「壮行会」の幹事を任されたものの目的などがわからず、困っている方もいるのではないでしょうか?壮行会とは、栄転や長期出張などで部署やチームを離れる方を祝福し、激励する会合です。今回は、壮行会の意味や送別会・激励会との違い、準備などを解説します。
目次
「壮行会」とは
壮行会は「そうこうかい」と読み、栄転や長期の海外出張などで、一時的に組織を離れる人の門出を祝うために開く会合のことです。「壮行」という言葉自体に、旅立ちに際してその前途を前向きに激励するという意味があります。
壮行会は、別れを惜しむ感傷的な場ではありません。美味しい食事やお酒を囲みながら、賑やかに激励して送り出す雰囲気が特徴です。ここでは、壮行会の開催目的や対象者について解説します。
参考:デジタル大辞泉
■開催目的
壮行会の目的は、チームや部署を離れる人が新しい場所でも活躍できるように、盛大に祝って送り出すことです。送り出す人の新たな門出を祝い、激励するために賑やかな雰囲気で開催します。
■対象者
壮行会の主役は、なんらかの理由で職場や組織を一時的に離れるものの、多くはいずれ戻ってくると考えられる人です。ビジネスの場で行われる壮行会では、以下のような人が該当します。
・一時的に出向する人
・栄転で別の支店や事業所に異動する人
・海外赴任する人
・新プロジェクト要員として部署を異動する人
「壮行会」と似た会との違い
企業などの組織では、送別会や激励会など、壮行会に似たさまざまな会合が行われることがあります。ここでは、それらの会合と壮行会との違いを見ていきましょう。
■送別会との違い
送別会は壮行会と異なり、別れを悲しむ雰囲気に包まれる傾向があるでしょう。「送別」には、別れて行く人を見送るという意味があります。この言葉通り、送別会とは別れ行く人を見送る会合のことです。
これに対し壮行会は、栄転する人や長期の海外出張に行く人などの、新たな場所での活躍を願う、前向きな会合です。壮行会が、栄転する人や海外出張する人の前向きな門出を祝って催されるのに対し、幅広い別れのケースで開催されるのが送別会といえるでしょう。
たとえば、「会社を定年退職し、しばらくは仕事をせずのんびりと暮らす」という人を送り出す際に、新たな場での活躍を激励する壮行会を開くのは違和感があります。この場合は、送別会を開催し、これまでの感謝を伝えることが一般的です。
参考:デジタル大辞泉
■激励会との違い
激励会と壮行会の主な違いは、主役が別の地に旅立たなくても開催することがあるかという点です。
「激励」という言葉には励まし元気づける、奮起させるなどの意味があることからわかるように、激励会とは特定の人を元気づけるための会合です。
何か新しいことにチャレンジする際などに、励ましたり元気づけたりする意味合いがありますが、主役との別れがなくても開催されます。
壮行会も前向きな門出を激励するため、似ているものの、主役を送り出すことが特徴です。
参考:デジタル大辞泉
■慰労会との違い
慰労会と壮行会の違いは、慰労会がすでに達成された成果を振り返り、ねぎらうものであるのに対し、壮行会は新たな挑戦を激励する点にあるといえるでしょう。
慰労会の「慰労」には、苦労をねぎらうという意味があります。しかし、苦労をねぎらうだけでなく、業績や成果をねぎらう目的でも開催される会合です。
たとえば、大規模プロジェクトが終了したり、定年退職者をねぎらったりする会合が該当します。
参考:デジタル大辞泉
■歓送迎会との違い
歓送迎会は歓迎会の要素もあわせ持つ点が、壮行会との違いです。歓送迎会を開催すれば、歓迎会と送別会を同時に行えるため、会合を開催する手間や参加費用の負担を抑えられる点がメリットといえるでしょう。
壮行会がメンバーが一時的に離れる際に行う会合であるのに対し、歓送迎会は新しいメンバーを迎える歓迎会と職場を去る人を送り出す送別会を一体化したイベントであり、両者の開催目的は大きく異なっています。
「壮行会」の準備
ここからは、壮行会を開催する際に必要な準備について、解説します。
■日時の決定
まず、壮行会の日時を決めましょう。主役となる人や出席者の都合を確認し、調整した上で日時を決定します。
可能な限り多くのメンバーが参加できるようにするため、はじめに壮行会の主役や上司に都合を聞き候補の日程を洗い出します。
その後、ほかのメンバーに参加が可能な日をヒアリングやアンケートを実施し、参加者が多い日に決めるとよいでしょう。
■役割分担
開催する日が決まったら、役割分担を行います。壮行会に限らず、それなりに規模の大きい会合を開催するときは、幹事補佐や司会や挨拶をする人、余興を担当する人などが必要です。
司会は幹事が行うこともありますが、当日は忙しく、司会まで手が回らない可能性があるでしょう。そのため、別の人に依頼するのも選択肢の1つです。
挨拶は、役職者に依頼することが一般的です。役職者は多忙でなかなかつかまらないことが多いため、早めに挨拶を依頼し、承諾を得ておきましょう。
