部下を褒めることは、コミュニケーションの円滑化、自己肯定感の向上、自主性の促進、離職防止に役立ちます。効果的な方法として、すぐに具体的に褒める、過程を褒める、名前を入れる、他人と比較しないことが挙げられます。
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部下のマネジメントは上司の大切な業務の1つです。マネジメントの主な業務に、部下のやる気の維持や向上があります。部下のやる気を引き出すには、昔であれば叱咤などの方法がとられましたが、今はパワハラなどの問題もあり、褒めることが主流となっています。
人を褒めることは、簡単なように見えて、実は難しいものなのです。方法やタイミングを間違えば、逆効果になってしまう場合もあります。
今回は、褒めることの重要性、部下のやる気を引き出す効果的な褒め方をレクチャーします。
褒めることはなぜ部下のマネジメントに必要なのか
部下を褒めることは大切だと言われるものの、なぜ部下のマネジメントに必要なのかがわかっていない人も多いはずです。まずは褒めることで得られる効果について見ていきましょう。
1.円滑なコミュニケーションにつながる
マネジメントにおいて、上司には部下との円滑なコミュニケーションが求められます。円滑なコミュニケーションを目指すためには、褒めることが大切になります。なぜなら、褒めるためには部下の仕事ぶりに注目し、それを言葉にして伝える必要があるからです。
褒められた部下は、上司が自分のことを気にかけてくれていることに気づき、そんな上司に対して信頼を抱いていきます。
2.自己肯定感を高める
褒めるという行為は、その人を認めることです。他人から認められることは、自分自身に対して自信を持つことにつながり、それによって自己肯定感が高まっていきます。
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定する感覚を指します。これが高まっていくことにより、人は意欲的に新しいことにチャレンジする力が湧いていきます。
3.自主性を高める
自主性とは、誰かから指示されなくても、やるべきことを自分から率先して行動できることを意味します。褒めるという行為は、自主性を高めることができます。
自主性が高められることで、成果を出したいと意欲的になり、行動力もアップしていくといった効果が期待できます。
4.離職を防げる
円滑なコミュニケーションを取り、褒めて成長を促してくれる上司に対して、部下は今の仕事にやる気ややりがいを感じていきます。それによって勤める企業への帰属意識が高まっていき、離職を防ぐことができます。
効果的な部下の褒め方とは
褒めることは冒頭でも触れたように、方法やタイミングを間違えば、逆効果になってしまう場合もあります。ここでは効果的な褒め方のコツをご紹介します。
1.すぐに褒める
まずはタイミングです。部下が何か成果を上げたら、すぐに褒めるようにしてください。すぐに褒めることで、部下の中では仕事と褒められるという行為が結びつきます。仕事の成果イコール褒められるという構図が出来上がるのです。
仕事の成果と褒めるタイミングに間があれば、その結びつきも弱くなり、褒めるという効果も薄まります。
すぐに褒めることで、部下は仕事をより好きになっていき、やる気を引き出すことができます。
2.具体的に褒める
何に対して褒めているのかを具体的に伝えることが効果的です。ただ、「頑張ったね」と伝えただけでは、何に対して褒められているのかがわからない場合もあり、それでは褒めの効果は期待できません。
具体的の例を出すと、「この資料のおかげで先方との交渉がスムーズに進んだ」、「この業務の達成率が先月よりも〇%アップした」などといったように、どの仕事に対してなのか、どのような成果があったのかを明確にするのです。具体的に褒めることで、部下の仕事をちゃんと見ているというメッセージを伝えることもできます。
3.結果だけでなく、過程を褒める
褒めるときには、どうしても結果だけになりやすいですが、褒め方として効果的なのは、結果だけではなく、過程を褒めることです。
なぜなら、目標を達成したという結果は1つなのに対して、そこまでに辿り着く過程は人それぞれだからです。そこに注目して褒めることで、部下は自分のことを見てくれていると感じ、上司に対する信頼感もアップしていきます。
4.名前を入れて褒める
名前を入れることも、効果的な褒め方のポイントとなります。褒め言葉に名前を入れることで、上司から認められたとより実感しやすくなります。
褒め言葉としては、「〇〇さんには信頼して仕事を任せられる」、「〇〇さんがチームにいてくれてよかった」など特別だということを意識して伝えるといいでしょう。
5.他の社員と比較せず、過去の本人と比較する
褒めるときは自主性を高めるためにも、他人との比較はしてはいけません。比較する対象は、部下本人の過去です。
過去の仕事ぶりと今の仕事ぶりを比較して褒めることで、部下本人も自身の成長を認識していくことができます。それによって、仕事に対して前向きな気持ちになり、やる気を引き出せるでしょう。
文・構成/藤野綾子
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