物価の上昇に給与の上昇が追いついていない昨今、せめてボーナスでバランスを取りたいと思う人は多いのではないだろうか。
パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」は、20~59歳のビジネスパーソン15,000人を対象に2024年の「ボーナス平均支給額の実態調査」を発表したので、結果を紹介しよう。
2024年のボーナス平均支給額は年間106.7万円で前年とほぼ同じ
ビジネスパーソン15,000人のうち、ボーナスがあると回答した人の年間平均支給額※は106.7万円(男性121.9万円、女性77.7万円)で、前回調査時の107.1万円より0.4万円減少していた。
内訳は、冬が50.4万円で0.3万円ダウン、夏が51.0万円で0.2万円アップ、その他のボーナスは5.3万円で0.3万円ダウンと、前回とほぼ同水準となっている。
※:2023年9月~2024年8月の1年間に支給されたボーナス
また、ボーナスの制度があると答えた人(87.8%)に、今回(2023年9月~2024年8月の1年間)のボーナスについて、前回(2022年9月~2023年8月の1年間)と比較して支給額に変化があったか尋ねたところ、「増えた」は38.9%、「減った」は17.8%という結果に。
「増えた」と答えた人は前回の34.0%から4.9ptのアップ、「減った」と答えた人は前回の20.7%から2.9ptのダウンとなっており、賃上げがボーナスの金額に一定の影響を与えていると推測できる。
職種別順位は1位「内部監査」、2位「法務/知的財産/特許」、3位「リサーチ/市場調査」で「企画/管理」系職種がTOP3を占める
職種別で見てみると、ボーナスの平均支給額が高い職種ランキングの1位は「内部監査」(188.6万円)で、前回21位から大きく順位を上げた。支給額は前回の135.2万円から53.4万円のアップとなっている。
2位は前回同様「法務/知的財産/特許」(177.7万円)が、170.3万円から7.4万円アップしてランクイン。2021年の調査以降3度目の2位となり、安定的に上位を維持していた。
現在、多くの企業がコンプライアンス遵守のためのコーポレートガバナンス強化を経営上の重要課題として位置づけている。大手企業であるほど、顧客や株主などが求めるコンプライアンスの水準も高まるだろう。
そういった企業では、専門、かつ希少人材である「内部監査」や「法務/知的財産/特許」の需要がより増しているため、給与水準が高まる傾向にある。
とりわけ内部監査や法務は、年収が相対的に高い士業やコンサルティング経験者などが転職しやすい職種であるために、給与水準が高まりやすいという側面もあるだろう。
3位には、前回14位の「リサーチ/市場調査」(173.2万円)が145.2万円から28.0万円アップしてランクインし、TOP3を「企画/管理」に分類される職種が独占する結果に。
また、TOP30に最も多くランクインした職種分類も「企画/管理」で、9職種がランキング入りした。
8位の「購買/資材調達」(154.9万円)は、前回の22位(134.5万円)から順位を上げ、「広報/PR/IR」(19位)、「総務」(27位)、「経理/財務/税務/会計」(29位)の3職種は、前回圏外から30位以内にランクインしている。
年代別のボーナス支給額では20代と30代は増加、40代と50代は減少
年代別に年間ボーナス平均支給額を前回と比較したところ、20代と30代が増加し、40代と50代は減少していた。
特に前回からの変化が大きかったのは、20代の3.9万円アップ(2023年:70.9万円、2024年:74.8万円)と50代の5.6万円ダウン(2023年:129.5万円、2024年:123.9万円)。
全体では100万円を超えている人は48.5%と約半数を占め、前回調査より0.4pt高くなった。年代別では50代が最多で54.9%。40代は50.0%、30代も47.7%と、いずれもほぼ半数を占めている。
20代は100万円以上の人は半数に満たないものの、前回の26.9%から33.8%へと大きくアップした。
調査概要
対象者:20歳~59歳の男女
雇用形態:正社員
調査方法:ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査
(ネットリサーチ会社保有のデータベースをもとに実施、doda会員登録の状況については不問)
実施期間:2024年8月5日~8月13日
有効回答数:15,000件
*ウェイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施
*記事中の割合データは、小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%にならない場合がある
doda編集長 解説
本調査を開始した2021年度から前回の2023年度までは、全体のボーナスの年間平均支給額は上昇していましたが、今回の調査ではわずかながら減少に転じました。
しかし、20代と30代の支給額は増加傾向にあります。昨今多くの企業が賃上げに踏み切る中で、減少傾向にある若手人材の獲得競争は特に激化しており、限られた資金の中で企業はより優先して若手の待遇を見直していることが関係していると言えるでしょう。
一方で、本調査ではボーナスの使い道についても尋ねており、旅行や趣味などに使うと答えた人の割合が減り、すべての年代で「生活費の補填」「金融商品(投資・資産運用)」と答えた人の割合が前回よりも増えたことが分かりました。
この結果から、不確実性が高まる社会において、将来への不安を払拭する一つの手段として、ボーナスをこれまで以上に投資や貯蓄に回す人が一定数いる実態が浮き彫りとなりました。
ボーナスを含む「給与・昇給」は、個人の「はたらく」や仕事の満足度に影響を与える一因であることは間違いありません。満足できる環境下ではたらくために、ボーナスも含め、意思をもって自らのキャリアを切り拓いていくことが重要だと考えます。
関連情報
https://doda.jp/guide/bonus/
構成/Ara