柔軟な働き方ができるようになった昨今、正社員以外の働き方を選びやすい環境が整ってきている。では、自営業者・個人事業主・フリーランス等の人が抱く理想の人生や、感じているリスクとその対策、働き方に関する意識と実態はどうなっているのだろう。
アクサ生命は、全国の20歳~79歳の男女を対象に、「自営業者、個人事業主・フリーランス等のライフマネジメント に関する調査2024」を実施し、3,000名の有効サンプルを集計し結果をまとめた。
自営業者等になるまでの歩みについて
まず、現在の職業以前に経験したものを聞いたところ、「会社員経験」が72.9%で突出して高くなり、「公務員・団体職員経験(会社員経験はなし)」が2.9%、「専門職経験のみ」が3.2%、「パート・アルバイト経験のみ」が7.2%、「その他」が13.8%となった。
「会社員経験」と「公務員・団体職員経験(会社員経験はなし)」の合計は75.8%となり、大多数の人が雇用されて働いた経験を有していることが判明。
また、学校を卒業してから現在の職業になるまでに経験した職業の数を聞いたところ、「現在の職業になる前に働いたことはない」が8.4%、「1つの職業を経験している」が35.5%となり、2つ以上の職業の経験がある人の割合は56.1%という結果に。
事業を自身で開業したか、親族等から継承したか聞いたところ、「自分で開業した」が77.1%で最も高くなり、「自分の親族(配偶者除く)から継承した」が20.0%、「配偶者から継承した」と「配偶者の親族から継承した」が1.1%。
男女別にみると、女性では「自分で開業した」が83.8%と、男性(75.8%)と比べて8.0ポイント高くなっている。
現在の職業に就くきっかけを聞いたところ、1位「自分の夢・目標」(41.1%)、2位「前職の退職」(15.0%)、3位「前職の勤め先への不満」(12.0%)、4位「資格の取得」(8.5%)、5位「知人からの誘い」(7.7%)となった。
男女別にみると、女性は「自分の夢・目標」が50.0%と、男性(39.4%)と比べて10ポイント以上高い。
現在の職業や働き方についての意識
全回答者(3,000名)に、現在の職業は“自身の理想の人生”を追求しやすい働き方だと思うか聞いたところ、『そう思う(計)』は78.7%、『そう思わない(計)』は21.3%となった。
多くの人が、今の働き方は、自身の思い描く“理想の人生”を実現しやすい働き方だと感じているようだ。
現在の職業が“自身の理想の人生”を追求しやすい働き方だと思う人(2,362名)に、その理由を聞いたところ、「自分の裁量で物事が決められる」(74.3%)が突出して高くなっている。
次に高い理由は、「自由な働き方ができる」(45.4%)、「勤務時間に縛られない」(42.0%)、「頑張った分だけリターンがある」(39.8%)、「自分の力を試すことができる」(34.3%)。
男女別にみて、女性のほうが10ポイント以上高かったのは、「自由な働き方ができる」(男性43.7%、女性53.7%)、「定年がない」(男性30.2%、女性40.6%)、「働く場所に制限が少ない」(男性25.3%、女性38.3%)の回答であった。
全回答者(3,000名)に、現在の職業・働き方に関する意識を聞いたところ、『そう思う(計)』が最も高くなったのは「病気や怪我による収入減少のリスクが大きい」(84.6%)で、病気や怪我の影響・リスクに対して不安を抱いている人が大半という結果に。
また、「収入が不安定」では80.4%となり、大多数の人が、安定した収入が得られないという点に不安を抱いていることが分かった。
全回答者(3,000名)に、老後の生活資金のために公的年金以外で準備しているものを聞いたところ、「預貯金」(64.2%)が最も高くなり、「NISA(少額投資非課税制度)」(24.2%)、「有価証券(投資信託・株・債券など)」(20.4%)、「個人年金保険」(17.3%)、「小規模企業共済」(10.7%)と続いた。
職業別にみると、士業では「預貯金」(77.3%)や「NISA(少額投資非課税制度)」(38.7%)、「有価証券(投資信託・株・債券など)」(36.6%)、「小規模企業共済」(30.9%)が全体と比べて10ポイント以上高くなっている。
現在の職業・働き方としてのリスク・不安に対して準備しているものを聞いたところ、「預貯金」(61.9%)が突出して高くなった。万が一のときのことを考え、すぐに使える預貯金で備えている人が多いことがうかがえる。
