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国内EC市場は3大モールが牽引し成長、一方で中小EC事業者の経営は厳しい状況に

2024.11.18

消費者行動の変化と平均単価の上昇

2023年は多くのジャンルで平均単価の上昇が見られ、高価格帯商品の需要が増加している。メーカーによる値上げ、エネルギー価格の高騰、円安などが主な要因であり、特に食品、化粧品、生活家電などで価格上昇が顕著だった。

Nintの推計データによれば、3大ECモール全体の平均単価は前年比104.5%となっている。各ジャンルでの平均単価の上昇率は105.4%から112.3%に達し、この傾向を裏付けた。

あるモールの価格分布を2022年(図1)と2023年(図2)で比較すると、1000円、2000円、3000円のプライスラインが左にシフトしていることから、低単価帯のボリュームが減少していることが確認できる。

図1:あるモールの2022年の価格分布(メッコチャート)

図2:あるモールの2023年の価格分布(メッコチャート)

値上げ以外にも、消費者の購買行動の変化が影響している。3大モールの消費者は品質や付加価値を重視する傾向が強まり、高価格帯の商品が売上上位にランクインしている。これは、消費者が価格以上の価値を求めていることを示したものだ。

一方、モールに出店するショップとしては、低単価商品の取り扱いが難しくなっている。送料無料の条件を維持することが困難であり、低価格帯の商品では利益が出にくい状況だ。これにより、100円均一ショップなどの実店舗への消費者回帰を促す要因ともなっている。

季節催事の売上動向からも消費者心理の変化が読み取れる。2023年は異常気象により夏物商品の需要が高まり、冷房機器や夏服、水分補給関連商品などの売上が伸びた。消費者が季節や気候に敏感に反応し、必要な商品を迅速に購入する行動が見られる。

中小EC事業者の現状と課題

東京商工リサーチのデータによれば、2024年1〜7月の「通信販売・訪問販売小売業」の倒産件数は90件に達し、前年同期比47.5%増となっている。2023年の年間倒産件数が112件であったことから、2024年は倒産の勢いがさらに増していることがわかる。

倒産までのリードタイムを考慮すると、2023年の時点で多くの事業者が経営の困難に直面していたと推測される。EC市場の拡大の裏で、業績を伸ばしている企業と、経営に苦戦している企業の格差が広がっていることが示唆される。

競争激化やコスト上昇により、利益圧迫が深刻化した。特に2023年には主要な運送会社による送料の値上げが実施され、エネルギーや施設・車両の価格高騰、労働力コストの上昇が影響し、配送コストが増加。これにより、中小事業者の経営は一層厳しい状況に置かれている。

Nintの見解によれば、型番商品の取り扱いも以前ほど容易ではなくなっている。これは、価格競争が激化し、利益率が低下しているため。中小事業者は独自の商品開発やサービスの差別化が求められている。

3大ECモールの戦略と市場への影響

3大ECモールの流通額増加は市場全体の成長を支えていますが、出店料や手数料の値上げが中小事業者に与える影響も大きくなっている。プラットフォームの手数料やサービス改定が事業者の経営に直接影響を及ぼすため、戦略的な対応が不可欠だ。

取り扱い商品の戦略的な選定や、複数の販売チャネルやモールを使い分けてリスクを分散することが重要だ。自社ブランドの商品開発により、付加価値を高め、利益率の向上を図る取り組みも効果的。これにより、価格競争から脱却し、独自の強みを持った商品展開が可能となる。

また、データ分析を活用した戦略策定が求められている。自社の販売データだけでなく、競合や市場全体の動向を含めたデータを分析することで、最適な商品ラインナップや販売戦略を構築できる。消費者の購買行動や市場トレンドを的確に捉えることで、マーケティングの精度を高め、最適な販売チャネルを選択することが可能になる。

調査概要
調査機関(調査主体)/株式会社Nint
調査対象/Nint推計データ
・Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータです。
出典/「経済産業省の調査結果とNint分析で読み解く—2023年日本EC市場の振り返り」(2024年11月8日公開)
参考/https://www.nint.jp/blog/

関連情報
https://www.nint.jp/

構成/清水眞希

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