
PDCAサイクルとはどのような仕組みなのか、ビジネスでの使い方を中心に解説します。また、PDCAサイクルの具体例も確認しましょう。メリットやデメリット、運用方法も紹介します。
目次
PDCAサイクルとは、具体的にどのような仕組みなのでしょうか?運用の仕方をマスターして、ビジネスシーンで生かしていきましょう。
PDCAサイクルを理解する4つのステップ
まずは基本的なステップと、具体例を紹介します。
■PDCAサイクルとは?
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4つのステップを繰り返す、業務改善の方法です。
例えば、商品・サービスを販売する営業戦略の検討や、製造工場の品質管理などさまざまな分野でPDCAが取り入れられています。
目標を設定し、何を達成するのかを考えることが『Plan』です。目標を達成するための行動が、『Do』に当てはまります。『Check』では、実行後の結果を評価します。改善策を考え、次の計画にどう生かすかを検討することが『Action』です。
このサイクルを繰り返すことで、少しずつ業務を改善できます。小さな改善の積み重ねが、大きな成果につながるのです。
■PDCAサイクルの具体的な流れ
PDCAサイクルの4つのステップは、どのように仕事に生かされているのか、具体的な流れを紹介します。
例として、『昨年度よりも10%売り上げをアップさせる』という目標を立てたケースで考えてみましょう。『昨年度よりも10%売り上げをアップさせる』という目標は、PDCAサイクルの『Plan』に当たります。
次に、目標を実行する段階に移ります。売り上げ目標を達成するため、営業社員に対するインセンティブの増加や、販売機会を増やすなどの対策を取るといった流れが『Do』です。『Check』の段階では、売り上げがいくらになったか確認し、評価します。
最終的に10%アップが達成できなかった場合、なぜそうなったのかを考え、改善策を練らなければなりません。売り上げアップに必要な対策を考え、翌年の売り上げ目標を検討する段階が『Action』です。
PDCAサイクルを仕事に取り入れるメリット
PCDAサイクルを仕事に取り入れると、さまざまなメリットが得られます。主なメリットと、なぜ良い結果を得やすいのか確認しましょう。
■継続的な改善が期待できる
PDCAサイクルは、一度で終了するものではありません。PlanからActionまでのサイクルを繰り返すことが、PCDAサイクルの特徴です。
例えば、売り上げ目標を立て(Plan)、実行し(Do)、結果を分析(Check)し、改善策を講じる(Action)という流れを繰り返すことで、徐々に売り上げ向上が期待できます。
結果分析の時点で問題点を発見できれば、繰り返しによって改善や方向性の転換がしやすくなるでしょう。何度も改善していくことで、より良い結果につながりやすくなります。
■進捗管理を可視化できる
PDCAサイクルを取り入れることで、業務の進み具合や分析の詳細、改善の取り組みといった流れを可視化できます。
Planの段階で目標を設定するため、その後の進捗がはっきりと分かるのも特徴です。当年度の売り上げ目標を立てた場合、毎月の売り上げを集計し、達成率を見ることで目標が達成できるかが見えてきます。
もし、達成が難しいような状況であれば、分析や改善に向けての取り組みで修正も可能です。仮に、最初の目標達成ができなかったとしても、次のサイクルで挽回も狙えます。
■企業全体の課題が見えてくる
PDCAサイクルは、何度も繰り返し行われます。サイクルを繰り返す中で、目標が達成できないケースも出てくるでしょう。
一体なぜ達成できないのか、何が原因なのかを評価・改善の段階で詳しく突き止めるため、今何をしなければならないのか、何が問題となっているのかが見えてきます。
企業の課題が分かれば、重点的に改善を促せます。課題が解決すれば、目標の達成や企業の成長にもつながるでしょう。
PDCAサイクルを仕事に取り入れるデメリット
PDCAサイクル自体は、メリットの大きい取り組みです。しかし、実際にやってみるとデメリットが現れる可能性もあります。以下で、主な問題点について確認しましょう。
■短期的な効果が出にくいケースも
PDCAサイクルの導入初期には、さまざまな負担が発生します。システムの導入費用や、会議を行うことによる時間的コストなど、始めのうちほど負担が大きくメリットを感じにくいかもしれません。
本来の業務に支障を来す可能性や、新たな人材の雇用が必要になることもあるでしょう。しかし、業務効率化によって負担を減らすこともできます。例えば、会議の効率化や、デジタルツールの活用によるプロセスの簡素化などが有効です。
業務効率化や改善の取り組みを進めていくと、PDCAサイクルの効果が現れてきます。短期的には効果が見えにくくても、継続的な改善を重ねることで、大きな結果につながる可能性があることを忘れずに取り組みましょう。
■目的や意義を見失うリスクがある
PDCAサイクルは業務改善に有効ですが、何のためにサイクルを導入しているのか見失ってしまうと、効果が得られません。
例として、『確認ミスが多発しているため改善する』という目標がある場合に、『作業後のサインと報告』を改善策として取り入れるケースで考えてみましょう。
作業後にサインと報告をしなければならないため、その分時間が取られます。もし、従業員が時間に追われ、確認をほぼせずにサインと報告だけをしている状態が続けば、『確認ミスの予防』という本来の目的からはかけ離れてしまうでしょう。
PDCAサイクルを効果的に運用するには、各自が常に目的意識を持ち、改善を続けることが不可欠です。形だけでなく、実質的な成果につながるよう心掛けましょう。
■急激な変化への対応が難しい場合も
PDCAサイクルは、環境の急激な変化に対応しきれない場合があります。全ての流れが完了するまでに時間がかかるため、改善の取り組みをする頃には状況が変わってしまっているリスクもあるのです。
特に、市場や顧客ニーズが目まぐるしく変化する業界では、効果を発揮しにくいでしょう。しかし、PDCAサイクルが完全に無意味になったわけではありません。工場の生産工程や品質管理など、正確性・安全性が重視される分野では有効です。
変化の激しい状況では、よりスピード感のある仕組みを検討する必要があります。サイクルの期間を短くするだけでも、環境の変化に対応しやすくなるでしょう。