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周囲のフォローも苦言もすべてが300年後の「穴」になる!?コカ・コーラBJI荷堂真紀さんの型破りなライフデザイン論

2024.12.06

セカンドライフのデザインやワーク&ケアバランスなどをテーマに、東京大学未来ビジョン研究センターで産学連携のプロジェクト研究を進めるコスタンティーニ ヒロコさん。コカ·コーラ ボトラーズジャパン執行役員を務める荷堂真紀さんをゲストに迎えた本音トークがセカンドステージを明るく照らす、刺激たっぷりのスペシャル対談後編です。

コスタンティーニ ヒロコさんの心に引っかかった、荷堂さんが楽しみにしている「穴」とは? 300年後の夢とは何でしょう。

前編はコチラ

タフな心と失敗を学びに変える〝こじつけ力〟でキャリアを積み上げたコカ・コーラBJI荷堂真紀さんの型破りなライフデザイン論

【対談】コカ・コーラ ボトラーズジャパン荷堂真紀さん×コスタンティーニ東大特任講師 セカンドライフのデザインやワーク&ケアバランスなどをテーマに、東京大学未来ビ...

「穴」と300年後と現在の仕事観

PROFILE
コスタンティーニ ヒロコさん
兵庫県生まれ。のどかな田園風景の広がる丹波市で5人きょうだいの末っ子として育つ。ハーバード大学およびオックスフォード大学などで社会科学を学び、生後10日の3女を抱きかかえながらオックスフォード大学で修士課程を開始。ケンブリッジ大学で博士号修得、パリ政治学院、オックスフォード大学で研究と教育に従事した後、セカンド・ステージのため20数年ぶりに日本へ帰国。2022年4月より東京大学未来ビジョン研究センター特任助教、24年11月より同特任講師を務める。研究分野は社会的サステナビリティ(特にDEI)、ソーシャル・イノベーション、ワーク&ケアバランス(介護と子育て)&ウェルビーイング・バランスなど多岐にわたる。
https://ifi.u-tokyo.ac.jp/people/costantini-hiroko/

PROFILE
荷堂 真紀(かどう まき)さん
広島県生まれ。1992年香川大学卒業後、日本電気に入社。版権管理、ソフトウェア企業の転職を経て、現在はコカ·コーラ ボトラーズジャパン執行役員 最高経営戦略責任者 兼 経営戦略本部長、フードサービスカンパニー プレジデント。コカ·コーラ カスタマー マーケティング代表取締役社長。コカ·コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 執行役員 役員室長 兼 社長補佐。

コスタンティーニ ヒロコ(以下、コスタンティーニ) さて、「穴」の話でしたね。「穴」とは、300年後の未来から、人間界を見るためのもの? しかも、それは今の仕事にも必要な視点だとか。それは一体どういうことですか!?

荷堂真紀(以下、荷堂) 30歳頃かな。こんなことを妄想というか、夢想するようになりました。この世の生が終わった後、高い空というか、宇宙というか、とにかく上のほうから人間界を眺めている私がいるんです。

コスタンティーニ 死後、天国とか天界などから地上を見ているイメージですね。

荷堂 そんな感じです。見下ろす地球は霞がかっているんですが、そこに「穴」が開いていて、地上で生きている自分の子孫のほか、生前一緒に仕事したり、何かしらご縁があったりした人の末裔が何をしているのか、覗けるんです。

コスタンティーニ たとえば、どんな様子?

荷堂 仕事がうまくいったり、親子ゲンカをしていたり…。それを見て、「よしよし、うまくいっているね」「あらあら、もめてますね~」とかつぶやくのって、楽しいと思いませんか? そういう穴がたくさんあればあるほど、死んだ後も退屈しないでしょ?

コスタンティーニ 最近、「人生100年時代」とはよく言われていますが、300年後ですか…。いやはや、壮大ですね。

荷堂 そういう「穴」をたくさん覗いて、「昔むかし、ひいおばあちゃんが荷堂さんという人とこんなふうに話をしたから、私たちは、今、ここにこうして暮らしているんだよね~」とか語り継がれていたら、楽しいじゃないですか!

コスタンティーニ 確かに、楽しいかも…。

荷堂 うちの5人の子どものうち、2人はアメリカ在住です。この先、どの国や地域に住んで、どんなルーツを持つ人と出会うか、そしてどんな子どもが生まれていくか、本当に楽しみです。

コスタンティーニ 日本だけでじゃなく、世界中に「穴」が広がっていきますね。

荷堂 そうそう! 

コスタンティーニ その「穴」が、現在の仕事の視点にもつながっているとは、どういうことですか?

荷堂 300年後に「お楽しみ」が待っていると思えば、この世の、仕事上のちょっとしたトラブルに悩んだり、キャリアを焦ったりする必要はないと思えます。300年のスケールで考えれば、個人のエゴも、悩みや心配、焦りも、ほんの一瞬の、些末なことですから。

コスタンティーニ そこは私と違うところですね。日本では「まだまだこれから!」という50代の働き盛りの人が、ポジションを失って活力がなくなったり、「この先、ポジションを失ったらどうしよう……」と焦ったりするケースが多いですし、私自身も、正直、不安はあります。特に50歳を過ぎたあたりから、若いときには感じなかったリスクを感じるようになりました。

荷堂 そんな! 立派なキャリアをお持ちの研究者なのに…。

コスタンティーニ 荷堂さんは、ここで失敗したら後がないと焦りませんか? 慌てたりしない?

