「家族と仲が悪く毎日イライラしている」「職場の上司と性格が合わなくてつらい」「恋愛がうまくいかず苦しい」。
私たちの人生には、このような乗り越えるべき「壁」がたくさんあります。その中でも最も大きな障害は「自分自身」かもしれません。なぜなら、悩みや苦しみは、「他人」が生み出しているのではなく、紛れもなく「自分」から生まれているものだから。
YouTube登録者数約70万人を誇る大人気僧侶・大愚和尚こと大愚元勝氏による累計5万部突破のベストセラー『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』から一部を抜粋・編集し、自分を知り、受け入れ、変えていくためのヒントを紹介します。
感情の「見える化」が平常心を手に入れるカギ
感情とは心で生まれ、心で感じるものです。
それは間違ってはいないのですが、じつは心以外にも感情を生じさせる源が存在します。
その源とは、体です。私たちは、ものごとをどう受け止めたか、どう認識したかによって、体の状態が変わります。とくに筋肉の動きは敏感です。
例えば日本語で「感動した」という言葉は、英語に訳すと「I’m touched」となります。感動したときは「touch」、すなわち「触れられた」という表現が用いられるんです。これは、私たちの心になにかが触れたという肉体感覚から出てくる言葉なんですね。
英語圏の人々に仏教徒は少ないかもしれませんが、体が感情を生み出すひとつの要因になっていることに関しては、同じ感覚を持っているということでしょう。
極限まで空腹になるとイライラしてきたり、なかなか眠れないと不安になったりする、というのも同じことです。
修行を積むと、心の中で起きている感情の変化を、体で知ることができるようになります。私は仏道修行に加え、空手に打ち込み、15年ほど整体師として活動していた経験もあるため、「心の動きが体に表れる」ことが、それこそ肌感覚でわかります。
体よりも心のほうを重視している、というより、心のみに目を向けているお坊さんが多いので、体のことにはあまり触れない説法が一般的ですが、私の場合は違います。
「仏教は言葉で説明するよりも体で説明したほうが早いね」
このようなフレーズは、これまで何度も口にしてきました。
毎月1回、全国各地(一部海外)で開催しているブッダの教えを体感で学ぶことを目的とした『大愚道場』では、体に意識を向けて仏教を説いていくというスタイルを採用しています。
そして、おおいに好評をいただいております。
肉体を持たないものは感情も持っていません。
これはつまり、両者は密接に関わっているということの証拠なのです。
■理想は言葉と体で同時に学ぶこと
この〝体感〟は経験を積んで育てていくしかなく、いくら言葉で理解しようとしてもできるものではありません。
それゆえ本でお伝えするのはなかなか難しいテーマだと思いましたので、最後のパートで補足として触れさせていただいた次第です。
この感覚を身近なものに例えるのなら、プロ野球選手がホームランを打つような感覚でしょうか。バットの芯にボールがカーンと当たって、ビューンと飛んでいくときの感覚は、プロの世界でホームランを打ったことがない人にはわからないといわれますよね。
指導力に長けているといわれる元プロ野球選手のような人が、いくら丁寧に説明してくれたとしても、私たち野球の素人には伝わらないと思います。
野球少年や高校球児であっても、プロ野球選手が知る〝体感〟を、同じレベルで習得するのは難しいのではないでしょうか。
仏教にはそういう側面もありますので、理想をいうならば、言葉と同時に体でも学んでいくことを実践していただきたいです。言葉で理解したことを体感することによって、さらに理解が深まりますから。
心や体の動きをとらえ、感情の「見える化」に成功すれば、平常心を保つことができ、感情をコントロールしていく技術が高まります。
心のマスターになるためには不可欠な要素ですので、興味のある方は、写経や瞑想だけでなく、体を使った修行体験を実施しているお寺をぜひ訪ねてみてください。
もちろん、『大愚道場』にご参加いただくのは大歓迎です!
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いかがだったでしょうか?
『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』は、自己との向き合い方を深く考えさせてくれる一冊です。
人生の壁に直面した時、それを他人や環境のせいにするのではなく、自分の内側を見つめ直すことで新たな道が見えてくるかもしれません。
大愚和尚のメッセージは、読む人の心にそっと寄り添い、勇気を与えてくれます。本書を通じて、人生に立ちはだかる「壁」を超える力を、一緒に見つけてみませんか?
今回紹介した書籍はこちら
怒り、悲しみ、不安、嫉妬、後悔――。あなたを苦しめるネガティブな感情との向き合い方、上手な手放し方を身につける方法とは?長年にわたり数多くの人々の悩みや苦しみと向き合ってきた禅僧である大愚和尚が、仏教の思考法に基づき、自分の心との向き合い方、負の感情の手放し方を伝授する必読の一冊!
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■著者情報
大愚元勝
佛心宗大叢山福厳寺住職。慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。佛心僧学院学長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。 駒澤大学、曹洞宗大本山總持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」
構成/DIME編集部