電通は、都市・まちの分析から、未来の価値創造までを、人・生きもの・都市リスク視点で支援するサービス「シティフローラ」を開発。2024年11月27日より提供を開始した。
専門的知見とエンジニアリングを有する企業と連携して多角的にアプローチ
近年、都市・まちの開発においては、その土地の発展を目指すことはもちろん、注目の高まっている生物多様性、増加する都市災害のリスクなども含めて都市・まちの課題とポテンシャルを捉え直し、中長期的な価値を新たに創造していく姿勢が求められている。
「シティフローラ」は、電通が長年マーケティングコミュニケーション領域で培ってきた人の行動・インサイト分析をベースとしていつ。「人」の視点を中心に、足元に息づく「生きもの」から、広域的「都市リスク」の視点まで専門的知見を持ち、エンジニアリングを有する企業と連携することで、多角的に都市・まちへアプローチしていくという。
<「シティフローラ」が提供する【分析・可視化】のイメージサンプル>
■ バイオーム社、アラップ社と連携した高度な専門体制を構築
「シティフローラ」は、バイオームと、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン・リミテッドと連携して開発された。
バイオーム社とは、人と自然の関係価値に着目し、都市・まちのネイチャーポジティブ支援、自然共生社会の実現に向けた評価指標の策定などで連携し、生物多様性データの収集・解析の専門体制を構築。
またアラップ社とは、海外で先行する、気候変動などマクロな都市災害リスクに向き合ったレジリエントな都市計画や、評価指標の策定などで連携し、国際的なネットワークを構築していく。
■ データと感性、エンジニアリングとクリエイティビティを横断するアプローチ
「シティフローラ」は、都市・まちの課題とポテンシャルに対して、(1)分析・可視化、(2)創造・提言、(3)数値化・事業推進の包括的アプローチが可能。これにより都市・まちに関わるすべての事業者の課題に対応していく。
(1)【分析・可視化】
都市・まちの現在を、さまざまなデータを重ね合わせ分析・可視化。人・生きもの・都市リスク視点に基づく、客観的なデータエンジニアリングにより、議論と創造の土台を形成する。
(2)【創造・提言】
人の幸福を追求する都市、人と生きものがつながり合う自然共生社会、幸せな生活を維持することのできるレジリエントな都市。未来ビジョンから、都市・まちの価値創造をバックキャストする。
(3)【数値化・事業推進】
事業者が、その事業を計画・実施・評価することに向き合う。経営にフィードバックできる最適な指標(INDEX)や事業評価方法(KPIなど)を共に検討する。
都市・まちは⼀つの⽣態系のようなものであり、その様⼦を複数の視点で捉え、多様性のバランスを⾒極め適切に育成していくことが重要であると捉え、「シティフローラ」は開発された。
これは、⼈の体内に棲みつき共⽣する「腸内フローラ」から発想されている。都市・まちの複雑な状態を、データとクリエイティビティの力で可視化することで、幸せや健康といった明確な答えのないゴールに向けて、都市・まちづくりを伴走支援していく。
「シティフローラ」は都市・まちに関わるすべての事業者を対象としているが、以下の志向を持つ事業者へのサービス提供に重点を置いている。
●これからの時代の幸福感を捉え、人を中心とした開発へとシフトしたい。
●自社の事業理念を反映した、エリア価値向上の新たなロジックをつくりたい。
●自然や環境を重視する計画目標と、事業としての成果を接続したい。
●産業拠点の用途転換が迫られる中で、既存事業とこれからの時代の価値観とのシナジーを見いだしたい。
●出店計画などを立てる際に、市場調査だけでなく、独自のまちの捉え方でブランドを作っていきたい。
<「シティフローラ」の3つの視点と3つのアプローチ>
電通は今回の発表に際して次のようにコメントしている。
「『シティフローラ』を通じて、都市・まちに関わるすべての事業者が、マクロな都市リスクを捉えながら、開発と保全を計画し、人・生きもの視点での幸せの追求を可能にする社会を目指していきます」
関連情報
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2024/1127-010809.html
構成/清水眞希