国内の宇宙機器産業は2020年時点で約4兆円規模であり、2030年代の早期には約8兆円まで倍増すると見られている(※1)。その傾向は世界的にも顕著で、約95兆円(2023年)から約270兆円(2035年)まで、世界の宇宙経済規模は拡大する模様だ(※2)。そんな、成長著しい分野に参画する国内大手&スタートアップ企業の宇宙ビジネス戦略に迫る!
宇宙開発といえば国家規模のプロジェクトであり、費用もリスクも大きいものだった。しかし最近は状況が一変。「技術発展や衛星の小型化に伴って民間企業が参入しやすい状況になってきた」と話すのは、JAXA新事業促進部の菊池優太さん。2018年度から取り組む「J-SPARC」について次のように解説する。
「JAXAがこれまでに培ってきた宇宙開発の知見やノウハウを生かし、民間企業が宇宙ビジネスを手がける最初の段階から、事業の企画検討をともに進めていく〝共創型〟という点が特徴です。『J-SPARC』は、事業のコンセプトを共創するところから取り組むフェーズと、事業計画の実現に向けた開発や実証を連携して進めるフェーズで構成しています。『J-SPARC』の門戸を叩く企業は実に様々。中でも、ロケットの開発などに取り組む宇宙関連企業ではない『非宇宙企業』による『潜在的領域』に該当する新ビジネスの割合が、ポートフォリオ上では大きくなっています」(菊池さん)
2023年11月、JAXA法の改正を受けて設けられた宇宙戦略基金も、企業を後押しする役割として期待も大きい。
「『半永久電源システムに係る要素技術』『月測位システム技術』など、2024年は計22件のテーマを公募し、寄せられた提案を審査のうえ、採択した案件に対して資金面でのバックアップを行なうものです。宇宙ビジネス全体が盛り上がっていることもあり、参加方法などについて様々な問い合わせをいただいています。政府では今後10年間で1兆円の基金支給を目指していますが、この取り組みが民間事業の加速につながればと考えています」(菊池さん)
JAXAが推し進める支援策が宇宙事業参画を後押し!
これまで約300件の相談があり、役割分担の調整などを経て成立した約50のプロジェクトが進行中とのこと。費用は双方にて負担するため、JAXAへ支払う費用はない。
「輸送」「衛星等」「探査等」という分野において民間企業および大学などを金銭的に支援。22の公募テーマのうち、2件の採択を2024年10月に発表した。
取材・文/編集部 ※本特集に掲載している情報は2024年10月時点のもの
※1 日本航空宇宙工業会の調査データをもとに内閣府が試算
※2 世界経済フォーラムレポート出典
※調達総額は2024年10月末時点のもの
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国内の宇宙機器産業は2020年時点で約4兆円規模であり、2030年代の早期には約8兆円まで倍増すると見られている。その傾向は世界的にも顕著で、約95兆円(2023年)から約270兆円(2035年)まで、世界の宇宙経済規模は拡大する模様だ。本特集では三菱商事、三井物産、伊藤忠、丸紅、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天、三井住友海上、損保ジャパンなど国内大手企業の宇宙戦略を徹底取材! 成長著しい宇宙ビジネス戦略に迫る!
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