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正解を求めるのではなく、ともに問いを立てるAIの活用法とは?博報堂が人×AIの新たな関係を提案するイベントを開催【PR】

2024.12.10PR

博報堂は11月25日、都内会場とオンラインのハイブリッド形式で「生活者インターフェース市場フォーラム 2024」を開催した。「生活者インターフェース市場」とは、デバイスやデジタルテクノロジーの進化によってあらゆるものがつながる中、これら生活者との新たな接点(インターフェース)を通じて、価値や体験を提供する市場のこと。今回は「AIと、この世界に別解を。- Human-Centered AI -」と題し、AIが日常になりつつある今、示唆に富んだ4つのセッションが展開された。

博報堂代表取締役社長の水島正幸氏

AIは“別解”を生み出す技術?

セッション1のタイトルは「AIとともに未来の社会はつくれるのか?」。博報堂DYホールディングスでCAIO(Chief AI Officer)を務める森 正弥氏が取り上げたのは、AIに対する日本企業の意識だ。デロイト トーマツの調査によれば、プライム上場企業の94%が生成AIを有益と考えていて、87.6%が既に導入している。にも関わらず、成果を実感できている企業の割合は少ないのだという。

博報堂DYホールディングス執行役員、Chief AI Officer、Human-Centered AI Institute代表の森 正弥氏

「既存の業務をAIで代替しようとしても、現在のAIは確率統計処理がベースになっているため、処理にブレや誤差、ハルシネーションが生じる。AIが常に正解を出すとは限らない」と森氏。これが期待の高さに反して、思うように活用できていない理由だと指摘する。「AIは“別解”を生み出す技術だと捉え、人間中心のアプローチをとる必要がある。AIは人の能力を拡張するためにこそ活用すべき」と語り、併せて博報堂DYホールディングスでは今年、人間中心のAI技術を研究、実践する「Human Centered AI Institute」を設立したことも紹介した。

効率や正解のためだけにAIを活用するのではなく、創造と問いのために活用しようと提言

AI時代の人間らしさとは?

セッション2では「AIは人間らしさをどう変えるのか?」について、芥川賞作家の九段理江氏、AI研究者の今井翔太氏、関西学院大学社会学部教授の鈴木謙介氏が、博報堂 ミライの事業室長の吉澤到氏をファシリテーターに3つのテーマでトークセッションを繰り広げた。1つ目のテーマは「AIと私」。芥川賞受賞作の執筆に生成AIを活用したことでも注目を集める九段氏は、生成AIは自分にとって「ダンベルのような存在」だと話す。「せっかくダンベルがあっても、そもそもの体幹が強くなければ、能力を高められない」と九段氏。質問=プロンプトをうまく投げかけるためには、ベースとなる知識が必要だと言い、「AIの回答に対してプロンプトを重ねるのは自分なので、結局は自分との対話になっていく。AIに解を求めるのではなく、プロセスから学ぶことの方が多い」と述べた。

2つ目のテーマは「AIと家族」。博報堂DYホールディングスが実施した「AIと暮らす未来の生活調査 2024」によれば、AIが家族や恋人のような存在になると考える人は、2~3割にのぼる。鈴木氏はAIのような新しいテクノロジーが日常になじむためには、昭和の時代に電話やテレビにカバーをかけたように、あるいはパソコンの壁紙を変えるように、ひと手間をかけることが重要だと指摘。対して今井氏は「パーソナライズがポイント」だと話し、今は大規模なデータセンターで処理されているAIが、デバイス内に処理されるようになれば、プライバシーを守りつつ、自分だけに向けた回答を受け取れるようになると説明する。

ファシリテーターを務めた吉澤到氏

3つ目のテーマは「AIと100年人生」。このテーマについて今井氏からは、AIによる医療の劇的な進歩で、寿命が大幅に伸びる可能性があるという驚きの発言も飛び出した。あわせてもし寿命が延びて有限性がなくなったら、人間は想像的な活動ができるのかといった、興味深い議論も展開された。

AI時代のチーム、人づくりとは?

