部下が辞めたいと言った場合、事前の兆候を見逃さないことが大切です。仕事への発言減少、評価を気にしない、周囲とのコミュニケーション減少がサインです。積極的に話を聞く姿勢が重要です。
部下が突然会社を辞めたいと言ってきたとき、上司としてはどのように振舞うのが正解なのかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
“突然”と感じた場合には、おそらく引き留めることは不可能に近いでしょう。なぜなら、辞めることを決意する前に、部下には様々な兆候が見られたはずだからです。
また、部下が辞めることに対して、上司である自分のせいだと思いつめてしまう方もいますが、そう思ってしまうのは、普段から部下と円滑なコミュニケーションが取れていなかったからではありませんか。
“突然”、“自分のせいかも”とならないために、今回は部下が辞める兆候や、上司としての正しい対応について紹介していきます。
会社を辞めそうな部下に見られる兆候
何の前触れもなく、いつも通りの勤務態度のまま辞めることを決意する部下もいるでしょう。しかし、そんな部下にも、普段から積極的にコミュニケーションを取っていれば、ほんの些細な変化というサインに気づくことができるはずです。
ここでは、普段の様子から変化するポイントを取り上げます。通常の様子がまったくわからないという方は、普段からこのようなポイントを意識して部下と接するようにしてみてください。
1.仕事に対しての発言が減った
辞めようと考えている人は、仕事に対しての積極性が減少していきます。普段よりも仕事に関する質問や発言、相談が減ったときは注意が必要です。
また、仕事に対する愚痴を日常的に言っているタイプの部下が、まったく愚痴を言わなくなったときも、辞めることを意識している可能性があります。なぜなら、愚痴というのは仕事に対して興味がある表れでもあるからです。愚痴を言う必要もないほど、もうその仕事に興味がなくなってしまっているのかもしれません。
2.仕事の評価を気にしなくなった
評価は、仕事に対するモチベーションに深く関係しています。評価が上がれば給料がアップしたり、他人から認められるという承認欲求も満たしてくれるからです。
退職を考えている人は、もう仕事対するモチベーションを上げる必要もなく、誰になんと思われようと関係ないという思考になる傾向があります。
3.周囲とのコミュニケーションが減った
企業に勤めている場合には、1人だけで行う仕事は少なく、複数の人とチームになり、業務を行っていくことが多いでしょう。そんな中で、以前より周囲とコミュニケーションが減っている場合には、辞めることを考えている可能性が考えられます。
また、業務時間だけでなく、休憩時間も同様です。周囲と何も揉め事がないのに普段よりも会話が減っていれば、辞めることを考えている1つのサインと言えるでしょう。
兆候に気づいたら…、上司としての正しい対応とは
兆候に気づいても、本人は退職する意思を固めたかどうかまではわかりません。兆候に気づいた後は、どちらかわからないにしても、上司として積極的に声をかけて話を聞くようにしてください。部下のほうから相談を持ちかけてきた場合にも同様です。
下記は、部下の話を聞くときの正しい対応です。話を聞こうとしても部下が話したがらない場合には、本人の意志が固まっている状態、または部下との信頼関係がうまく築けていなかったサインとなるので、今後そうならないために、普段から積極的なコミュニケーションを心がけるようにしてください。
1.積極的にコミュニケーションを取る
日常的に声をかけるなど、積極的なコミュニケーションはとても大切です。上司からコミュニケーションを行うことで、部下は自分のことを気にかけてくれていると感じ、そんな上司に相談したい、上司の下で働きたいという気持ちが芽生えていく可能性があります。
兆候で触れたように、辞めたいと考えている人は周囲とのコミュニケーションが減少していることも考えられます。孤立感が強くなっている可能性もあるので、上司から積極的な声かけを行い、相談しやすい雰囲気を作るようにしてください。
2.遮らずに話を聞く
話をしてくれることになったら、ひとまず、部下の話を遮らずに聞くようにしてください。話を遮ることは人に圧迫感を与えます。それが上司と部下という関係性であれば圧迫感はより強くなります。
話を聞くときは、部下のほうに体ごと向け、相槌は積極的に行うようにしてみてください。態度でも相手を受け入れるという姿勢を見せることが大切です。
辞めたいと伝えることはとても勇気がいることです。話を聞いた後には、「話してくれてありがとう」などの言葉を足すといいでしょう。
3.自分の意見は伝えない
話をひと通り聞いた後に、アドバイスとして自分の意見を伝える上司がいますが、これは辞めたいと話している部下に対しては、絶対に避けるべき行動です。アドバイスは、あくまでも求められた場合にのみ行うほうがコミュニケーションは円滑に進みます。ましてや辞めるという相談に対して「こうしたほうがいい」という言葉は、部下にとっては否定されていると感じる可能性もあります。
また、間違っても「今辞められたら困る」など、会社都合や自分の都合を押しつけないようにしてください。
文・構成/藤野綾子
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