厚生労働省の調査によれば、約6割の労働者が仕事に強いストレスを感じており、部下のメンタル管理は上司の重要な業務です。この記事では、部下のメンタル不調のサインと、性格別の対応方法について解説しています。
CONTENTS
厚生労働省が、労働者の健康に関する実態を知るために行っている「労働安全衛生調査」の2018年の結果によると、「仕事や職業生活に関することで強いストレスになっている事柄がある」と答えた労働者の割合は58.8%でした。
約6割の方が仕事を遂行するうえで強いストレスを抱えている現状で、部下のメンタル管理は上司の業務として必須になっています。
今回は、部下がメンタル不調になったときのサインと、部下の様子がおかしいと感じたときにどのように接すればよいか、さらに部下の性格別での対応方法を解説していきたいと思います。
メンタル不調の要因となる事柄
社会人がメンタル不調に陥る要因として考えられるのは、以下のものがあります。特に生き方の多様性が尊重されるようになった現代では、以下の要因にプラスして「このまま働き続けることは幸せだろうか」といった人生観がプラスされ、悩みが深まっていることが多くなっています。
・ハラスメント……パワハラ、モラハラ、セクハラなど
・社内での人間関係……同僚との不仲、社内恋愛のもつれなど
・プライベート関係……夫婦の不和、子育て問題、介護問題など
・ワークライフバランス……仕事とプライベートのバランスが合わない
メンタル不調に陥った際に見られる言動
■勤務体系を守れなくなる
遅刻や当日欠勤など、勤務体系を守れなくなることが増えます。特に鬱傾向になると睡眠に障害が出ることが多いため、朝起きられなくなる日が増加します。
また鬱症状の場合は「日中変動」といって、朝がもっとも調子が悪く、午後から夕方にかけて回復してくるという傾向があります。したがって、遅刻はするけど午後から出社できているから大丈夫だろう、と考えることは危険です。
■身だしなみがだらしなくなる
見た目の清潔感がなくなります。男性の場合は無精ひげが生える、体臭がするようになるなど特定の一か所というよりも、全体的に見て清潔感が欠けてきます。
ただ、もともと身だしなみに関心が薄いタイプもいますので、これを見分けるためには上司の普段からの観察が大切になります。
■極端な体重の増減
ストレスが溜まると過食、拒食など食欲が極端になる場合があります。特にアルコールを大量に摂取することでストレスを発散させる人は、症状が進むと食事をとらずにアルコールを大量摂取するため痩せてくることが多いです。
ただ、容姿に関する言及はハラスメントになる可能性もあるため「太った?」「痩せた?」など直接的な言及は避けるようにしましょう。
■仕事のミスが多くなる
仕事でミスをすることが多くなったり、決められた日までに提出物の提出ができなくなったりします。また、それほどきつく注意をしたわけではないのに泣き出してしまうといった情緒の不安定さも見られるようになります。
■コミュニケーションが円滑に進まなくなる
付き合いが良いタイプだったのに仕事帰りの誘いを断るようになる、うつむき加減でいることが多くなり人と目を合わせなくなる、言葉数が少なくなる、などの当事者の言動もありますし、ため息や貧乏ゆすりが多くなり、他人が話しかけづらい雰囲気を出すようになった、など他人から敬遠されてしまう言動が多くなります。
対応するときの注意点
■他の人から見られたり聞かれたりする場所では行わない
メンタル不調に陥ってしまった当人は、以前はやれていたことができなくなっている自分を恥じる気持ちや隠したい気持ちがあります。
そのため、話を聴く際は「安心と安全」が確保された空間で聴くようにしてください。まずは1対1が基本です。
■最初に他言しないことを伝える
話す際は、最初に「今日聴いたことは他言しない」ということを伝えて安心して当事者が話せるようにしてあげましょう。
話していくうちに、さらに上の上司や総務・人事などに伝えた方が改善がはかれることになった場合も当人の許可を取ってから伝えるようにしてください。
■当事者の「困っていること」にフォーカスする
話をよく聞かずに「その状態は鬱ではないか」などと疾患名を推測で伝えることは避けましょう。「朝、目は覚めるのですが布団から出る気力が出ない」「22時にはベッドに入るのですが寝付けない」「好きな食べ物を見ても食欲がわかない」など、まずは当人が困っていることにフォーカスして話を聴くことが大切です。