普段何気なく使う「ご教示いただけますと幸いです」のフレーズ。目上の方に使える敬語表現なのか、気になったことはありませんか? 「知識や方法などを教えてもらえると嬉しい」といった意味を丁寧にした表現ですが、使い方によっては厚かましい印象になることもあるようです。 「ご教示いただけますと幸いです」をより丁寧に表現する方法や、厚かましい印象を回避する言い回しについてまとめました。ぜひご覧ください。
目次
「ご教示いただけますと幸いです」とは?例文でご紹介
「教示(きょうじ)」とは、知識や方法などを教え示すことです。「きょうし」と発音することもあります。
「ご教示いただけますと幸いです」は、「知識や方法を教えていただけると幸せです」といった意味の慣用的な表現です。主に次の場面で使われます。
・知識を教えてもらいたいとき
・方法を教えてもらいたいとき
それぞれの場面において、どのように「ご教示いただけますと幸いです」のフレーズが使われるのか、具体的にご紹介します。
参考:デジタル大辞泉
■知識を教えてもらいたいとき
特定の分野において自分よりも知識がある方に教えを乞いたいときは、「ご教示いただけますと幸いです」というフレーズを使うことがあります。たとえば、次のような場面が想定されます。
・茶道の師匠に作法や道具について尋ねるとき
・数学の教師に練習問題の解法を尋ねるとき
・部署の先輩に書類の書き方を尋ねるとき
知識は一人で身につけることもできますが、師匠や教師、先輩などの特定分野に熟知した先達に尋ねると、より早く正確に身につけることが可能です。「ご教示いただけますと幸いです」などの丁寧な言葉を使って、教えを乞うようにするほうがよいでしょう。
■方法を教えてもらいたいとき
方法がわからないときは、説明書を調べたりインターネットで検索したりすることでも対応できますが、その方法に熟知した方に教えてもらうことでも対応できます。
「教えてください」でもよいですが、目上の方や初めて会った方などには「ご教示いただけますと幸いです」と丁寧に教えを乞いましょう。たとえば、次のような場面では「ご教示いただけますと幸いです」が適しているかもしれません。
・券売機の操作方法がわからず、見知らぬ方に尋ねるとき
・年末調整の申請書の記載方法がわからず、労務課の担当者に尋ねるとき
・顧客の名前を聞き取る際、漢字がわからず本人に尋ねるとき
「教示」を使った敬語表現をご紹介
自分が他人に教えるときは「教示」とそのまま使います。一方、他人から教えてもらうときは、 他人の行為や持ち物などを表す語について、その人に対する尊敬の意を表す接頭語の「ご」をつけて「ご教示」とすることが一般的です。
「ご教示」の後につける言葉によって、敬語の度合いを調整できます。相手別に「ご教示」の使い方をご紹介します。
■上司や先輩には「ご教示ください」
上司や先輩などは目上の方ではありますが、丁寧すぎる言葉遣いは適切とはいえません。敬意を示しつつも、普段から親しみを持って接していることがわかるような言葉を選ぶようにしましょう。
・〇〇課長、ここの書き方をご教示ください。
・わたしは営業向いていないんでしょうか。先輩、何かいいアドバイスをご教示ください。
■取引先や目上の方には「ご教示いただく」「ご教示たまわる」
取引先や目上の方には、より丁寧かつ敬意が伝わる表現がふさわしいと考えられます。
個人的に親しい関係を築いているなら、「ご教示ください」のようなカジュアルな表現でも問題ありません。しかし、親しみを覚えるほどの関係を構築できていないときは、「ご教示いただく」や「ご教示たまわる」とより丁寧な言葉遣いを選ぶほうがよいでしょう。
・ご希望の型番をご教示いただきたいのですが……。
・お気づきの点があれば、ご教示たまわりたく存じます。
■懇願するニュアンスなら「ご教示のほど何卒」
「ご教示ください」や「ご教示いただきたく存じます」は、社交辞令や挨拶の意味合いで使われることがあります。目上の方を立て、その知識や経験に敬意を示すために、とくに教えてほしいことがないときでも使います。
そのため、「ご教示ください」といっても、相手が字義通りには受け取らないことがあるかもしれません。本当に教えてほしいことがあるときは、懇願するニュアンスを含めた「ご教示のほど何卒よろしくお願い申し上げます」を使ってみてください。
・担当いたします〇〇です。至らない点があると思われますが、ご教示のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
・何度かやり直してみましたが、うまく操作できません。ご教示のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
「ご教示いただけますと幸いです」の印象を和らげるクッション言葉
「ご教示いただけますと幸いです」は言葉遣いは丁寧ですが、結局は「教えろ」を丁寧に伝えているだけに過ぎません。本来、自分で考えたり調べたりするべきことを他人に頼ろうとする意図が透けて見えると、厚かましい印象になってしまうこともあります。
不安なときは、印象を和らげるクッション言葉を使ってみましょう。「ご教示いただけますと幸いです」の前に置きたいクッション言葉をご紹介します。
■お差し支えなければ……
「都合の悪い事情がなければ」の意味で、「お差し支えなければ」と前置きするのも一つの方法です。
・お差し支えなければ、ご教示いただけますと幸いです。
■お忙しいところ恐縮ですが……
相手の時間を奪うことに対して申し訳ないという気持ちを表現したいときは、「お忙しいところ恐縮ですが」と前置きしましょう。
・お忙しいところ恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。
■お手間をおかけいたしますが……
相手を手間取らせることに対して申し訳ないという気持ちを表現するときは、「お手間をおかけいたしますが」と前置きできます。
・お手間をおかけいたしますが、ご教示いただけますと幸いです。