで言う「役割」とは、営業とか総務とか大括りなものでありません。
そのポジションに配置された方に対して、「何を成し遂げてもらいたいか」です。
具体的には、「項目」、「基準」、「期限」の設定です。
(例えば、「売上、300万、4/1~6/30」、「次回予約率、80%、3ヶ月平均」、「上司承認を得た効率化施策の実行数、2件、7/1~9/30」など)
つまり、そのポジションに配置されたということは、この「役割」を達成することを求められているということです。
ここで、それを達成するという「責任」の概念が発生します。
そして、この「責任」を果たすためには、どの雇用形態が適切か、最低限必要かという判断が出てきます。
「役割」を明確化することで「責任」が明確になり、その責任を果たすためにはどのような雇用形態がありうるか、という順番になるということです。
(4) 年上年下問題
冒頭の総務省の「労働力調査」によると、2023年平均で非正規雇用のうち55歳以上の方は40.8%、45歳以上の方は61.0%を占めています。
そのため、年上の方が部下で、気を遣いすぎるなどマネジメントに悩まれている方もいらっしゃるのではないのでしょうか?
ですが、ここまで述べてきた(1)~(3)を踏まえると、仕事は「役割」で進めていくものであり、年齢ではないことに気づかれたかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
仕事とは、「役割」で動かしていくものです。
上司だから偉い、社員だから偉いではなく、「役割が何か?」。
シンプルにするとそれだけです。
年齢は個人同士の関係にしか過ぎません。
まずはここを割り切ることが重要です。
まとめ
今回は、雇用形態が異なるチームのマネジメントがテーマでした。
ポイントを要約しますと、
・「ワンチーム」の意識作り
・チームでの各人の「立ち位置」の明確化
・各「立ち位置」における役割の明確化
等といった、雇用形態ありきではなく、これらを決めた上で、どのような雇用形態がベストかという観点で整理させていただきました。
まずは、すべてのベースとなる「雇用形態問わず、チームの全員にこれだけは守ってほしいルール」を設定し、遵守徹底することからトライしてみてください。
文/識学
この記事はマネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」による寄稿記事です