Dropboxの日本法人であるDropbox Japanから、集中力の途切れがもたらす労働生産性損失に関するグローバル調査「In search of lost focus」の結果が発表された。
この調査は、Dropboxが英国エコノミスト・グループ傘下の調査機関、エコノミスト・インパクトに依頼して実施。北米、欧州、アジア、オーストラリアなど世界10か国のナレッジワーカー1000人以上を対象に、集中が途切れることが原因で引き起こる経済損失をモデル化した。
日本においてもナレッジワーカーの集中力の途切れを対策することにより、年間約25.8兆円(1760億ドル)の経済的効果が創出されることを明らかにしている。
本調査におけるナレッジワーカーとは、肉体労働よりもデジタルツール使った仕事を主に行なう専門家、研究者、教育者、アナリスト、ITスタッフなどを指す。
集中力の途切れ対策により10か国合計で約370兆円相当の商機が創出される
ナレッジワーカーは業務をする上で必要な情報、資料、アセットなどを見つけるために、さまざまなフォルダー、メール、ブラウザータブを行き来することに多くの時間を費やしている。
これらの集中を途切らす行為にかかる時間は、年間数百時間にもおよぶことがわかった。このような、「仕事をするための仕事」に時間を費やすことにより、業務の本質的な部分に割ける時間が少なくなってしまう。
今回の調査によると、職場における集中力の途切れ対策を行うことにより10か国合計で約370兆円(2兆5200億ドル)相当の商機が創出されることがわかった。
日本単体では、約25.8兆円(1760億ドル)の商機が創出され、生産性を高めることで日本のナレッジワーカーの経済産出量が34%上昇することを示している。
日本のナレッジワーカーは、作業の中断により1人当たり年間約511時間を損失
実際、調査対象者の42%は、生産的な作業を1時間以上連続で行なうことができないと回答。
また日本のナレッジワーカーは、作業の中断により1人当たり年間約511時間を損失していることが明らかになった。SNSや雑用などの個人的な用事が、日本のナレッジワーカーの集中力の中断を牽引しており、これにより年間1人につき133時間損失していることも判明。
その次に日本で多かったのは、年間129時間の損失の原因となった仕事関連のメッセージのやり取だった。また一旦途切れた集中力を取り戻すために、日本のナレッジワーカーは年間115時間費やしていることもわかった
一方で、AIを活用したツール、柔軟な業務体制、非同期コミュニケーションを組み合わせることで、テクノロジーが私たちの能力を増幅させ、より効率的な働き方ができることが最新の研究で示唆されている。
本調査でも、AIと自動化ツールは、自分の仕事を脅かすものではなく、よりスマートで、より効率的に働くことを支援してくれるという意見が優勢だった。
AIや自動化を活用していると答えた人のうちの86%が、そのようなツールによって自身の職の安定に関して安心感が増した、または影響がないと答えている。
世代別にこの回答の傾向を見た際も、Z世代からベビーブーム世代まで、どの世代でも概ね一貫していた。
AIと自動化ツールは、すでにナレッジワーカーの集中力の維持や業務の進め方に多大な影響を与えている。
近年はAIを搭載した自動化ツールも増えてきているが、自動化ツールを使って仕事をしていると答えた人の79%が、使う前より生産性が向上したと回答した。
さらに、75%近くが仕事の質が上がり、日常の反復作業に取られる時間が減ったと答えました。また、70%近くが、以前より思考が整理されていると答えている。
Dropbox Japan株式会社のアジア太平洋・日本地域統括ソリューション本部長の岡崎隆之氏は、今回の結果について次のようにコメントしている。
「労働生産性損失に関するグローバル調査『In search of lost focus』により、現代のナレッジワーカーが直面する困難と、有効的な業務効率化の方法が明らかになりました。
これにより、当社がDropbox DashやDropbox AIで提供している機能が、ナレッジワーカーに求められているツールということもわかりました。
集中力が途切れることによって日本のナレッジワーカーが損失している1人当たり年間約511時間もの時間を少しでも削減できるように、今後もAIを搭載した製品群やDropbox上でさまざまな業務を完結できる環境を提供してまいります」
関連情報(英語)
https://impact.economist.com/new-globalisation/in-search-of-lost-focus-2023/
800社17万3000人のAI行動分析でわかった「仕事の無駄」を絶つ超タイパ仕事術
「時短を意識して仕事を進めるためには、一日を通して計画的に準備することが大切です。仕事時間だけに意識を傾けるのではなく、働く前後の時間を有効に活用することも心がけましょう。精神を落ち着かせることや、リフレッシュのための時間を確保することで、仕事時間中の効率が高まり、結果的には時短につながります」と話すのは、ビジネスコンサルタントの越川慎司さん。複業・週休3日を実践しながら800社へ働き方改革のノウハウを提供し、24冊以上のビジネス書を執筆している、まさに仕事の達人だ。同氏がこれまでに働き方改革を支援してきたのは800社以上にのぼる。クライアント企業の優秀なビジネスパーソンに見られる行動を分析して導き出した、業務の無駄を徹底的に省き、仕事のタイパ(タイムパフォーマンス)を高める方法を著書「最速で結果を出す超タイパ仕事術」で詳しく解説している。その一部を紹介しよう。
第1章では、企業にはびこる無駄の数々について実証データをもとに紹介。「よかれと思って作ったページの81%が読まれない」「重要だと思っていた書類の88%は不要だった」など、どれも衝撃的な内容となっている。日頃の仕事でいかに時間を浪費しているのかを思い知らされるはず。
第2章では、人間の思考傾向や行動原理について解説。「目の前の仕事に集中したくなる」「完璧を求めすぎると疲弊するだけ」といった思考回路を意識することにより、無駄を生じている様々な思い込みをやめるきっかけになるはずだ。
第3章では、仕事の取捨選択を行なう際の〝見極め〟を伝授。「自分の目標から逆算して、本当に必要な業務に注力する」「場合によっては念のための確認を省く」といった考え方を知ることで、在的には無駄だとわかってはいるもののやめられない業務を手放せるようになる。
第4章は、本書のメインテーマである〝タイパ〟を高めるための「無駄をやめられる35の秘策」を大公開。コミュニケーション、情報収集、アウトプット、タイムマネジメント、プレゼン、キャリアの形成といった6つのテーマごとに、具体的にどんなアクションを起こすことで無駄を省けるのかを、わかりやすく紹介。35の秘策をすべて実践する必要はなく、真似できそうなところから始めてみても問題ないはず。
第5章は、成果を出し続けている企業の事例を挙げながら、組織としてタイパを高める習慣を指南。第4章までの内容と合わせて実践し、理想的な職場環境を構築を目指したい。
なお、同書で紹介している〝超タイパ仕事術〟によって成果を上げているビジネスパーソンの実例も、コラムページで詳しく解説しているので、多くのビジネスパーソンにとって働き方を見直す指針となるはずだ。
「この本を手に取って頂くような人は、仕事をがんばりすぎているはず。がんばりすぎずに無駄をやめましょう!」と、著者の越川慎司氏も話しており、書かれている内容は熱心に働くビジネスパーソンにやさしく寄り添うような内容ばかり。この本をきっかけに仕事の進め方を見直し、その分、浮いた時間をスキルアップやキャリアップに投資するといった、ウェルビーイングの実現につながる働き方を習得してみてはいかがだろう。