今年のドン・キホーテの大きな話題が「ドンキイクヨ」のコピーもバズったブルーノ・マーズ出演のCM。PB「情熱価格」の『偏愛めし』なども手掛けたドンキ躍進のキーマンである森谷健史さんに、ヒット連発の商品開発術を聞いた。
PBは成長の源泉。
必要な商品とエンタメ要素がマッチしていることがドンキの真髄です
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
常務執行役員・PB事業統括責任者 森谷健史さん
2005年新卒で入社。2018年からはデジタル戦略の責任者としてアプリ開発に携わり、2019年にはPB事業戦略本部本部長に就任。「仕事が労働にならないよう率先して楽しむこと」がモットー。
PBの強みを最大限に使いドンキの主力商品に成長
「本物が出ている!」とSNSが沸き立ったCMは、ブルーノ・マーズがリアルなドンキファンという理由で実現。「MEGA ドン・キホーテ渋谷本店」で撮影され、客として来店したブルーノ・マーズと4名のダンサーが店内の様々な場所で踊りながら、PB(ピープルブランド)「情熱価格」の商品を購入していくという内容だ。
この「情熱価格」をリブランディングし、わずか3年でPB売り上げを1366億円から2461億に急成長させたのが、PPIH常務執行役員を務める森谷健史さん。
「お客様の『買いたい!』という感情に触れるエモーショナルな買い物を提供しようと、「ド」のブランドロゴや、お客様の気持ちに刺さる長いコメントが誕生。リブランディング後に売り上げが急伸すると、スタッフの士気も高まり、『情熱価格』の商品をプライドと自信を持って訴求してくれたことも後押しになったと思います」
そして今年も「情熱価格」から、『偏愛めし』という大ヒットが誕生。
「小売店にとってPBは、客層に合わせ、カスタマイズできる唯一の商品。この強みを生かし、たとえニッチでも想定するお客様だけに刺さればいいと作ったのがカロリー無視の『偏愛めし』です。ヒット狙いではなく、価値に納得して狙える客層が広がって、売り上げを押し上げたのだと思います」
現在「情熱価格」を含むPB/OEMの売り上げは約2500億円に伸長したが、社長からは3年後に5000億円という新たな宿題が出された。「目標とタイムリミットがあると、仕事が楽しくなる」という森谷さん。来年も「ド」から、「ド」でかいヒットが期待できそうだ。
あのブルーノ・マーズを起用「#ドンキイクヨ」
ブルーノ・マーズ限定コラボグッズも販売は好調。ドンペンをあしらうパーカー、キャップなどをラインアップ。
※販売は2024年11月20日まで。
映像のプロデュースと書き下ろしのジングルをブルーノ・マーズ本人が手掛けた。現場に足を運び装飾や撮影場所も決めたという。
みんなの75点より誰かの120点『偏愛めし』
発売3か月で3000万円の売り上げ!
SNSで大バズリした『フライドチキンの皮だけ弁当』など、ニッチだが好きな人には絶対刺さる偏愛メニューがヒットに大化けした。
取材・文/安藤政弘 撮影/タナカヨシトモ
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