■会場の設定と予約
壮行会の会場選びは、日程の調整と並行して進めておきます。年度末や年末年始などの時期はお店が混み合い、会場を押さえにくくなることから、なるべく早めに予約をしておくことが賢明です。
会場が決定したタイミングで、参加費の設定も行っておくとスムーズです。参加費は、会食費に主役へのプレゼントを含めて設定します。このとき、会社の経費を使うことが可能かどうかも確認しておくとよいでしょう。
■参加者への案内・出欠管理
壮行会の日程や開催場所、参加費などの大枠が決まった段階で、関係者に正式に周知し、出欠確認と集計を行います。
関係者には、メールやビジネスチャットで案内するケースが多いでしょう。出欠の可否については、会場のキャンセル料発生日などを目安に回答期限を決めます。また、壮行会の日程が近づいたら、リマインドすることがおすすめです。
■進行表の作成
開催時間を超えてしまわないように、あらかじめ当日の流れを整理した進行表を作成しておくと安心です。進行表には、壮行会の開始から終了までの時間や大まかなプログラムを記載します。
とくに、会場を借りて開催する場合は、決められた時間をオーバーしないようにタイムスケジュールを組んでおきましょう。
「壮行会」当日の基本的な流れ
壮行会当日を迎えたら、以下のような流れで会を進めていきましょう。
- 開会
- 最初の挨拶
- 乾杯
- 食事・歓談
- 送り出す側の挨拶
- 花束やプレゼントの贈呈
- 主役の挨拶
- 閉会
壮行会の開始後、幹事による開会宣言をした後に最初の挨拶が行われます。最初の挨拶は、基本的に参加者のうち最も役職が高い人に依頼するのがマナーです。
壮行会の主役の役職が最も高い場合、挨拶はその次にあたる人が行います。主役の挨拶の後、手締めをするケースも多いでしょう。一般的なのは、1本締めや3本締めです。
参加者は、主役の感謝や敬意を伝えるために、きちんとした服装で参加することが基本です。とくに、格式高いホテルのような場所で開催する場合は、フォーマルスタイルが望ましいでしょう。
居酒屋のようなカジュアルな場所で行う場合でも、男性であればジャケットとパンツなど、砕けすぎない服装が無難です。
「壮行会」で喜ばれるプレゼント
ここからは、壮行会で主役に喜ばれる、おすすめのプレゼントをご紹介します。
■実用的なアイテム
実用的なアイテムは、喜ばれやすいアイテムです。長期出張や海外赴任などで旅立つ場合は、トラベルバッグやユニバーサルプラグアダプター、旅行用の小物入れなどがおすすめです。
また、赴任先の職場や新生活で役立つデスク周りのアイテムや名刺入れ、手帳なども使いやすい人気のアイテムといえるでしょう。
■名入れ品
名入れ品も、壮行会で贈るプレゼントとしておすすめです。名入れアイテムは世界でたった1つのオリジナルな贈り物となり、「あなたのために用意しました」という特別感も演出できます。
人気の名入れアイテムとしては、高級な名入れボールペンや名入れUSBメモリ、名入れジョッキなどが挙げられるでしょう。
■花束
花束は、壮行会をはじめとした旅立ちを祝う会での王道のプレゼントです。主役の好きな色や、門出にふさわしい花言葉を参考にして花を選びましょう。壮行会で贈るのにふさわしい花と花言葉は、以下のとおりです。
・ガーベラ:希望・前向き・常に前進
・スイートピー:門出
・ラナンキュラス:お祝い
・ストレチア:輝かしい未来
・ピンクッション:どこでも成功を
花束は、華やかでセレモニーの雰囲気を出せるため壮行会にふさわしい反面、主役が電車やバスなどの公共機関で帰宅する際は持ち帰りが大変になる点に注意しましょう。大きすぎないサイズの花束を選ぶ、持ち帰りの袋を添えるといった工夫が必要です。
花束を飾るには、ラッピングを外し花瓶に入れなければならず、そのあたりの手間を煩わしく感じそうなタイプであれば、そのまま飾れるフラワーアレンジメントもおすすめです。
「壮行会」のマナーや流れを知ろう
壮行会とは、栄転や長期の海外出張などで一時的に組織を離れる人に対し、その門出を祝福して送り出す会合のことです。
似たような会合として挙げられるのは、送別会や激励会、慰労会などです。ただし、送別会は別れ行く人を見送る意味合いが強く、激励会は主役が別の場所に行かない場合にも開催、慰労会はすでに達成された成果を振り返ってねぎらうといった点が、それぞれ壮行会と異なります。
壮行会は一般的には最初の挨拶から始まり、乾杯や食事、歓談をした後に送り出す側の挨拶、主役の挨拶といった流れで行われます。
参加者は、きちんとした服装で参加することが基本です。格式高いホテルのような場所で開催する場合はフォーマルスタイル、居酒屋などのカジュアルな場所であっても砕けすぎない服装がマナーとされます。
壮行会の主役への感謝や敬意をしっかりと伝えるためにも、壮行会のマナーや流れなどを押さえておきましょう。
構成/橘 真咲