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「こんにちわ」と「こんにちは」のどちらが正解で、ビジネスシーンに相応しいだろうか。少し考えれば「こんにちは」が正しいと答えられる人は少なくないが、実際はSNSはもちろんビジネスシーンなどのパブリックな状況においても間違って使ってしまう人が少なくない。
その大きな原因の1つとしては「こんにちわ」が間違いで「こんにちは」が正しい理由を理解しておらず、普段からなんとなく使ってしまっているからではないだろうか。そこで「こんにちわ」が間違いである簡単な理由と、ビジネスシーンにおける正しい挨拶の仕方について解説しよう。
結論。「こんにちわ」は間違い!
見出しでも記載しているように、日本語としては「こんにちわ」が不正解であり「こんにちは」が正解である。最も単純で覚えておくべき、その理由は、以下のように国が『現代化遣い』の正解として「こんにちは」を示しているからだ。
■助詞の「は」は「は」と書く(例)
今日は日曜です、山では雪が降りました、あるいは、または、もしくは、いずれは、さては、ついては、ではさようなら、とはいえ、惜しむらくは、恐らくは、願わくは、これはこれは、こんにちは、こんばんは、悪天候もものかは |
※出典:文部科学省文化庁HP:「現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)」
国が決めているのだから正しいというのは、少々暴論ではあるが多くの人が納得できる理由なのではないだろうか。それでも腑に落ちない人は「こんにち」を漢字にして見比べて欲しい。「今日わ」と書くとかなり大きな違和感があるのではないだろうか。
その違和感こそが「こんにちわ」が間違いである証拠だ。つまり、こんにちはの語源は「今日は」であり、本来は「今日はご機嫌いかがでしょうか」や「今日は雨ですね」といったような言葉が続くのである。「こんにちは」の「は」は、あくまで言葉と言葉をつなぐための役割である「係助詞」であり、文末に使用して言葉を切る終助詞の「わ」とは本来の意味が異なるのだ。ちなみに、「係助詞」と「終助詞」の意味は以下の通りだ。
意味 |
具体例 |
|
係助詞(副助詞・取り立て助詞) |
前後の言葉、文章をつないで「区別」、「強調」、「反復」、「提示」などを表す役割を持つ助詞のこと |
は、も、こそ、でも、しか |
終助詞 |
言葉や文章の最後に付いて終わらせるための助詞。「希望」や「感動」といった様々な意思・意図を言葉に加える。 |
か、な、よ、わ |
係助詞や終助詞という用語に抵抗感を覚える人も少なくないだろう。だからこそ、「こんにちわ」と「こんにちは」で迷ったときは一度漢字で書き起こしてみよう。どちらが本来の言葉の意味なのか、感覚的にでも思い出せるはずだ。
「こんにちは」はビジネスシーンで使えるの?
「こんにちは」は基本的にフランクなイメージを与えやすい挨拶であるため、社外の関係者に対してはBtoBやBtoCを問わず、いつでもどこでも使える挨拶ではないだろう。あくまで個人的な感覚ではあるが、宅配や美容院、病院といったお客様のパーソナルスペースに触れる業務や、すでに関係値ができているお得様に対して口頭で使われることが多い印象だ。社外向けの文章としては、「こんにちは」ではなく以下の挨拶を使用することが一般的だろう。
- お世話になっております。
- いつもご利用いただきありがとうございます。
- 突然の連絡失礼いたします。
- ご無沙汰しております。
一方、社内かつチャットなど手軽な連絡ツールにおいては「こんにちは」が用いられるケースは少なくないだろう。同僚や年齢や役職などが近い人同士であれば問題ないが、上長など目上の人へのビジネスメールやチャットで「こんにちは」を使うのは少々リスクがあるので控えた方が無難だろう。
その際の言い換えも、基本的には上記の対外用の挨拶で問題ない。挨拶したい人の立場や関係性に配慮して「こんにちは」の使用の有無を判断しよう。
「こんにちわ」は不正解。正しく「こんにちは」を使おう
「こんにちわ」が間違っていて「こんにちは」が正解である理由について解説した。ビジネスシーンでは、なかなか文字や文章として使うシーンが少ないからこそ、いざという時にふと手を止めてしまうケースもあるだろう。
そんな時は、「今日わ」と「今日は」がどちらがしっくりくるか考えてみることをおすすめする。
文/編集部