「受領」の意味はなんとなくわかるものの、「拝受」との違いはよくわからないという方も多いのではないでしょうか? 双方とも金品などを受け取ることを意味しますが、拝受は謙譲語でありより丁寧なニュアンスを含みます。今回は、受領の意味や拝受・受理との違いなどを解説します。
目次
「受領」とは
「受領」とは「じゅりょう」と読み、品物や代金を受け取ったことを意味する言葉です。つまり、「受け取りました」と言い換えられます。
「領」には「納める」という意味があるため、受領は単にものを受け取ることにとどまらず、「受け取って自分のものにする」というニュアンスを含むことがポイントです。そのほか、「受け取った品物や金品の中身を確認した」という意味で使われることもあります。
参考:デジタル大辞泉
■硬い表現だが言葉自体は敬語ではない
受領は硬い表現ですが、それ自体は敬語ではありません。そのため、目上の方や取引先に対しては敬語表現を添えて使用する必要があるでしょう。「受領しました」や「受領いたしました」とすると、敬語表現になります。
「受領しました」は「受領いたしました」に比べて簡素な印象がありますが、敬語表現であり、ビジネスシーンでも問題なく使用できます。むしろ、社内で使用する際は簡潔に述べられるため「受領しました」のほうがふさわしい場合もあるでしょう。
一方、取引先をはじめとした社外の相手に対しては謙譲語である「いたす」をつけて、「受領いたしました」とするなど、使い分けるとよいでしょう。
■「受領」を使った例文
受領を用いた、ビジネスシーンで使える例文は以下のとおりです。実際に使用する際の参考にしてください。
・先週の会議で議題に上がっていたデータ、たしかに受領しました
・備品の請求書を受領しました
・請求書を受領いたしました。期日までに振り込みをさせていただきます
・契約書の受領を確認いたしました
・お客様からの注文を受領いたしました。すぐに発送手続きをさせていただきます
「受領」と「拝受」「受理」の違い
受領には似た意味の表現がいくつかあり、代表的なものは「拝受(はいじゅ)」や「受理(じゅり)」です。受領とそれぞれの言葉との違いを解説します。
■「拝受」との違い
拝受とは、受領と同様に品物や代金などを受け取ることを意味する言葉です。そのため、両者の意味に大きな違いはありません。
しかし、受領はそれ自体が敬語表現ではないのに対して、拝受は相手に敬意を示して自らがへりくだる謙譲語のため、さらに丁寧に表現したい場合に適しています。
目上の相手に対して「御社の資料をたしかに拝受しました」と使うと、より丁寧な印象を与えられるでしょう。
■「受理」との違い
受理は「じゅり」と読み、書類などを受け取った後に処理することを意味します。受領と受理の違いとして、まず挙げられるのが「受け取る対象物」といえるでしょう。
受領は品物やお金などの重要なものすべてが対象となるのに対し、受理の対象は、基本的に願書や届書、訴状などの書類に限定されます。
また、受領は基本的に「受け取った」ことにフォーカスしている一方で、受理は受け取った後に処理を行う点も異なります。
「受領」を使う際の注意点
受領という表現を使う際に、押さえておきたい注意点は以下の2つです。
・受け取るものによっては別の表現を使う
・日常会話には馴染まない
それぞれの内容について解説します。
■受け取るものによっては別の表現を使う
受け取るものによっては、受領という表現がふさわしくないことがあります。受領は、品物や代金など重要なものを受け取る際に使います。
しかし、「お気持ちをありがたく受領いたします」というように、「気持ち」を受け取った際に使うのは避けましょう。この場合は、「お気持ちをありがたく頂戴いたします」と表現するとよいでしょう。
■日常会話には馴染まない
受領は、日常会話に使うには、やや堅苦しい表現であることも知っておく必要があります。文語的な表現であるため、社内の会話では「受け取りました」と伝えたほうが馴染むでしょう。状況や相手との関係性を考慮して、ふさわしい表現を使うようにしましょう。
「受領」を用いた言葉
受領を用いた言葉には、「受領書」や「受領印」などがあります。それぞれの言葉について解説します。
■受領書
受領書とは、発注側が商品などを受け取った際に、それを証明するために発行する書類のことです。ものを受け取った際に、受領書を提出することが義務付けられているわけではありません。
しかし、「受け取った・受け取っていない」といったトラブルを防止するために発行する企業が多いといえるでしょう。
■受領印
受領印も、物品や金銭を受け取ったことを証明するために使用するもので、印鑑やサインが用いられます。物品や金銭の受け取りが問題なく行われたことを証明する受領書に、証明する印として用いられるのが受領印です。
企業間の取引に限らず、自宅に送られてきた郵便や荷物を宅配業者などから受け取る際にも使用します。