エクセルの切り捨て処理は、消費税計算や見積書作成、予算管理など、ビジネスのあらゆる場面で発生します。ところが「ROUNDDOWN・INT・TRUNC・FLOORのどれを使えばよいか」「負の数で結果がずれる」「合計が1円合わない」といった疑問でつまずく方も少なくありません。この記事では、エクセルの切り捨て関数4種類の使い分けを比較表で整理したうえで、小数点以下の切り捨て、円未満・千円未満の切り捨て、消費税の1円未満処理まで、実務でよく使うシーンを操作手順とともに解説します。
目次
エクセルの切り捨て処理は、消費税計算や見積書作成、予算管理など、ビジネスのあらゆる場面で発生します。ところが「ROUNDDOWN・INT・TRUNC・FLOORのどれを使えばよいか」「負の数で結果がずれる」「合計が1円合わない」といった疑問でつまずく方も少なくありません。この記事では、エクセルの切り捨て関数4種類の使い分けを比較表で整理したうえで、小数点以下の切り捨て、円未満・千円未満の切り捨て、消費税の1円未満処理まで、実務でよく使うシーンを操作手順とともに解説します。
インボイス制度下での端数処理ルールやセルの書式設定との違いにも触れているので、業務にそのまま活かせる内容です。なお動作確認は、Microsoft 365のWindows版を中心に行っています(Excel 2021・Excel for Mac・Web版でも同じ関数が利用可能ですが、画面構成が一部異なります)。
エクセルの切り捨て関数は4つ|まず使い分けの全体像を押さえる

エクセルで数値を切り捨てる関数は、主にROUNDDOWN・INT・TRUNC・FLOORの4種類です。さらに、Excel 2013以降ではFLOORの上位互換であるFLOOR.MATHも追加されました。同じ「切り捨て」でも、桁数で指定するか単位で指定するか、負の数の扱いはどうかなど、挙動が異なります。最初に全体像を表で確認しましょう。
| 関数 | 構文 | 切り捨ての軸 | 桁数省略 | 負の数の挙動 | 主な用途 |
| ROUNDDOWN | =ROUNDDOWN(数値, 桁数) | 桁数 | 不可 | 0に近い側に丸める | 桁数指定の汎用処理 |
| TRUNC | =TRUNC(数値, [桁数]) | 桁数 | 可(既定値0) | 0に近い側に丸める | 小数部の単純切り捨て |
| INT | =INT(数値) | 整数化のみ | ─ | 0から離れる側に丸める | シンプルに整数化 |
| FLOOR | =FLOOR(数値, 基準値) | 単位(基準値の倍数) | 不可 | 数値と基準値の符号一致が必要 | 100円単位・15分単位の丸め |
| FLOOR.MATH | =FLOOR.MATH(数値, [基準値], [モード]) | 単位(基準値の倍数) | 可 | モード引数で制御可能 | FLOORの上位互換(Excel 2013以降) |
迷ったときの選び方の目安は次のとおりです。小数点以下を整数にするだけならINTかTRUNCがシンプル、桁数を指定して切り捨てるならROUNDDOWN、100円や15分など特定単位の倍数で揃えたいならFLOORまたはFLOOR.MATHを使います。各関数の詳細は後述します(参照:Microsoft サポート「ROUNDDOWN関数」「TRUNC関数」「FLOOR.MATH関数」)。
ROUNDDOWN関数で数値を切り捨てる方法
ROUNDDOWN関数は、指定した桁数で数値を切り捨てる関数です。エクセルの切り捨てでもっとも汎用的に使われ、小数点以下から千円単位まで桁数の指定で柔軟に処理できます。構文は次のとおりです。
=ROUNDDOWN(数値, 桁数)
第2引数の「桁数」がROUNDDOWN関数の肝です。ここで指定する数字は「切り捨てた後に残したい桁数」を表します。具体的な対応関係は次の表のとおりです。
(参照:Microsoft サポート「ROUNDDOWN関数」)

| 桁数 | 処理内容 | 例:12345.678の結果 |
| 2 | 小数点第3位以下を切り捨て | 12345.67 |
| 1 | 小数点第2位以下を切り捨て | 12345.6 |
| 0 | 小数点以下をすべて切り捨て | 12345 |
| -1 | 1の位を切り捨て | 12340 |
| -2 | 10の位以下を切り捨て | 12300 |
| -3 | 100の位以下を切り捨て(千円未満切り捨て) | 12000 |
- 結果を表示したいセルを選択する
- 半角で「=ROUNDDOWN(」と入力する
- 切り捨てたい数値が入っているセル(例:A1)をクリックして参照を入れる
- 「,」を入力したあと、桁数を半角数字で指定する
- 「)」で閉じてEnterキーを押す
入力例として、1234.567が入ったA1セルを使い、用途別に3パターンを示します。
- 小数点以下を切り捨てて整数にする:=ROUNDDOWN(A1, 0) → 1234
- 小数点第2位以下を切り捨てる:=ROUNDDOWN(A1, 1) → 1234.5
- 1の位を切り捨てて10円単位にする:=ROUNDDOWN(A1, -1) → 1230

