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メールに会社の悪口を書くのは違法行為か?CCに取引先を入れて上司に悪態をつきまくった社員の末路

2024.11.28

こんにちは。

弁護士の林 孝匡です。

宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。

さて今回は、辞めた従業員が会社や上司の悪口をいいまくった事件です(東京地裁 R4.5.13)一部をあげるとこんな感じです ↓

・風俗ばっか行って~~部下の●さんの入社祝いに風俗連れていき嫁と子どもに愛想つかされて離婚寸前の人物
・~~の経営、総務はキ●ガイ としかいえません
・早慶マーチでこんなレベル低い人なんて見たことないよ

メールのCCに、他の従業員や取引先も入れてて大乱舞しております。

会社と上司がブチギレて裁判を起こしました。

果たして、裁判所が命じた慰謝料額は?

以下、わかりやすく解説します。

※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化

登場人物

▼ 会社

テレビ番組やイベントの美術制作を行う会社

▼ Xさん

契約社員として入社

どんな事件か

▼ 会社とのイザコザ

Xさんは1年で退職しています(契約期間が終了)。更新されなかったのは、Xさんと会社との間でイザコザがあったからだと思います。

Xさんは「未払い賃金や残業代を払ってほしい」と主張したようです(Xさんは労働基準監督署に申し入れて、最終的に会社は割増賃金を支払っています)

▼ 辞めたあとにも大暴れ!

Xさんは会社との折り合いが悪かったのでしょう。働いている間と辞めたあとに数多くの怒りメールを送信します。

上司2名に送る際、CCに他の従業員を入れて送信することが多く、取引先や関係者をCCに入れることもありました。

▼会社が訴訟を提起

「この内容はヒドイ……」と思ったのでしょう。会社と上司2名はXさんに対して損害賠償請求訴訟を起こしました。

裁判所の判断

裁判所は「多くのメール&発言が違法だ」と認定。以下、一部を抜粋して提示します(ザクっとまとめます。上司だけに送ったり、CCに従業員や取引先を入れたものもありますがザクっとまとめます)

○ セーフ

裁判所は「以下のメールは違法じゃない」と認定しました。

・「解雇されることになりました」
 〈裁判所の判断〉
  事実とは違うけど文面全体としては反省と謝罪を述べている。会社の社会的信用は低下していない。

・「●一族に続いて2度目の創業メンバーの排除完了おめでとうございます!」
 〈裁判所の判断〉
  総務部長に対して自分の退職に関する不満を言ったもの。 

・「このままなら、あらゆる取引先の総務や現場の隣の方々に、色々な書類を送って、電話して、労働実態の記録をとります」
・「未払いもたかだか20万円くらいにしかなりませんが、強行な態度ならそのまま弁護士に依頼します。判例は公開されるので社長名も世に出ます」
 〈裁判所の判断〉
  会社にとっては迷惑であってもXさんの権利行使に向けた活動として許容される余地がないとは言い切れず直ちに違法とまでは評価し難い

× アウト

これに対して「以下のメールは違法だ」と認定。ズラっといきます。

・「若者の人生破壊し慣れてて、感覚狂ってるかもしれませんが、大人として恥ずかしい振る舞い気をつけないと、死ぬ時に枕元に誰もいなくなりますよ」
・「なんでこんな頭が悪いのか不思議です」
・「~~人生設計を容易に破壊する●~~一部役員は相当に常軌を逸しています」
・「(総務部長は)普通の会社ならクビになるレベルです」
・「法学部1年目にも嘘だと判断つくような頭の悪いセリフ」
 「炎上したいんですかね。なんて頭の悪い総務なんですかね」
・「未払いを支払うように促し、柔らかい手段から順番に取っていますが、いまだに頑なな態度をとるのは、アホとしか言いようがありません」
・「最悪、週刊誌に各種、やりとりと音声データを売りますか?」
・「風俗ばっか行って~~部下の●さんの入社祝いに風俗連れていき嫁と子どもに愛想つかされて離婚寸前の人物」
・「普通ない、大企業グループの子会社、総務部長が呼び出されるとか。学校の先生に呼び出される子ども。未だに大人になりきれていない。嫁と子に逃げられるのはそういうところ」
・「早慶マーチでこんなレベル低い人なんて見たことないよ」

他にも、ここには書けないような罵詈雑言がメールに書かれていました。

× アウト発言

メールだけでなく発言もありました。以下の発言は退職手続きをとっている時に出たもの。周りに他の従業員がいたんです。

・総務部長に対して
 「そんなんだから奥さんと子供に逃げられるんだ」
 「こいつの家を知っているから、何かしてやろうと思えばいつでもできる」

▼ 裁判所の見解

裁判所はザックリ「未払い賃金などの問題があることを踏まえても言い過ぎだわ」と判断。

各発言に対して裁判所から出てきた評価は以下のとおり。

・侮辱的な表現
・名誉感情を侵害
・社会的評価を低下
・社会通念上許される限度を超える違法な行為
・不当な金銭要求
・口汚い誹謗中傷

▼ 認められた賠償額

・常務取締役 慰謝料10万円
・総務部の部長 慰謝料30万円
・会社 約67万円
 〈内訳〉
  警備費用 約17万円(本社入口前に警備員1名。5日間)
  無形損害 50万円(社会的地位の低下)

最後に

会社に対する批判が何でもかんでもアウトになるわけではありませんが、表現に注意しましょう!侮辱や名誉毀損と認定されると損害賠償請求されるおそれがあります。

今回は以上です。「こんな解説してほしいな~~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!

取材・文/林 孝匡(弁護士)
https://hayashi-jurist.jp(←プロフィールもコチラ)
https://twitter.com/hayashitakamas1

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こんにちは。 弁護士の林 孝匡です。 宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。 会社の書式を改造したりして解雇された事件を解説します。 ほかにこんなことを...

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