次いで高くなったのは、「投資(投資信託・株・債券など)」(22.9%)、「医療保険への加入」(21.5%)、「運動や適切な食生活の維持」(20.6%)、「定期的な健康診断の受診」(19.9%)。また、「何もしていない」は13.1%となった。
職業別にみると、小規模企業経営者では「税理士や公認会計士など士業の利用」が20.9%と、他の層と比べて特に高い結果に。
また、老後の生活資金と病気・怪我の際の費用の準備状況を聞いたところ、「社会保険(公的年金)を通じた老後の生活資金の準備」「社会保険(公的年金)以外を通じた老後の生活資金の準備」「社会保険(健康保険)を通じた病気・怪我の際の費用の準備」「社会保険(健康保険)以外を通じた病気・怪我の際の費用の準備」のいずれの項目でも『不十分だと思う(計)』の回答が半数以上となった。
老後の生活資金と病気・怪我の際の費用の備えに課題を感じている人が多いことが分かる。
全回答者(3,000名)に、最近の経済情勢が、現在の職業・働き方としての自身の理想とする生活や目標の実現にどのような影響を与えているか聞いたところ、「非常にプラスの影響」、「ややプラスの影響」を合計した『プラスの影響(計)』は18.1%、「非常にマイナスの影響」、「ややマイナスの影響」を合計した『マイナスの影響(計)』は52.6%、「影響は特にない」が29.2%となった。
急激な円安の進行や相次ぐ物価上昇など不安定な経済情勢が、理想の生活や目標の実現に対し悪影響を及ぼしているケースが多いと考えられる。
理想とする人生の設定・実現のためのアクションについて
全回答者(3,000名)に、理想とする人生があるか聞いたところ、「理想とする人生がある」は50.0%、「理想とする人生がない」は50.0%と、両者が拮抗する結果に。
理想とする人生がある人(1,500名)に、自身の“理想とする人生”とはどのような人生かを聞いたところ、1位「自由・自分らしさ・やりたいこと」(287名)、2位「家族・家庭」(242名)、3位「人とのつながり・人間関係」(112名)、4位「平穏・ゆとり・悠々自適」(104名)、5位「健康・命」(99名)となった。
理想の人生の実現について相談している人を聞いたところ、「パートナー・配偶者」(48.5%)が最も高くなり、「友人・知人」(31.2%)、「同業者のつながり・コミュニティ」(21.5%)、「親・子・兄弟姉妹」(18.3%)、「税理士・公認会計士・弁護士など士業」(14.4%)が続く。
男女別にみると、「パートナー・配偶者」(男性50.5%、女性40.0%)は女性と比べて男性のほうが10ポイント以上高くなっている。
職業別にみると、小規模企業経営者では「税理士・公認会計士・弁護士など士業」(41.7%)、士業では「同業者のつながり・コミュニティ」(33.0%)が全体と比べて10ポイント以上高い。
理想の人生の実現に必要だと思うことを聞いたところ、「健康管理」(52.1%)が最も高くなり、「貯蓄・資産形成」(45.4%)、「目標の設定」(40.7%)、「人脈づくり」(25.9%)、「理想とする人生に関する情報収集」(24.4%)が続いた。
年代別にみると、20代・30代では「目標の設定」(43.6%)が1位、40代以上では「健康管理」(40代49.6%、50代46.5%、60代57.8%、70代71.3%)が1位に。
理想の人生の実現のために実際に取り組んでいることを聞いた中でも上位3つは「健康管理」(44.2%)、「貯蓄・資産形成」(35.5%)、「目標の設定」(30.6%)が並んだ。
「実現に必要だと思うこと」と「実現のために実際に取り組んでいること」を比較すると、「貯蓄・資産形成」(順に45.4%、35.5%)や「目標の設定」(40.7%、30.6%)、「ライフプランの作成」(21.5%、11.8%)は約10ポイントの差が開いていた。
必要性を感じながらも実際にはなかなか取り組むことができていないことがうかがえる。
理想の人生の実現のためにライフプランの作成に取り組んでいる人(177名)に、ライフプランの見直し・メンテナンスを行っているか聞いたところ、「行っている」は55.4%、「行っていないが、今後は行いたい」は37.9%であった。
大多数の人がライフプランの見直し・メンテナンスを実践することに前向きであることが分かる。