12345を千円単位で切り捨てる場合は、桁数に-3を指定します。


=ROUNDDOWN(12345, -3)
この数式の結果は「12000」となり、千円未満の数字が切り捨てられます。
ROUNDDOWN関数は、財務データや見積書作成など端数処理が必要なあらゆる場面で活躍します。後述する消費税計算でも使用頻度が高い関数です。
TRUNC関数で小数点以下を切り捨てる方法
TRUNC関数は、数値の小数部分を切り捨てる関数です。構文はROUNDDOWNと似ていますが、第2引数の桁数を省略できる点が大きな違いです。
=TRUNC(数値, [桁数])
桁数を省略すると、自動的に0として扱われ、小数点以下がすべて切り捨てられます。たとえばA1セルに1234.567が入っている場合、=TRUNC(A1)と書くだけで1234が返ります。同じ結果をROUNDDOWNで得るには=ROUNDDOWN(A1, 0)と桁数を明示する必要があるため、小数点以下を単純に切り捨てたい場面ではTRUNCのほうがシンプルです。
桁数を指定すれば、ROUNDDOWNと同じく小数点以下や整数部の桁を細かく制御できます。
- =TRUNC(1234.567, 1) → 1234.5
- =TRUNC(1234.567, -2) → 1200
なお、TRUNCとROUNDDOWNは正の数では結果が同じになります。違いが出るのは「桁数を省略できるかどうか」と、後述するINT関数を含めた負の数の挙動を比較したときです。
FLOOR関数・FLOOR.MATH関数で基準に沿って切り捨てる方法
FLOOR関数は、数値を指定した基準値の倍数に切り捨てる関数です。ROUNDDOWNが「桁数」で切り捨てるのに対し、FLOORは「単位」で切り捨てるのが特徴で、100円単位や15分単位など、業務で使う任意の単位に丸めたいときに直感的に使えます。
=FLOOR(数値, 基準値)

FLOOR関数では、第2引数の「基準値」の倍数のうち、第1引数の「数値」にもっとも近い値(0に近い側)に切り捨てられます。
12345を千円単位で切り捨てたい場合は次のように入力します。
=FLOOR(12345, 1000)

結果は「12000」になります。基準値を変えれば、用途に応じた丸め処理が可能です。
- 100円単位で切り捨てる(987円→900円):=FLOOR(987, 100)
- 15分単位で切り捨てる(8時間47分→8時間45分):=FLOOR(時刻セル, “0:15”)
- 1ダース単位で切り捨てる(26個→24個):=FLOOR(26, 12)
FLOOR関数を使う際の注意点が2つあります。1つ目は、第1引数(数値)と第2引数(基準値)の符号が一致していないと#NUM!エラーになる仕様です。たとえば=FLOOR(-7.8, 5)は数値が負・基準値が正のためエラーになります。2つ目は、基準値に0を指定すると常に0が返るため、意図と異なる結果になります。FLOORで#NUM!エラーが出たときは、基準値が正の数になっているか、参照先のセルに0や負の値が入っていないかを確認しましょう。
こうした制約を解消したのが、Excel 2013以降で追加されたFLOOR.MATH関数です。
(参照:Microsoft サポート「FLOOR.MATH関数」)
=FLOOR.MATH(数値, [基準値], [モード])
FLOOR.MATHではFLOORと違い、基準値を省略でき(既定値1)、数値と基準値の符号が異なってもエラーになりません。さらに第3引数の「モード」を使うと、負の数を「0に近い側」に丸めるか「0から離れる側」に丸めるかを切り替えられます。たとえば=FLOOR.MATH(-7.8, 5)は既定で-10を返しますが、=FLOOR.MATH(-7.8, 5, -1)とモードを0以外にすると-5を返します。
古いバージョンのExcelとファイルをやり取りする可能性がある場合はFLOORを、自分の環境でだけ使うならFLOOR.MATHを選ぶ、という基準で問題ありません。
INT関数で整数部分のみ取得する方法
INT関数は、引数として与えた数値を超えない最大の整数を返す関数です。引数が1つだけのシンプルな構文で、小数点以下を切り捨てて整数にしたいときによく使われます。=INT(数値)
正の数では小数点以下が切り捨てられて期待どおりの結果になります。たとえば=INT(1234.567)は1234を返します。一方で負の数を扱う場合は注意が必要です。INT関数は「元の数値より小さい整数」を返す仕様のため、TRUNCやROUNDDOWNとは異なる結果になります。

