「CAGRの計算方法が複雑でよくわからない」そんな人に向けて今回は、CAGRの定義や計算方法をわかりやすく解説する。また、活用例についても紹介するので、自社の業績評価や投資戦略の参考にしてみてほしい。
目次
CAGRという単語をご存じだろうか?ビジネスでよく活用する言葉の意味を解説する。
CAGRとは
CAGR(Compound Annual Growth Rate)とは、複数年にわたる成長率を平均した指標であり、企業の成長性や将来性を分析するために使用される。
■CAGRの計算方法
CAGRの計算方法を以下の例を使って説明する。
例:売上の成長率
次の表は、1年目末から3年目末までの売上を示している。
年 |
1年目末 |
2年目末 |
3年目末 |
売上(万円) |
1,000 |
1,150 |
1,400 |
この場合、売上は1年目末の1,000万円から3年目末の1,400万円に増加した。ここで、CAGR(年平均成長率)を計算する。
CAGRは以下の計算式で求めることができる。
(N年度の売上/初年度の売上)^{1/(N年-初年)}-1
最終値は3年目末の1,400万円、初期値は1年目末の1,000万円、期間は2年(3年目末 – 1年目末)である。
この場合、売上は2年間で毎年平均して約18.3%成長したことがわかる。このようにCAGRを使うことで、複数年にわたる成長を1つの年間成長率で表すことができる。
■他の成長率とのちがい
成長率を表すのは、CAGR(年間成長率)だけではない。例えばAGR(平均成長率)は、特定の期間における成長を単純に平均で示す指標であり、短期間の成長を見る際に用いられる。
具体例を挙げると、100万円を投資し1年後に115万円に成長した場合、AGR(平均成長率)は次のように計算される。
AGR=(115−100)÷100×100=15(%)
期間内の数値変動が大きい場合、成長率を過大または過小に評価してしまう可能性があるので、目的に合った指標を使い分ける必要がある。
CAGRの活用方法
CAGRは以下のように様々な場面で活用できる。
■企業の成長を評価する
企業がどれだけ成長しているかを把握するために、売上や利益のCAGRを計算することで、他の企業と比較した際の成長率の目安を得ることができる。特に、複数年にわたる企業の成長を正確に把握するためにはCAGRが重要である。
例えば、ある企業が5年間で売上を100億円から150億円に増加させた場合、そのCAGRは約8.45%となる。この数字を用いれば、その企業が過去数年間でどれだけ成長したかを簡潔に示すことができ、投資家や経営者にとって非常に有用な指標となる。
■投資成果を評価する
投資家は、過去の投資成果を評価する際にもCAGRを活用する。株式や投資信託、その他の金融商品がどれだけのパフォーマンスを上げたかを計算するために、CAGRを用いることが多い。これにより、単に利益額を知るだけでなく投資の年平均成長率を算出し、投資判断の参考にすることができる。
例えば1年前に株式を100万円分購入し、現在の価値が150万円であった場合、その1年間のCAGRは50%となる。この情報をもとに他の投資商品と比較することで、投資パフォーマンスをより正確に評価できる。
■市場や業界の成長を予測する
CAGRは、特定の市場や業界が将来どれだけ成長するかを予測する際にも使用される。過去の成長データをもとに、今後の成長率を推定するためにCAGRを利用することが一般的である。このような予測は長期的な戦略を立てる際に役立つ。
例えば今後10年間で、ある業界の市場規模が年平均10%成長することが予想される場合、企業はその情報をもとに事業展開や投資戦略を計画することができる。
まとめ
CAGR(年平均成長率)は、長期的な成長の傾向を評価するための重要な指標。以下に、CAGRの定義や活用方法について振り返る。
- CAGRの定義
複数年の成長を1つの年率で表した指標であり、企業や投資の成長性を評価する際に用いられる。
他の成長率との違い - CAGRは長期的な分析に適し、AGR(平均成長率)は短期的な成長を見る際に用いる。
(N年度の売上/初年度の売上)^{1/(N年-初年)}-1
例:売上が1,000万円から1,400万円に成長した場合、CAGRは約18.3%。 - CAGRの活用方法
a. 企業の成長評価
b. 投資成果の評価
c. 市場や業界の成長予測
構成/編集部