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令和の価値観と逆行する〝アンコンシャス・バイアス〟の実態

2024.12.07

昨今、よく見聞きするワード「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」とは、私たちが無意識に持っている価値観や偏見が、行動や判断に影響を与える現象である。特に「昭和の時代」に形成された価値観、例えば「男女は役割が違う」「年功序列が当たり前」など、時代遅れの考え方が、今も無意識に私たちの思考や行動に影響を与えている。

これらはもともとその時代には重要な規範だったかもしれないが、現代では働き方、生き方の多様性を尊重することが重要視されるようになった。無意識のうちに「こうあるべき」という思い込みが、個人や組織の自由な発想や成長を妨げているのではないかという意見も強くなっている。

前回に引き続き、新刊『あなたの生きづらさ“昭和な呪い”のせいでした』を上梓した婚活コンサルタントの松尾知枝氏にお話を伺った。

適齢期になったら結婚するのが当然だとする「皆婚規範」という考え

“昭和な呪い”という名のアンコンシャスバイアス!?3万人の結婚迷い人を導いた婚活コンサルタントが指南する解呪術

3万人の婚活迷い人をサポートしてきた婚活コンサルタント松尾知枝氏の新刊、令和なマインドエクササイズ本『あなたの生きづらさ“昭和な呪い”のせいでした』が発売された...

『あなたの生きづらさ “昭和な呪い” のせいでした
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婚活コンサルタントとして3万人以上をサポートしてきた松尾氏は、クライアントとの対話を重ねる中で、恋愛や結婚に関する悩みの多くが、実は技術的な問題や条件だけにとどまらず、社会や家庭から受け継がれた古い固定観念に根ざしていることに気づいたと言う。

「少し前までは、適齢期になったら結婚するのが当然だとする「皆婚規範」という考えが強くありました。特に1960年代は、約90%以上の人が結婚していたそうです!

 昔の日本では、お見合いによる結婚が主流でした。特に1950年代から1960年代にかけては、結婚する人の約半数が見合い結婚を選んでいたとされています。適齢期の男女に対して、会社や親戚が積極的にお見合いを斡旋せんしていました。

 その当時、結婚することに消極的だった人もいたでしょう。しかし『結婚しないと一人前じゃない』『結婚するのが当たり前だ』という強い社会的圧力に屈して、結婚を決めた人も多かったかもしれません。このような昭和な呪いの強さが高い婚姻率を維持してきた側面もあると言えるでしょう」


↑本誌内、漫画パートのボイスコミック動画も必見!

こうして昭和な時代から根付く古い価値感のアンコンシャスバイアスが令和になった未だに“昭和な呪い”としてはびこり、ダイバーシティ&インクルージョン、心理的安全性、ジェンダー平等など「個」を尊重し、多様性や柔軟性を重視する新しい価値感の普及を阻害しているというわけである。では、どうしたらこのような“昭和な呪い”の呪縛から脱することができるのだろうか?

「まず、どんな呪い(アンコンシャス・バイアス)があるのかを知ることが大切です。少しでも知識があれば、呪いにかからずに済みますし、既にかかっている呪いに対しても落ち着いて対応できます」

そこから、松尾氏は、いまだ仕事や日常生活の中で当たり前のように交わされ、無意識に受け入れられている典型的な「昭和的なフレーズ」をピックアップ。特に、社会で頻繁に議論されるテーマに関連して、これらのフレーズを以下の七つの「呪い」に分類している。

・集団の調和を最優先し、個人の意見や創造性を抑圧する風潮を生み出す「空気を読めの呪い」
・性別に基づいた役割分担や行動規範をこり固めてしまう「ジェンダーの呪い」
・過度な働き方や自己犠牲を美徳とする「24時間戦えますか?の呪い」
・年齢による能力や役割のステレオタイプ化してしまう「年齢の呪い」
・母親の家事労働過多を生み出す育児や家事は女性という固定観念「ママなんだからの呪い」
・他者と比較し、優劣を競う風潮をあおる「マウンティングの呪い」
・親子間での過干渉やモラハラを生み出しやすくしてしまう「アットホームの呪い」

今回、この七つの呪いのうち、「空気読めの呪い」について伺ってみた。

「「空気読めの呪い」とは、周囲と同じように考えて行動することを暗に要求される圧力のことです。『みんなそうしてるんだから、あなたもそうすべき』といった暗黙の了解が背後にあります。空気を読まないと、何らかの制裁を受けるのでは……という恐怖からつい従ってしまうのです。

 次第に自分の意見を封印し、ただただ周囲に合わせていくように。重症化すると、何事も周りの空気に合わせて無難なほうを選択する『事なかれ主義』に陥りやすく、まさに、思考停止の呪いですね。」

そして未だに良く見聞きする具体的な「空気読めの呪い」のフレーズを挙げてもらった。

「仕事とはそういうもの」

「古い体質の会社で働いていると、先輩から一度は『昔はもっと大変だった』『それが常識』と言われたことがあるのではないでしょうか。

 こんな経験、ありませんか? 効率重視でサクッと作った企画書が、上司の『伝統』的やり方に阻まれて、結局やり直し。婚活中のお客様から、そんな嘆きを聞いたことがあります。