| 数値 | =INT(数値) | =TRUNC(数値) | =ROUNDDOWN(数値, 0) |
| 1.11 | 1 | 1 | 1 |
| 1234.567 | 1234 | 1234 | 1234 |
| -1.11 | -2 | -1 | -1 |
| -1234.567 | -1235 | -1234 | -1234 |
表のとおり、INT関数だけが負の数で「0から離れた整数」(マイナス側により大きな絶対値)に丸めます。Microsoft公式サポートも「TRUNC(-4.3)は-4を返すが、INT(-4.3)は-5を返す」と明記しています(参照:Microsoft サポート「TRUNC関数」)。マイナスの値を扱う可能性がある場合は、ROUNDDOWNまたはTRUNCを選ぶのが安全です。
INT関数を応用すれば、千円未満の切り捨ても可能です。INT関数は桁数を指定できないため、いったん1000で割って整数化し、再び1000を掛けるテクニックを使います。
=INT(12345 / 1000) * 1000
この計算結果は「12000」となり、千円未満が切り捨てられます。同じ結果はROUNDDOWNで=ROUNDDOWN(12345, -3)、FLOORで=FLOOR(12345, 1000)と書くこともできるため、扱う数値が正の数のみなら桁数指定や単位指定の関数を使うほうが直感的です。
(参照:Microsoft for business「Excel の四捨五入はこんなに簡単! 便利な切り捨て、切り上げも解説」)


関数を使わない切り捨て|セルの表示形式と「実際の値」の違いに注意
エクセルでは、関数を使わずに「セルの表示形式」を変更して見かけ上の切り捨てを行うこともできます。ただし、この方法には大きな落とし穴があるため、関数による切り捨てとの違いを理解しておく必要があります。
セルの表示形式を変更する手順は次のとおりです。
- 切り捨てたい数値が入ったセルを選択する
- 右クリックして「セルの書式設定」を選ぶ(またはCtrl+1。MacはCommand+1)
- 「表示形式」タブで「数値」を選び、「小数点以下の桁数」を0に設定する
- OKをクリックする
この操作で小数点以下が非表示になりますが、注意したいのは「セルに保存されている実際の値は変わっていない」という点です。表示が「123」になっていても、内部では「123.567」のまま保持されており、その値を使って計算が行われます。

