多くの企業がウェルビーイング市場に参入し、社員の幸せのためのウェルビーイング経営やビジネス視点での取り組みなどを行っている。従業員や顧客、消費者の“健康や幸せ”に向けて取り組まれるイメージの強いウェルビーイングだが、「無になる時間」を提供することでウェルビーイング市場に参入するチームがある。
ブリヂストン社内ベンチャーと複数企業が共創した「無」を体感する空間
下北沢駅高架下の複合施設『ミカン下北・E街区2F』に、『“無目的室”Morph inn Shimokitazawa』がオープン
11月28日から12月20日まで、東京・世田谷区の京王井の頭線・小田急線下北沢駅高架下の複合施設『ミカン下北・E街区2F』に、『“無目的室”Morph inn Shimokitazawa(モーフイン下北沢)』が期間限定オープンした。
『“無目的室” Morph inn Shimokitazawa』を共創したチーム/写真提供:ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ「Morph inn」PR事務局
同スペースは、株式会社ブリヂストンの社内ベンチャーである『ソフトロボティクス ベンチャーズ』がウェルビーイング市場に参入する中での第一歩となる取り組み。ソフトロボティクス ベンチャーズがさまざまなパートナー企業と共創し、柔らかいロボット『Morph』を使った『“無目的室” Morph inn Shimokitazawa』を期間限定で開業。サービス提供を開始した。
“無目的室”とは、「無になる時間」を追求したスペース。柔らかいロボット『Morph』に身をゆだね、何も考えない「無になる時間」を得られる価値を提供する。ソフトロボティクス ベンチャーズとクリエイター集団『Konel』が共創し、24年5月に表参道店、8月に虎ノ門ヒルズARCH店を実験店舗としてオープン。反響を受けて今回、京王電鉄株式会社が運営するミカン下北での開業に至った。
『“無目的室” Morph inn Shimokitazawa』の入り口/写真提供:ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ「Morph inn」PR事務局
柔らかいロボット『Morph』に使われているのが、ブリヂストンがタイヤやホースの開発・生産におけるノウハウを活用し研究を重ねてきた『ゴム人工筋肉(ラバーアクチュエーター)』。ゴムの力をいかした柔らかいロボットで、「ヒトとロボットの協働する柔らかな未来の実現」を目指している。もともとは物流倉庫や自動車部品工場の作業自動化のために試験導入されていたが、このゴム人工筋肉に、自然界のモーションを収録・再生するテクノロジーを掛け合わせ、Konelがロボット『Morph』を制作・デザイン。自然界のモーションには波の満ち引き、象の呼吸しているお腹、母親の胎内などもの動きも含まれている。『Morph』に寝転ぶだけで「無」を体感することができる。
ゴム人工筋肉が使われた大きなMorphと小さなMorphの間に挟まって横になる
さらにこの下北沢店からは、新コンセプト「無前」「無中」「無後」も導入。より「無になる時間」を探求するため、さまざまなパートナー企業との共創により、「無」になる前の状態(無前)、「無」の状態(無中)、「無」になった後に余韻を感じる状態(無後)のそれぞれの時間の価値を最大化するコンテンツも用意している。
より「無」の時間に浸るための「無前」「無中」「無後」をパートナー企業がサポート
例えば「無前」では、VIE株式会社が “脳波をととのえる”音楽アプリ『VIE Tunes(ヴィーチューンズ)』を提供。VIE Tunesは神経科学の観点から生まれた新しい音楽「ニューロミュージック」を聴くことができる。ニューロミュージックは「ととのう」状態に関係があると言われている脳のリズム(シータ波)や、認知機能に関係があるといわれている脳のリズム(ガンマ波)を増強する特殊な音を用いて制作。同社では自社製イヤホン型脳波計を用いて検証し、実際に脳波のリズムの変化が確認された楽曲のみを配信している。
実際にMorphに横になる際は照明が暗くなる/写真提供:ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ「Morph inn」PR事務局
また同じく「無前」では、第一三共ヘルスケア株式会社から「無になる時間」を深めるドリンクと、「無」から冴えるドリンクを提供。株式会社ファインが製造したもので、“忙しい日々を頑張る現代人”へのやすらかなひとときをサポートする白ぶどう風味と、スッキリをサポートするシトラス風味の2種類を展開。「無」を深め、また「無」から冴えるためのお供として提供される。
『Morph』に横になる「無中」の時間では、視覚・聴覚・嗅覚の演出を組み合わせ「無」の体感をより拡張する『ZZZN NATURE(ズズズンネイチャー)』を、NTT東日本グループ・エステーによる睡眠ビジネスコミュニティ『ZAKONE』が提供。ZZZN NATUREは睡眠への効果が実証された北海道釧路のトドマツ森林を五感で体感できるバーチャル森林浴。森林の持つ自然な力をいかし、「ありのまま」をテーマに深い眠りへと誘う環境を創造した。
『Morph』の周囲には北川陽稔氏によるトドマツ森林映像が映し出され、森のざわめきを繊細に収音して紡ぎ出したSeiho氏による音楽が流れる。さらにトドマツの枝葉から抽出した天然のエッセンシャルアロマオイルの香りが漂う。(※ZZZN NATUREは12月9日~16日の期間限定プラン)。
さらに「無」を体感した後の「無後」の時間では、下北沢の老舗BAR「FAIRGROUND Bar & Wine shop」が開発した「無」を締めくくるカクテルが提供される。また「無後」に仕事をしたい人に向けては、ミカン下北内のワーキングスペース「SYCL by KEIO」のドロップインが付いたプランも販売される。これらのコンテンツが揃った『“無目的室” Morph inn Shimokitazawa』は、ホットペッパービューティーから予約できる。