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高配当株として人気の高い通信会社「ベライゾン」、その競争優位性と成長戦略を探る

2024.11.17

米国企業深掘りシリーズ「ベライゾン」

米国通信市場はここ数年で急激に変化を遂げ、5Gの導入やデジタルサービスの拡充により、各企業が新たな競争の様相を呈しています。このような環境の中で、ベライゾンはトップ企業としての地位を維持し、AT&TやT-Mobileと熾烈な競争を展開しています。そこで今回は、ベライゾンの成長戦略や競争優位性、投資家にとっての魅力について詳細に分析していきます。

高配当株としても有名なベライゾンはどんな会社か

ベライゾン・コミュニケーションズ(以下、ベライゾン)は、米国を拠点とする通信・テクノロジー企業で、米国内において最大規模の通信ネットワークを運営しています。1983年にベライゾンの前身であるBell Atlanticが設立され、その後、2000年にGTEとの合併により「Verizon Communications」として改称されました。以降、AT&TやT-Mobileといった競合他社とともに、米国通信市場を牽引しています。主にモバイル通信や固定インターネットサービスを提供し、現在は5G技術の導入に注力しているほか、安定した配当と強固な財務基盤に支えられ、投資家にとっても魅力的な銘柄の一つでもあります、

ベライゾンの市場シェアと外部環境の影響

ベライゾンは米国通信市場において、業界シェアの約34%を占めており、AT&TやT-Mobileを抑え、最大手の地位を築いています。2024年の市場規模はおよそ4.43億ドル、2029年には5.31億ドルに達すると見込まれており、2024年から2029年までの年平均成長率(CAGR)は3.67%と予測されています。5Gの普及が進むにつれて、特に都市部だけでなく地方や郊外地域でのカバー拡大が進むことで、ベライゾンの市場シェア維持に大きく貢献すると見られています。

米国政府の通信インフラ投資や規制環境も、ベライゾンの成長に大きく影響しています。政府は5Gインフラ拡大のための補助金や、地方インターネットの拡充支援を行っており、ベライゾンはこうした政策の恩恵を受け、特に地方においても強いネットワーク基盤を構築しています。この点で、同社は市場変化に対応しつつ成長を加速させる戦略を確立しています。

ベライゾンの財務状況と安定した収益基盤と高配当の理由

ベライゾンの業績を振り返ると、売上高は2019年から増減を繰り返しながら成長を見せています。2019年12月期の売上高は約1,318億ドルでしたが、2020年12月期には約1,283億ドルと減少。その後、2021年には約1,336億ドル、2022年には約1,368億ドルと回復傾向を示しました。しかし、2023年12月期には再び約1,339億ドルへとやや減少しています。2024年には約1,346億ドルの売上高が予測され、成長はやや鈍化しながら推移しています。

営業利益については、2019年に約266億ドル、2020年には約271億ドルと安定していましたが、2021年には約313億ドルに増加し、好調な結果を見せました。2022年には約309億ドルとわずかに減少しましたが、依然として高水準を維持。しかし、2023年には約221億ドルと大きく減少しています。

全体として、ベライゾンは成熟した市場の中で堅実な収益基盤を維持しているものの、大幅な成長は見込みにくい状況です。

いいかえれば、大きな成長が見込めない代わりに、高配当を通じて投資家の人気を集めているといえます。

競合優位性:5G導入の先行投資とネットワークの質

ベライゾンは5G技術の導入に対し、業界でもトップクラスの投資を行ってきました。同社はミリ波5G技術に注力し、都市部における超高速・低遅延の通信を実現していまこれは、自動運転車やリアルタイム医療など、高速通信が不可欠な新興分野にとって大きなアドバンテージといえるでしょう。

また、AT&TやT-Mobileが広域カバーと価格競争を重視する一方、ベライゾンはネットワーク品質の高さと信頼性をアピールする戦略を展開。特に企業向け通信の信頼性が求められる分野で高いシェアを獲得しています。企業顧客向けのIoTソリューションやデジタルツイン技術を提供することで、5Gの普及を加速させながら新たな市場を創出しています。

ベライゾンとAWSの連携

ベライゾンは、AWS(アマゾン ウェブ サービス)と提携してクラウド技術を活用し、安全で効率的な通信サービスを提供しています。この提携により、ベライゾンはデータ保護や自動セキュリティ対策を強化し、企業が安心してクラウドに移行できる環境を構築しています。特に、リアルタイム通信やIoT分野での活用が進んでおり、5Gネットワークとクラウドの力で新しいサービスの提供を可能にしています。ベライゾンは、AWSのクラウド機能で企業向けのソリューションを強化し、革新を支えるリーダーシップを発揮しています。

スターリンクがゲームチェンジャーになる可能性

スターリンクはベライゾンにとってライバルといえます。スペースXが提供するスターリンクは、低軌道衛星を使用して高速インターネット接続を提供しており、特に農村部や遠隔地でのインターネットアクセスを改善しています。一方、ベライゾンは5Gネットワークや既存の通信インフラを活用してサービスを提供しています。

スターリンクの登場により、これまで通信サービスが届きにくかった地域でも高速なインターネットが利用可能となり、ベライゾンを含む既存の通信事業者にとって新たな競争要因となっています。このため、ベライゾンはネットワークの拡充や新技術の導入を進め、競争力を維持・向上させる取り組みを行っています。

今すぐに業界再編が起こるとは考えにくいですが、近い将来、スターリンクがゲームチェンジャーとなる可能性があることも念頭におくべきでしょう。

今後の展望

今後、5G技術の普及により、米国通信市場はさらなる拡大が期待されています。特にスマートシティやAR/VRといった新興分野での5G需要が高まる中、ベライゾンの高速ネットワークはこれらの技術の基盤として不可欠な存在となるでしょう。また、エンタープライズ市場でのIoTの拡大により、同社の収益基盤はさらに強固なものとなる見込みです。

投資家にとって、ベライゾンは安定した配当と成長ポテンシャルを併せ持つ魅力的な企業です。特に長期的に高配当を期待できる株主構成を背景に、安定したキャッシュフローが維持されるため、ポートフォリオの安定化に貢献するでしょう。さらに、ESGを重視した経営姿勢が、長期的な投資価値をもたらすことも期待されます。

また米国通信市場の変化が加速する中、ベライゾンが5Gやデジタルサービス拡大を通じて業界を引っ張る企業としての地位を維持する限り、高配当銘柄としての人気が続くと考えられるでしょう。

【参考資料】
https://www.mordorintelligence.com/ja/industry-reports/united-states-telecom-market
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/11870/
https://www.starlink.com/jp

文/鈴木林太郎

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