| 行 | 元の数値 | 表示形式で整数化 | ROUNDDOWNで整数化 |
| 1 | 234.12 | 234 | 234 |
| 2 | 865.45 | 865 | 865 |
| 3 | 457.89 | 458 | 457 |
| 合計 | 1557.46 | 1557(表示は1557) | 1556 |
表示形式の列では、見た目は234+865+458=1557に見えるのに、実際の合計は元の値1557.46を四捨五入した1557が表示されます。一方ROUNDDOWN列は実値が切り捨てられているため、表示も計算も完全に一致します。
(参照:Microsoft for business「Excel の四捨五入はこんなに簡単! 便利な切り捨て、切り上げも解説」)
判断基準はシンプルで、計算結果として正しい数値を求めたいなら関数を、見た目を整えるだけで内部値は保持したいなら表示形式を使い分けます。請求書や見積書のように合計の整合性が問われる場面では、必ず関数を使いましょう。
消費税計算での切り捨て|実務でもっとも使うパターン
エクセルの切り捨てがもっとも使われるシーンの1つが、消費税の1円未満切り捨てです。消費税の端数処理は法的に「切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれを選んでも問題ない」とされていますが、納める消費税額を少なくする観点から切り捨てを選ぶ事業者が一般的です。
(参照:国税庁「No.6371 端数計算」)
エクセルで税抜価格から消費税(10%)を計算し、1円未満を切り捨てるには、ROUNDDOWN関数を使います。たとえばA1セルに税抜価格375が入っているとすると、消費税額の数式は次のようになります。
=ROUNDDOWN(A1*0.1, 0)
375×0.1=37.5円となるところを、ROUNDDOWN関数で37円に切り捨てられます。税込価格を一度に求めるなら次のように書けます。
=A1 + ROUNDDOWN(A1*0.1, 0)
軽減税率8%が混在する場合は、税率部分を0.08に置き換えてください。
ここで注意したいのが、インボイス制度(適格請求書等保存方式)における端数処理ルールです。国税庁のガイドラインでは、適格請求書(インボイス)に記載する消費税額の端数処理は「1請求書につき、税率ごとに1回」と定められています。つまり、商品ごとに消費税を計算して1円未満を切り捨てる方法は認められません(参照:国税庁「適格請求書等保存方式の下での税額計算」、適格請求書等保存方式に関するQ&A 問57)。
エクセルで適切に対応するには、商品ごとの税抜価格を税率別に合計してから、その合計に対してROUNDDOWN関数を1回だけ適用します。たとえば10%対象商品の税抜合計がE10セル、軽減税率8%対象商品の税抜合計がE11セルにある場合、消費税額はそれぞれ次のように計算します。
=ROUNDDOWN(E10*0.1, 0) ※10%税率分の消費税
=ROUNDDOWN(E11*0.08, 0) ※軽減税率8%分の消費税
なお、切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれを選ぶかは事業者の任意とされています(参照:国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問57)。社内で方針を統一し、取引先と認識を合わせておくと、請求書の数値ズレによるトラブルを防げます。
切り捨ての姉妹関数|切り上げと四捨五入
切り捨てとセットで覚えておきたいのが、切り上げのROUNDUP・CEILING関数と、四捨五入のROUND関数です。いずれも切り捨て関数と引数の指定方法が共通しているため、目的に応じて関数名だけを書き換えれば済みます。
四捨五入するROUND関数
ROUND関数は、指定した桁数で数値を四捨五入します。構文は次のとおりです。
=ROUND(数値, 桁数)
桁数の考え方はROUNDDOWNと同じで、0なら整数、正の値なら小数点以下、負の値なら整数の特定桁を四捨五入します。たとえば12500を千円単位で四捨五入するには、桁数に-3を指定します。
=ROUND(12500, -3)


結果は「13000」となり、千円単位で四捨五入されます。概算値を示したい場面や、金額の精度を大まかに調整したい場合に有用です。
切り上げのROUNDUP関数とCEILING関数

