会社における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援するリクルートマネジメントソリューションズは、従業員規模が50名以上の会社に勤める25歳~59歳の正社員7405名に対し、「働く人のリーダーシップ調査2024」を実施。2024年11月27日、その分析結果の第1回を公開した。
本稿では、同社リリースを元にその概要をお伝えする。
調査にあたって
今回の調査は、同社の管理者適性検査「NMAT」のフレームを用いた簡易版診断として、「自分自身」「理想のリーダー」「直属の上司」のそれぞれについて、AとBのどちらにあてはまるかを以下3点について質問、リーダーシップタイプを分類した。
1.組織内における集団との関わり方は、「A.周囲と協力し合う」「B.自分が引っ張る」
2.課題に対して取り組む姿勢は、「A.改善・維持」「B.変革・拡張」
3.迷った際の判断のよりどころは、「A.周囲の気持ち・心情」「B.ロジック・理性」
<図1> リーダーシップタイプの指標
<図2> リーダーシップタイプの簡易版診断
Topic1:理想の上司のリーダーシップタイプ
■理想の上司は、「調和型リーダー」が29.8%と最多(図3)
<図3> 理想の上司のリーダーシップタイプ
図表1・2のフレームを用いた理想の上司のタイプ別の結果。調整×維持×心情という性質を持つ「調和型リーダー」が29.8%と最多となった。次いで多かったのは調整×維持×理性という性質を持つ「安定型リーダー」で26.7%だった。
周囲と協力し合い、大きな変革を起こすよりは現状を維持しつつ、適宜改善に取り組んでいく上司像を理想とする人が多いことがわかる。
■年代が上がるにつれ、理性で判断するリーダーが求められる傾向(図表4)
<図4> 【年代別】理想の上司のリーダーシップタイプ
年代別の回答では大まかな傾向に違いはあまり見られなかったが、年代が上がるにつれて「安定型リーダー(調整×維持×理性)」、「民主型リーダー(調整×変革×理性)」を理想的とする人の割合が上がっている。心情よりも理性を判断のよりどころとしてほしい人が、20代と比べて50代は多いという結果が出たようだ。
人生において働いている期間が長くなるほど、上司のさまざまな判断に直面するはず。そのなかで、以前の判断との間に齟齬を感じる場面では、心情ではなく理性で判断されたほうが納得できると感じるようになるのかもしれない。
Topic2:直属の上司のリーダーシップタイプ
■回答者の直属の上司も、「調和型リーダー」が31.4%と最多(図5)
<図5> 直属の上司のリーダーシップタイプ
上司のリーダーシップタイプは、「調和型リーダー(調整×維持×心情)」が最も多く、次いで「安定型リーダー(調整×維持×理性)」となり、topic1の「理想の上司」と同様の結果となった。
ただし、3番目に多かったのは「開拓型リーダー(統率×変革×理性)」となり、topic1の「民主型リーダー(調整×変革×理性)」とは違いが生じている。
最も多い「調和型リーダー」と正反対の性質を持つ「開拓型リーダー(統率×変革×理性)」が、実際の直属上司においては3番目に多いというのは、組織というものの面白さを感じさせる結果ではないだろうか。
Topic3:上司のリーダーシップタイプによって部下からの信頼感に違い
まずは、「上司は、私の幸福を気にかけてくれる」「上司は、仕事についての知識が豊富である」など15項目の平均値(6点満点)で、上司のリーダーシップタイプによって部下からの信頼感がどのように異なるかを確認した。
■周囲と協力し合う特徴がある上司に、信頼感を抱く部下が多い(図6)
<図6> 上司のリーダーシップタイプ別 回答者の上司への信頼感の得点
部下である回答者からは、「民主型リーダー(調整×変革×理性)」が最も信頼感を持たれていることがわかった。時に強権的に見えかねない「統率」と比較して、穏健派な印象の「調整」の上司に信頼感を抱く部下が多いようだ。