 その方はIT企業から伝統的な会社に転職された経歴の持ち主。最新技術を駆使して、分かりやすくインパクトのある資料を作ったのに、上司から『企画書はそうじゃない! うちは従来通りのやり方があるから』と言われ、結局、文字がびっしりの昭和スタイルな企画書を作り直す羽目になったのだとか。

 効率重視が通じない世界では、どうやら手間暇かけることが『仕事の本』らしいです。

 彼女は『せっかく効率的に作ったのに』と嘆いていました。『仕事とはそういうもの』」の壁はなかなか手強いですね……」

○類似する呪いのフレーズ
「長年こうしてきた」
「それが常識」

「出る杭は打たれる」

「『出る杭は打たれる』は日本人にとってあまりにも有名なことわざではないでしょうか。

 類たぐい稀まれなる才能を持ち、目立つ存在の人は、周囲から批判や妬ね たみを買いやすいという意味です。『誰でもできる』や『お前に言われる筋合いはない』『立場をわきまえろ』などは、その人の優秀な能力や才能を過小評価したい時によく使われるお決まりのフレーズですね! 相手を押さえつけたい時に使われることの多いフレーズで『生意気だ、あんまり目立ちすぎるな』と暗に釘を刺しています。嫉妬と牽制が織り交ざったこれらのフレーズには、優れた才能を潰してやろうという悪意が漂っています。」

○類似する呪いのフレーズ
「(そんなレベルのこと)誰でもできる」
「立場をわきまえろ」

「たまには一杯つきあえよ」

「昭和の時代は、仕事とプライベートの境界が曖昧で、飲み会も仕事の一部として捉えられていました。今でも会社によっては、飲み会参加は任意と謳たっておいて実質的には強制参加ということも。昭和の時代と違って、今は公私の線引きをある程度ハッキリさせたい人たちが増えているので「たまには一杯つきあえよ」というノリを苦手に感じる人や、飲み会の上手な断り方を紹介した記事もネットではたくさん見かけるようになりました。コロナ禍で、感染防止のために飲み会や懇親会開催がピタッとなくなった時、ひそかに喜んでいた人もたくさんいるのでは!?

 そもそも、気乗りしない飲み会になぜ参加するのか? 行っておいたほうが何らかのメリットを得られるだろうと期待してのことだと思いますが。ちなみにアルコール耐性と所得の関係を調べた研究結果によれば、飲める人のほうが稼げるという相関関係はありませんでした! 体質的にお酒が弱いという人も安心ですね」

○類似する呪いのフレーズ
「先輩の酒の誘いは断らないもの」
「飲みの席には這ってでも行け」

↑随所に織り込まれている、本誌内容からインスパイアされた漫画ストーリーは、少女漫画雑誌『Sho-Comi』で活躍する漫画家、真己京子先生が執筆。読みやすさをサポート。

職場での意思決定はしばしば、意見を異にすることが「浮いた存在」と見なされるリスクを伴う。その結果、集団内での一致を優先するあまり、異なる視点が抑圧されてしまうことが多い。特に、無意識のうちに「周りと違う意見を言うことは間違っている」と感じる場合、結果として不正確な決定がなされることがあるのだ。こうした同調圧力により、私たちの自由な発想や判断は無意識の偏見によって制限されがちである。

こういった偏見を乗り越えるためには、まずそれらの存在に気づき認識し、意識的に思考の枠組みを再構築することが重要であると松尾氏は指摘する。

改めてテキスト化され列挙された“昭和な呪い”を認識することで、その背景を深く掘り下げて考え、無意識的に潜んでいる固定概念、偏見、思い込み…に改めて気づき、驚かされたのではないだろうか?この気づきのプロセスを通じて、こうした偏見に対する「心の免疫」を少しでも鍛え、本来の自分らしい楽な生き方を取り戻すきっかけを提供したい…それがこの著書に込めた松尾氏の意図でもある。

次回は、七つの“昭和な呪い”呪いの中から、特に日本社会において昨今、物議が醸されがちなトピックに深く関わる「ジェンダーの呪い」に焦点を当て、“昭和な呪い”の影響と解決へのアプローチについて考察する。

●著者プロフィール

松尾 知枝(まつおちえ)
婚活コンサルタント、株式会社インプレシャス 代表取締
10歳から8年間、児童養護施設で暮らす。 つらい幼少期を経て、 自身で考案したメンタルエクササイズにより呪いを解き、 目標達成する面白さに目覚める。 新卒で日本航空に入社。CAとして国内線、国際線に乗務。 2011年より自身の経験と心理学をベースにした婚活支援を行う。 自己肯定感を高め、心から望むライフデザインを描きたい女性から 大きな支持を受ける。情報番組出演や東京都の婚活支援事業、 ゼクシィ縁結びのコラムに監修として携わるなど、活躍の場を広げている。 著書に『3ヶ月でベストパートナーと結婚する方法』(かんき出版)、 『3年以内に成功する男、消える男』(フォレスト出版)、 『1日5分で夢が叶う 日記の魔法』(中経出版)

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構成/DIME編集部

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