切り上げには、桁数で指定するROUNDUPと、単位(基準値の倍数)で指定するCEILINGの2種類があります。ROUNDDOWNとFLOORの関係と同じで、用途に応じて使い分けます。
=ROUNDUP(数値, 桁数)
=CEILING(数値, 基準値)
12345を千円単位で切り上げる場合、両方とも次のように書けます。
- =ROUNDUP(12345, -3) → 13000
- =CEILING(12345, 1000) → 13000
見積書で端数を切り上げて100円単位に揃えたい、運送料金を一定単位で計算したいといった場面で、CEILINGはよく使われます。
| 処理 | 桁数指定 | 単位指定 |
| 切り捨て | ROUNDDOWN/TRUNC/INT | FLOOR/FLOOR.MATH |
| 切り上げ | ROUNDUP | CEILING |
| 四捨五入 | ROUND | ─ |
(※MROUND関数は基準値の倍数のうち最も近い値に丸める関数で、四捨五入の単位指定版に近い使い方が可能です)
実務での活用シーンと注意点
■実務での活用シーン例
切り捨て関数は、ビジネスのさまざまな場面で活用されています。代表的なシーンを挙げます。
- 経費管理:ROUNDDOWNやFLOORで百円単位・千円単位に丸めると、概要を簡潔にまとめられる
- 見積書・請求書作成:消費税の1円未満処理や、合計金額の単位調整に活用される
- 単価計算:原価から販売価格を求める際、CEILINGで100円単位に切り上げて価格を標準化できる
- 勤怠管理:FLOORを使えば、出勤時刻や勤務時間を15分単位や30分単位に丸める処理が可能
- 予算管理:ROUNDで概算値を四捨五入し、千円単位や万円単位の予算表を作成できる
経費管理や単価計算に役立つExcelの基本操作については、表作成の方法も合わせて理解しておくと便利です(内部リンク:エクセル表作り方)。
切り捨てや切り上げを使用する際の注意点
切り捨てや切り上げを使う際には、いくつか注意点があります。
1つ目は、端数処理を行うタイミングによって最終結果が変わることです。たとえば「商品ごとに金額を切り捨ててから合計する」場合と「合計してから切り捨てる」場合とでは、数円単位のズレが生じる可能性があります(参照:Microsoft for business「Excel の四捨五入はこんなに簡単! 便利な切り捨て、切り上げも解説」)。どちらが正しいわけでもないため、社内ルールとして「明細単位で処理する」「合計時点で処理する」を明確に定めておく必要があります。
2つ目は、関数による切り捨てと表示形式による見かけ上の切り捨てを混在させないことです。前述のとおり、表示形式は実値を変更しないため、両者を同じ計算に混ぜると合計値が一致しなくなります。
3つ目は、負の数を扱うときの関数選びです。INTは負の数で「0から離れる側」に丸める仕様のため、ROUNDDOWNやTRUNCとは結果が異なります。マイナスの値を含む可能性があるならINTは避けるのが無難です。
4つ目は、大量データの処理時の誤差です。数千行・数万行のデータで端数処理を頻繁に行うと、小さな誤差が積み重なって合計に大きなズレが出ることがあります。重要な集計では、最終段階で端数処理する方法を検討してください。
エクセルの切り捨てでよくある質問
Q1. 切り捨てたはずなのに合計値が1円ずれるのはなぜ?
セルの表示形式で見かけ上だけ整数表示にしていて、実際の値には小数点以下が残っている可能性が高いです。数式バーでセルの実値を確認し、必要ならROUNDDOWNやTRUNC関数で実値そのものを切り捨ててから合計してください。表示形式と関数の違いについては前述のとおりです。
Q2. マイナスの数値を切り捨てたら結果がおかしい
INT関数を使っていませんか。INT関数は負の数で「0から離れた整数」(より小さい整数)を返す仕様のため、たとえばINT(-1.5)は-2になります。一般的な感覚で「-1」を期待しているなら、ROUNDDOWNまたはTRUNC関数を使ってください。両者は負の数でも単純に小数部を切り落とすため、ROUNDDOWN(-1.5, 0)とTRUNC(-1.5)はどちらも-1を返します。
Q3. FLOOR関数で#NUM!エラーが表示される
FLOORは第1引数(数値)と第2引数(基準値)の符号が一致しないとエラーになります。負の数値に対して正の基準値を指定するとエラーが出るため、基準値も負にするか、Excel 2013以降で使えるFLOOR.MATH関数に置き換えると解消します。FLOOR.MATHは異なる符号でもエラーになりません。
Q4. ショートカットキーで切り捨てはできる?
切り捨て自体を一発で実行するショートカットはありません。ただしセルの表示形式を呼び出すショートカットは便利で、Windowsは「Ctrl+1」、Macは「Command+1」で「セルの書式設定」ダイアログを開けます。関数の入力には数式バーやリボンの「数式」タブからの挿入を併用するのが効率的です。
Q5. Microsoft 365・Excel 2021・Web版で違いはある?
ROUNDDOWN・TRUNC・INT・FLOOR・ROUND・ROUNDUP・CEILINGの基本的な切り捨て・切り上げ・四捨五入関数は、Microsoft 365、Excel 2021、Excel for the web、Excel for Macのすべてで同じ書式と挙動で利用できます。FLOOR.MATHはExcel 2013以降に追加された関数のため、それより古いバージョンでは使えません。互換性を重視するならFLOOR、最新環境で柔軟に使いたいならFLOOR.MATHを選ぶとよいでしょう。
Q6. Macでも同じように使える?
Excel for Mac(Microsoft 365 for MacおよびExcel 2021 for Mac)でも、すべての切り捨て関数を同じ書式で利用できます。違うのは一部のショートカットキーで、たとえばWindowsの「Ctrl+1」(セルの書式設定)はMacでは「Command+1」になります。関数自体の構文や結果は完全に共通です。
まとめ|目的別の関数選びチャート
エクセルの切り捨ては、目的に応じて4つの主要関数を使い分けることで、業務の精度と効率が大きく向上します。最後に、用途別の選び方を整理します。
- 小数点以下を整数にしたいだけ:TRUNCまたはINT(マイナス値があるならTRUNC)
- 桁数を指定して切り捨てたい(小数点以下何位まで残す、千円未満切り捨てなど):ROUNDDOWN
- 100円単位・15分単位など特定の単位に揃えたい:FLOORまたはFLOOR.MATH
- 消費税の1円未満処理:ROUNDDOWN(税率ごとに1回、インボイス制度ルール準拠)
- 切り上げには:ROUNDUP(桁数指定)・CEILING(単位指定)
- 四捨五入には:ROUND
切り捨て関数の選択を間違えると、合計値のズレや負の数での計算ミスにつながります。表示形式での見かけ上の切り捨てと、関数による実値の切り捨ての違いも押さえたうえで、業務に合った関数を選んでください。インボイス制度下で請求書を作成する場面では、税率ごとに1回の端数処理ルールを忘れずに適用しましょう。
構成/編集部







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