最近では以前のように出勤しているビジネスパーソンも多いと思いますが、今後の急激な労働人口の減少や、自然災害などを考慮すると、オンライン会議サービスはこのまま定着するはずです。また、オンラインでの商談を良しとする顧客が増えています。弊社の調査では6月時点で、15%の意思決定者が「営業を受けるのはオンラインのほうがいい」と回答しました。これは、調査6か月前の30倍です。このトレンドは、ますます加速していくでしょう。
オンライン会議の活用がビジネスの成果にもつながる
オンラインで顧客対応ができるのであれば、移動時間が減ります。そして、対応できる顧客数が増え、売り上げの向上にもつながります。弊社のクライアント企業18社のセールス担当にアンケートを実施したところ「対面型よりも対応顧客数を増やすことができた」と答えた人は93%もいました。「対面型と成約率はさほど変わらない」もしくは「成約率が上がった」と答えた人は63%。効率アップだけでなく、効果も出ているのです。オンライン営業で成果を上げている企業は、しっかりと事前準備をしています。案件の成約率にも影響を与えているのが、マイクとカメラです。用意しておけば、社内会議にもリモート参加できるようになります。セールス担当の機動力は上がり、接客時間を増やせるのです。
指向性マイクで不快な雑音をカット
現在、弊社ではオンライン営業に関する行動実験をしています。その中で、顧客の満足度に大きな相関関係が見られたのは、音声がしっかり聞こえているかどうかでした。顧客側の通信環境や接続したデバイスにも依存しますが、発表者である営業担当の音声を確実に伝えることが不可欠です。PCに内蔵されたマイクを使うと、キーボード、PCのファン、周りの雑音などを拾ってしまい、相手が聞こえにくくなります。一方、指向性の高いマイクをPCに外部接続すると集音力が高まり、自分の声を確実に届けられるのです。
機種を導入する際には、イヤホンとマイクがセットになったマイク付きイヤホンやヘッドセットを選ぶといいでしょう。可能であれば有線のヘッドセットではなく、無線のものを選んだほうがマイクに雑音が入りにくいです。『iPhone』の付属イヤホンもマイク部分が服のボタンや襟に触れると〝タッチノイズ〟が入ってしまいます。
クリアな声を届けるなら高性能なUSBマイクを選ぶ
オンラインで顧客対応する営業担当や、1日に何度もオンライン会議に参加するビジネスパーソンであれば、できるだけ6000〜2万円未満のUSBマイクをおすすめします。この価格帯の場合、声を高音質化するコンデンサーが付いていたり、指向性が絞られていたりするからです。特に指向性が絞られているタイプでは、マイクが向いている方向の音しか拾いません。生活音やキーボード入力音などの雑音が入りにくく、クリアな音声で相手と会話できます。ラジオ局や専用スタジオで使うようなプロ用の機器を用意する必要はありません。しかし、指向性の高いUSBマイクは、1つ持っておくといいでしょう。ちなみに、8種類のマイクを検証した結果、『マランツプロ アンパイア』(約6000円)と『Blue Microphones Yeti』(1万7000円前後)が高評価でした。
USBマイクを使う際には必ず事前テストを
PCまたはスマホにマイクを接続したら、オンライン会議サービスの設定画面で接続状態を確認してください。Zoomでは、設定画面から「オーディオ」→「マイク」で使用するデバイスを選択できます。この一覧に表示されていなければ、マイクを認識していないということなので注意しましょう。同じくマイクの設定画面にある「マイクのテスト」を実行して自分の音声を確認してください。Teamsでは、設定画面から「デバイス」→「マイク」で選択でき、事前にテスト通話ができます。導入のチェックも忘れず、オンライン会議のセッティングを入念に行ないましょう。
『マランツプロ アンパイア』(写真右)はコンパクトなスタンド付きで、机上にセッティングしやすい。『Blue Microphones Yeti』(写真左)は本体正面に備えるボリュームのダイヤルで音量を調整できる。
文/越川慎司
全員がテレワークで週休3日のクロスリバーで代表を務める。約700名のほぼ全員がリモートワークのキャスターの事業責任者も兼任。
800社17万3000人のAI行動分析でわかった最速で結果を出す書籍「超タイパ仕事術」
ビジネスコンサルタントの越川慎司さんは、複業・週休3日を実践しながら800社へ働き方改革のノウハウを提供し、24冊以上のビジネス書を執筆している、まさに仕事効率化のスペシャリストだ。同氏がこれまでに働き方改革を支援してきたのは800社以上にのぼる。クライアント企業の優秀なビジネスパーソンに見られる行動を分析して導き出した、業務の無駄を徹底的に省き、仕事のタイパ(タイムパフォーマンス)を高める方法を著書「最速で結果を出す超タイパ仕事術」で詳しく解説している。その一部をダイジェストで紹介しよう。
同書は、第1章から第5章までの5部構成。
第1章では、企業にはびこる無駄の数々について実証データをもとに紹介。「よかれと思って作ったページの81%が読まれない」「重要だと思っていた書類の88%は不要だった」など、どれも衝撃的な内容となっている。日頃の仕事でいかに時間を浪費しているのかを思い知らされるはず。
第2章では、人間の思考傾向や行動原理について解説。「目の前の仕事に集中したくなる」「完璧を求めすぎると疲弊するだけ」といった思考回路を意識することにより、無駄を生じている様々な思い込みをやめるきっかけになるはずだ。
第3章では、仕事の取捨選択を行なう際の〝見極め〟を伝授。「自分の目標から逆算して、本当に必要な業務に注力する」「場合によっては念のための確認を省く」といった考え方を知ることで、在的には無駄だとわかってはいるもののやめられない業務を手放せるようになる。
第4章は、本書のメインテーマである〝タイパ〟を高めるための「無駄をやめられる35の秘策」を大公開。コミュニケーション、情報収集、アウトプット、タイムマネジメント、プレゼン、キャリアの形成といった6つのテーマごとに、具体的にどんなアクションを起こすことで無駄を省けるのかを、わかりやすく紹介。35の秘策をすべて実践する必要はなく、真似できそうなところから始めてみても問題ないはず。
第5章は、成果を出し続けている企業の事例を挙げながら、組織としてタイパを高める習慣を指南。第4章までの内容と合わせて実践し、理想的な職場環境を構築を目指したい。
なお、同書で紹介している〝超タイパ仕事術〟によって成果を上げているビジネスパーソンの実例も、コラムページで詳しく解説しているので、多くのビジネスパーソンにとって働き方を見直す指針となるはずだ。
最速で結果を出す超タイパ仕事術