荷堂 全然! 失敗すると、周りの人がフォローしてくれることもある一方で、苦言を頂戴することもありますが、それらすべてが300年後の「穴」になりますから。苦言を呈してくれたあの人の子孫がここにいて、あのとき言ってくれたから、この次の次の穴が開いたのよね~と思えると、慌てるどころか、現世での自分の失敗も全部アリです!

コスタンティーニ つ、強い! 

セカンドステージは、地域(コミュニティ)への恩返しをしたい

コスタンティーニ さて、現世に時間軸を戻しまして(笑)。私、20数年ぶりに日本に帰ってきて、びっくりしているんです。「50代に入ると、急に社会の中でインビジブル(=見えない人)になる」と感じて…。パリなら、これまで培った能力や経験を土台に「さあ、今から!」と活気づく人が多いんです。専業主婦だって、子育てがひと段落して「自分の好きなことをしよう」とイキイキしています。それなのに日本では、そういう環境ではない……。

荷堂・コスタンティーニ 実にもったいない!

コスタンティーニ 思わず、ハモっちゃいましたね。荷堂さんご自身のセカンドステージへの思いは? 今後も、ずっと仕事していたいですか?

荷堂 死ぬ瞬間まで仕事していたいですね。仕事といっても、お金をもらうことだけが仕事じゃなく、隣近所の掃除をしたり、地域のボランティアをしたり、子どもの見守りをしたり……。何かしら体を動かして、誰かのために行動していたいです。

コスタンティーニ 健康寿命も、社会貢献寿命も長そうですね。

荷堂 私にとって、仕事とは、自分自身のいきがいでもあるし、家族との関りでもあるし、 地域に対する貢献でもあります。そうして動いていないと、ほら、「穴」が開かなないから(笑)。

コスタンティーニ あら、話が戻っちゃった(笑)。

荷堂 これからは、地域(コミュニティ)への恩返しをしたいなと思います。今はまだ、邪(よこしま)な恩返ししか、していないですから。

コスタンティーニ 出ました! 荷堂さん独特の表現、「邪な恩返し」とは?

荷堂 子どもたちのクラブ活動や、保護猫・保護犬活動に貢献したりしています。ただこれは自分の子どもが関わっていたり、妹が活動をリードしていたり、ということで彼ら彼女によいようになればと下心があるわけです(笑)。フルタイムで働くメインの仕事が終わって自由になったら、もっと純粋にコミュニティにサービスしたいと思っています。

コスタンティーニ 日本屈指のビジネスリーダーが、かなりお忙しい中、ボランティア?

荷堂 動くのは大好きです。逆に、じ~っとしているのは、耐えられない。誰かの何かの役に立っていたいのです。マンションのリサイクル資源収集所の段ボールの捨て方が気になったらきれいに畳んだり、移動中についついベビーカーの乗せ降ろしを手伝ってみたり、見方によってはおせっかいなおばさんです。それが遺伝して、娘はたまたま乗車ホームを尋ねられた外国からの旅行者を、わざわざそのホームまでお連れしたりするようです……。

コスタンティーニ 荷堂さんの貢献寿命、300年続きそうな勢いですね!

社員のセカンドステージを考えた仕組みづくり

コスタンティーニ ご自身のセカンドステージを考える一方で、社員の皆さんのセカンドステージも考えていらっしゃるとか。

荷堂 一人ひとりに、それぞれのセカンドステージがあるわけですから。それに、今後、何万人もの社員が定年を迎え、OGOBとなっていきます。私自身もそうですが、社員もOGOBも、みんな誰かの子であり、パートナーであり、親であったりします。ビジネスリーダーとしても、セカンドステージでも、関わる人を大切にし、人と人をつなげていければいいなと思っています。

コスタンティーニ ますます、死後のお楽しみ、「穴」が増えていきますね。最後に、ご家族へ一言。

荷堂 家族には感謝しています。もし仕事だけしていたら、私、とっくの昔に過労死していたかも。食事を作ったり、習い事の送り迎えをしたり、そういう子どもとの時間があったからこそ、時間のやりくりがうまくできたと思います。今、人生の先輩としてセカンドステージのよい見本を見せてくれている夫のことも、尊敬しています。

コスタンティーニ 仕事もプライベートも大切にし、300年後に向けて着々と「穴」を広げていらっしゃる荷堂さんの生き方、とても素敵です。今日は、興味深いお話をありがとうございました。

左/荷堂真紀さん(コカ·コーラ ボトラーズジャパン執行役員) 右/コスタンティーニ ヒロコさん(東京大学特任講師)

***

■コスタンティーニ’s notes

300年という壮大な視点で現在を捉え行動されている荷堂さんの哲学をうかがい、私自身の日常生活における経験哲学(実際の観察や経験に基づいて物事を考察する哲学)を振り返る貴重な機会となりました。

荷堂さんの世界観に深くインスパイアされ、今後の自分のセカンドステージやセカンドライフを熟考するとともに、「人は何のために生きているのか」という、我々の存在に関わる根本的な問いに対するお答えをいただいたように感じました。

取材・文/ひだいますみ 撮影/小倉雄一郎(小学館)

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