あと数か月もすれば新年度が始まる。既に多くの2024年度卒業予定の学生が内定を獲得し、社会人デビューの日を不安と期待を抱えながら待っていることだろう。
ABABAはこのほど、2024年度卒業予定の学生266名を対象に「内定辞退経験や内定式後の心境の変化などに関する調査」を行い、その結果を発表した。
86.8%の学生が内定を獲得し、就職活動を終了
調査対象者全員に就活状況を尋ねたところ、86.8%の学生が「内定あり(就活終了済み)」と回答し、多くの学生が進路を確定させていることがわかった。
一方で、7.5%の学生が内定を「内定あり(就活継続中)」と回答し、就活後半期でもより納得感のある内定を求めて活動を続ける学生が一定数いることがうかがえる。次いで、「最終面接経験済み(内定なし)」が4.5%、「最終面接未経験」が1.1%となっている。
入社先の企業に出会ったきっかけは「ナビサイト」が35.1%で最多
「内定あり(就活終了済み)」と回答した対象者に入社先の企業に出会ったきっかけの就活サービスについて尋ねたところ、35.1%が「ナビサイト」と回答。情報の網羅性が企業探しに影響力を持つことがうかがえる。
次いで「スカウトサービス」(15.2%)となっていて、これまでの「学生が企業を探してエントリーする」形とは逆の「企業が学生を探す」という就職・採用スタイルが定着し、実績にもつながっていることがわかる。
続いて「キャリアセンター」「合同説明会」(6.1%)、「エージェント」(5.2%)となっていて、多くのカテゴリのサービスが各自の特色を生かしてしっかりと内定までつながる接点を学生に提供できていることがわかった。
内定保有者のうち内定式に参加したのは85.8%で、内定式で最も満足度が高かったコンテンツは「内定者同士での交流」
「内定あり」と回答した対象者に、内定式に参加したかどうかを尋ねたところ85.8%が「はい(参加した)」と回答。多くの企業が慣例に則り10月上旬までに内定式を開催したことがわかった。
「内定式に参加した」と回答した対象者に、内定式で最も満足度が高かったコンテンツについて尋ねたところ、62.6%が「内定者同士での交流」と回答。これから一緒に働く仲間との関係構築や人柄を知ることを重視していることがうかがえる。
また、12.6%は「社長・経営陣からのメッセージ」10.2%は「若手社員との交流」と回答し、自分が入社する企業の指針や近い将来の自分の姿を改めて理解できるコンテンツへの関心が高かったことがわかった。
内定式後は「改めてこの会社で頑張ろう」と思った学生が64.1%だった一方で、内定式後に不安を感じた学生も6.8%存在
「内定式に参加した」と回答した対象者に内定式後の気持ちの変化について尋ねたところ、64.1%が「改めてこの会社で頑張ろうと思った」と回答。
内定式を経て社会人になることへの決意を新たにした学生が多いことがわかった。一方で、6.8%の学生は「この会社で働くことに不安を覚えた」と回答した。
内定式を経て「この会社で働くことに少し不安を覚えた」と回答した対象者にそう感じた理由を尋ねたところ、「社員や他の内定者との雰囲気が合わないと思った」「内定者課題の難易度が高すぎた」「事前に聞いていた条件と違う内容を提示された」などが挙げられた。
内定辞退の経験がある学生は73.3%で、初めて辞退した内定の辞退時期は卒業・修了年度の4-6月
「内定あり」と回答した対象者に内定辞退をしたことがあるかを尋ねたところ、73.3%が「内定を辞退したことがある」と回答した。
「内定辞退をしたことがある」と回答した対象者に(初めて辞退した内定について)内定を獲得した時期と辞退した時期を尋ねた。
その結果、内定の獲得は「卒業・修了前年度の10月~12月」から増え始め、「卒業・修了前年度の1月~3月」から「卒業・修了年度の4月~6月」にかけて横ばいとなった。
一方、その内定を辞退した時期については「卒業・修了年度の4月から6月」がピークとなり、多くの企業が内定出しをするこの時期以前に獲得された内定が一気に辞退されたものとみられる。
卒業・修了前年度の10月から12月に利用していたサービス、「ナビサイト」が60.5%で最多に
全ての調査対象者に卒業・修了前年度の10月から12月に利用していたサービスについて尋ねると、60.5%が「ナビサイト」と回答。情報収集の比重が高い時期だけに、多くの企業の情報を閲覧できるナビサイトの利用率が高い結果となった。
また、「スカウトサービス」と回答した学生は42.9%となり、もはや学生の中では就活の早期段階からスカウトサービスを利用するのが一般的になっていることがうかがえる。
さらに、「この時期は就活をしていない」の回答は10.9%となり、卒業・修了前年度の秋から年末にかけての時期にはまだ就活を本格的に行っている学生は少数派ということがわかった。
全ての調査対象者に卒業・修了年度の1月から3月に利用していたサービスについて尋ねると、60.9%が「ナビサイト」と回答。全体的な比率は卒業・修了前年度の10月から12月と比べて大きな変化はなく、次いで「スカウトサービス」(49.2%)、「口コミサイト」(28.6%)などとなった。
全ての調査対象者に卒業・修了年度の4月から6月に利用していたサービスについて尋ねると、54.1%が「スカウトサービス」、51.1%が「ナビサイト」と回答。次いで、「口コミサイト」(25.6%)、「大学のキャリアセンター」「エージェント」(22.9%)などとなった。ナビサイトは時期を問わず、企業の基本情報を網羅した媒体として参照されているものとみられる。
一方、「就活イベント」は手前の3ヶ月と比較して大きくポイントを落とし、選考が本格化する中で「企業を探す」ことに割けるリソースが減ることがうかがえる。
「7月以降は就職活動をしていない」と回答した学生は半数を超え、多くの企業が内々定出しを行う6月までに就活を終わらせたものとみられる。
就活を継続していた対象者に絞って回答を見ると、依然「ナビサイト」「スカウトサービス」の利用率は高く、情報の網羅性が高いことと受動的に就活を進められるサービスとして使い続けられたものと考えられる。
第一志望業界に変化があった学生は52.6%。志望者が多かったのは就活開始時期では「メーカー」、就活後半期では「IT・通信」
全ての対象者に就活を進める中で第一志望業界に変化があったかを尋ねると「はい」が52.6%、「いいえ」が47.4%となり、ほぼ半々の結果となった。
「内定あり」「志望業界に変化あり」と回答した対象者に、就活開始時と直近の第一志望企業の業界区分について尋ねた。その結果、就活開始時に志望していた学生が最も多かったのは「メーカー」(30.7%)で、直近の時期に志望していた学生が最も多かったのは「IT・通信」で27.9%となった。
個々の変遷を見ても「メーカー」から「IT・通信」に変化したというパターンが最も多く、今回調査を行った266名のうち11名が該当した。
<調査概要>
調査対象:「ABABA」に登録している2025年春卒業予定の大学生
調査機関:株式会社ABABA
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年10月11日~10月21日
有効回答数:266名
出典:ABABA
構成/こじへい