適宜の類似表現
適宜には、いくつかの類似表現があります。ここからは、適宜の類似表現の意味や例文をご紹介します。
■適当
「適当」とは、ある条件や目的などにうまくあてはまることを意味する言葉です。適宜にも状況に合っているという意味があるため、類似表現といえます。
ただし、適当には「適当にごまかす」のように、やり方などがいい加減であることの意味もありますが、適宜にはそのような意味はありません。
【例文】
・研究所の建設に適当な土地を探しているが、なかなか見つからない
・彼は、プロジェクトリーダーとして適当な人材です
・市場状況を踏まえると、この戦略がもっとも適当だ
参考:デジタル大辞泉
■適切
「適切」は、状況や目的などにぴったりとあてはまることをあらわす表現です。似た意味の言葉である適当に比べて、あてはまる度合いが高いといえるでしょう。
【例文】
・その選択が適切であるかどうか、すぐに判断することは難しい
・クライアントの要望に対する、適切なソリューションをご提案いたします
・社内の風通しをよくするには、適切なアプローチが求められる
参考:デジタル大辞泉
■随時
「随時」は「ずいじ」と読み、適切なときに行うさまをあらわし、時間にフォーカスした言葉です。適宜も似たニュアンスで使われるものの、状況に応じて対応することを意味するため、時間以外の要素もふくめている点が異なります。
【例文】
・巡回は随時行っている
・この情報は随時更新されますので、最新情報をご確認ください
・資料が必要な場合は、随時お問い合わせください
参考:デジタル大辞泉
■適時
「適時」は「てきじ」と読み、ちょうどよいときという意味を持つ言葉です。特定の時期や時間にフォーカスし、そのタイミングで行動することをあらわします。たとえば、「適時に席を立つ」は、ちょうどよいタイミングで席を立つことを意味する表現です。
【例文】
・対応策を考えておき、適時実施することで効果を得られます
・プロジェクトの進行状況は適時確認し、スケジュールを変更していきます
・重要な会議の招集は適時行っていく予定です
参考:デジタル大辞泉
■相応
「相応」とは「そうおう」と読み、つり合いが取れていることや、ふさわしいことをあらわす言葉です。「相応しい」は「そうおうしい」ではなく、「ふさわしい」と読みます。それに相応しいという意味で、それ相応と表現することもあります。
【例文】
・プロジェクトに相応の予算組みが必要だ
・彼は相応の評価を受けた
・その役職に就くには、相応の実績が求められる
■ふさわしい
「ふさわしい」とは、つり合っていることや、ある状況や目的に合った手段や方法を意味する表現です。「適宜」の類似表現として挙げられますが、ふさわしいには「状況に応じて」というニュアンスは含まれていないことがポイントです。
【例文】
・あのポジションには、スキルと実績のある彼がふさわしいでしょう
・この戦略は、市場の状況にふさわしいといえる
・明日の会食は高級レストランで開催されるので、ふさわしい服装をしていくべきだろう
■しかるべき
「しかるべき」は、適当な、ふさわしいという意味の言葉です。「しかるべき手続き」「しかるべき処置」など、フォーマルな場面や法律の文章で表現されることが多い表現です。
【例文】
・しかるべき手続きを経て、契約を結びます
・新規プロジェクトを成功させるために、しかるべきリソースを投じる必要があるだろう
・この問題に対しては、しかるべき対策を講じるべきだ
参考:デジタル大辞泉
■必要に応じて
「必要に応じて」とは、なにかしらの対応が求められた際に応じるという意味の表現です。適宜と同じような意味で使用できます。
【例文】
・必要に応じて、ユーザーからのヒアリングも検討すべきだ
・必要に応じて、このほかにも資料を提供いただけないでしょうか
・人手が足りないため、必要に応じて他部門への応援要請も行う予定だ
適宜の意味を理解して使いこなそう
適宜とは、状況や条件に応じて適切な対応を取ることを指す言葉です。「適宜対応する」のように使われ、ビジネスシーンでは比較的よく用いられる表現といえるでしょう。
ただし、解釈の違いが生まれやすい点や、目上の方に使うと失礼にあたる場合がある点に注意が必要です。適宜の意味や使用する際の注意点などを押さえて、正しく使いこなしましょう。
構成/橘 真咲