セッション3では「企業は、AIと次世代のチームを築けるか?」と題し、NVIDIA日本代表 兼 米国本社副社長の大崎真孝氏、学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジ ISAKジャパン代表理事の小林りん氏、株式会社スクウェア・エニックスでAI研究をリードする三宅陽一郎氏が登壇。人間を中心とした企業のAI活用や、AI時代のチーム、人材育成、リーダーに求められる資質について、広く意見が交わされた。

ゲーム開発の現場でAIを研究する三宅氏は、「ゲームはもう人間では作れない大きさになっているが、だからといって人間の業務をAIに置き換えようという話ではない」と説明。「AIによってひとりの人間ができる作業は、5倍にも10倍にもエンハンスされるが、人間がチェックしないとだめなところも多い」という。また自身の体験を交え、「人とAIの切り分けは簡単ではなく、ワークフローでは切り分けできない」と話した。

国際色豊かな高等学校教育を実践する小林氏は、「AI時代には、教えて育む“教育”ではなく、自ら問うて学ぶ“学問”が重要」との持論を展開。「教えられるようなものは、AIに置き換えられる。答えのないもの、教えられないものについて、自ら問いを立てられる力を育む必要がある」という小林氏に、ファシリテーターを務めた森氏も「それは企業の人材育成にも共通する」と強い共感を示した。また三宅氏は、AI時代に求められる人材について、「こだわりがある人」をあげ「こだわりがあるから、自ら問うことができる。AIは進化が激しいので、自分で吸収する人じゃないと先に行くことはできない」と語った。

薩摩藩の人事評価を紹介し、AI時代の挑戦の大切さを説く小林りん氏

AI時代のリーダーに求められる資質について、意見を述べたのは大崎氏。「AI時代は、従来にない発想や仕組みで外部からの変革が起こりうる」とコメント。日本のリーダーにずばりこれだけは、という問いに対し、「属する業界についての技術や理解だけではなく、業界の枠を超えて技術への感度を上げ、さまざまなところと交流していくことが重要だ」と語りかけた。一方小林氏は、薩摩藩の人事評価を例にあげ、「これからのリーダーは、これまでやったことがないことに挑むことが多くなる。日本では失敗がすぐに減点になるが、失敗を恐れず挑戦できるような文化に変わっていかないといけない」と話していた。

AI時代の新しいコミュニケーションとは?

最後のセッション4は「人類はAIを愛せるか?」がテーマ。ポストAI時代のコミュニケーションについて、バーチャルヒューマン「imma」をプロデュースするAwwの守屋貴行氏、ディープラーニングの研究・開発に取り組むPreferred Networksの福田昌昭氏が語り合った。ファシリテーターを務めたTBWA\HAKUHODOの細田高広氏がまず取り上げたのは、「ドラえもんVSターミネーター」に代表される、日米のAIに対する意識の違い。「文化的な背景なのか、もしかしたら宗教論なのかもしれないが、日本はAIにポジティブ。これは良い土壌と言えるのではないか」と守屋氏。AIのパーソナライズが進み、「隣にAIエージェントがいるという状態が訪れる」と予測する。

その先にAIとどのような生活者体験を想像できるのかについては、「IP×AI」、「検索から、対話へ」といったキーワードあげられた。「IP×AI」で守屋氏が提言したのは、生活者にAIと話したいという気持ちにさせるには、IP(ストーリー、キャラクター、世界観)が大切だということ。特に日本はIP大国なので、この方向性では大きな可能性がありそうだ。一方「検索から、対話へ」は、対話がすべてのインターフェースになる可能性があるという話。「言葉にしづらいものも、あいまいなものも、対話だとスムーズに引き出せるということはある」と福田氏。「そのインターフェースを人がどう設計するか。今はまだ道具としてどう使うかという段階で、(AIが)意識を持っているっていう話はもう少し先だと思っている」との意見を述べた。

なお、「生活者インターフェース市場フォーラム 2024」ではセッションのほか、参加者ごとにパーソナライズされたアバターと話せるしかけも提供された。事前に登録した自分の目標や関心事、口癖、座右の銘などの情報をもとに、「10年後の“なりたい”じぶん」と対話できるというもの。パーソナライズされたIPにはより親しみを持つことができ、また対話を通じて「なりたい自分」というあいまいなイメージが、整理されていくような感覚も得られるなど、こちらも示唆に富んだ体験となっていた。

■関連情報
https://hcaii.com/
https://www.hakuhodo.co.jp/magazine/113480/

取材・文/太田百合子

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