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新型コロナウイルスにより、世の中にはテレワークが浸透した。テレワークの浸透に伴い、「出社」や「出勤」や「退社」という言葉を聞くことが多くなっただろう。
しかし、「出社」や「出勤」や「退社」などの正確な意味や違いがわからない人も多いかもしれない。
本記事では、出社と出勤、出社と退社との意味の違いや、出社にストレスを感じる時の対処法について解説する。
出社の意味と概要
出社とは、従業員が物理的に会社に出勤することだ。出社は、自分が勤めている会社などの日常的に仕事をする場所に移動することを意味する。
テレワークのためにテレワークスペースに行くことや、取引先の会社に行くことは出社とは言わない。
ここでは、出社の意味と概要について解説していく。
●出社の意味と使い方
ビジネスシーンでは、「出社」を以下のような意味で使う。
・明日は9時に出社をするように
・Aさんはまだ出社していません
・今週は、月曜日から水曜日まではテレワークで、木曜日と金曜日は出社しました
・午前中はお休みをいただき、午後から出社致します
・明日は10時に出社予定です
・明日の出社予定を教えてください
・今日は電車でなく徒歩で出社しました
・新型コロナウイルスの5類への移行後は、出社率が高まった
●出社拒否の意味と使い方
出社拒否とは、理由を問わず会社に行くことを拒絶することである。
出社拒否に多いのは、心身の不調やストレスなどにより会社に行けなくなってしまうケースだ。
会社に行こうと思っても、腹痛や嘔吐や倦怠感などにより実際は会社に行けなくなる。ビジネスシーンでは、「出社拒否」を以下のような意味で使う。
・出勤拒否症になる人は、几帳面な人が多い
・健康状態悪化を理由とする出社拒否の場合は、懲戒解雇は難しい
・上司によるパワハラのため、出社拒否になった
・出社拒否の従業員へは、会社は一定の配慮をする義務があります
・従業員が説得に応じずに一方的に出社拒否を続ける場合は、従業員の解雇を検討する必要があります
・プレッシャーなどで出社拒否をしたくなった場合には、会社の上司や人事などへ相談するのもひとつの解決策になる
・うつ症状などを理由とする出社拒否の場合には、会社は原則休みを拒むことはできない
●出社回帰の意味と使い方
出社回帰とは、コロナ禍により増えたテレワークを減らし職場への出社回数を増やす動きのことである。
コロナ禍に在宅勤務を推奨していた会社でも、最近では世界的にも出社回帰の動きが進んでいる。ビジネスシーンでは、「出社回帰」を以下のような意味で使う。
・在宅勤務のメリットを継続しつつ、出社回帰を進める働き方としてハイブリッド勤務がある
・会社側は出社回帰を、従業員側はテレワークの継続を希望している
・出社回帰により、業務の生産性が上がった
・出社回帰により、従業員同士のコミュニケーションの機会が増えた
・出社回帰はメリットも多いが、ストレスを感じることがテレワークよりも多い
出社と出勤、退社の違い
出社とは物理的に会社に仕事をしに行くことだが、出勤とは勤務先を問わず勤務を開始することだ。
ここでは、出社と出勤、退社の違いについて解説していく。
●出勤の意味と使い方
出勤とは、勤務開始などの勤務全般のことだ。
出勤は場所を問わないため、会社に出社して仕事をすることのみならず、テレワークにより勤務をすることも含むことが特徴である。
ビジネスシーンでは、「出勤」を以下のような意味で使う。
・今月の出勤時間が100時間を超えた
・来月の1日は出勤日ですが、有給休暇を取得します
・明日はカジュアルで出勤しても構いません
・土曜日に出勤した場合には、休日出勤手当が出ます
・まだ誰も仕事をしていない早朝から出勤した
・本日はテレワークなので仕事部屋に出勤した
・通常時は毎朝9時に出勤する
・来週の日曜日は、休日出勤をしなければならない
●退社の意味と使い方
退社とは、会社を辞めるという意味と、仕事を終えて会社から出るという2つの意味がある。この中で出社の反対語となる退社は、仕事を終えて会社から出るという意味だ。
例えば、会社に「Aさんはいらっしゃいますか」という電話があり、「Aは退社をしました」と答えると会社を辞めたと捉えられてしまう可能性がある。
この場合は、「本日は退社しました」などと答えれば、間違った解釈をされることはないので注意が必要だ。また、退社に似た「退勤」という言葉があるが、この言葉は「出勤」の反対語であり、仕事を終えて会社やテレワークなどから離れることだ。
ビジネスシーンでは、仕事を終えて会社から出る「退社」を以下のような意味で使う。
・本日はすでに退社しました。明日は9時に出社予定です
・今日は友達と食事に行くので、18時までには退社するつもりです
・本日はいつもより早めに退社します
・午前中いっぱい仕事をして、午後から退社致します
・明日は18時に退社予定です
・明日の退社予定を教えてください
・まだ退社しないの?
・明日は定時退社デーなので、17時に退社をするように
●出社・出勤・退社の違い早見表
出社、出勤、退社の違いの早見表は、以下になる。
出社 |
会社などの勤務先に仕事をするために行くこと |
出勤 |
勤務場所は問わず仕事を開始すること |
退社 |
仕事を終えて会社などの勤務先から引き上げること、会社を辞めること |
ストレスで出社したくないときの対処法
仕事にはストレスが付き物で、うまく対処をしなければ心身のバランスが崩れてしまい出社拒否になるケースも多い。
毎日通勤前になると憂鬱になり、無理して出社するとかえって体を壊してしまう恐れもあるだろう。
このように仕事上のストレスとうまく付き合っていくためには、いくつかの対処法がある。ここでは、ストレスで出社したくないときの対処法について解説していく。
●会社の上司や人事に相談する
会社での仕事が原因の場合や、職場での人間関係など、ストレスで出社したくないことには色々な原因がある。
会社の上司や人事に相談することにより、働き方の改善や、部署の異動などを検討してもらえる場合も考えられる。
会社の上司や人事に相談することによって、ストレスに対処できる可能性があるので、自分だけで悩まないことが大切だ。
●家族や友人などに相談する
出社したくなくなるようなストレスを抱えている場合には、自分ひとりで抱えこむことが一番よくない。
しかし、原因が会社の人間関係や上司からパワハラなどの場合は、会社に相談できないことも多々ある。
このようなケースでは、自分を追い詰めてしまう前に家族や友人などに相談することが大切だ。
誰かに相談することで、心が軽くなることも考えられる。
●気分転換できる時間を確保する
仕事をする上ではストレスは当たり前に付いてくるため、ストレスを貯めないことが大切になってくる。
ストレスを貯めないためには、仕事だけにならないように気分転換できる時間を確保することが必要だ。
休みの日には趣味に没頭したり、スポーツを楽しんだり、何も考えずに時間を過ごしたりすることで気分転換できる時間を確保すればストレスを減らすことができる。
●ストレス解消法を見つける
ストレスで出社したくならないようにするためには、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切だ。
ストレスの解消をしないでストレスを貯め込むことは、ストレスで出社したくなくなるだけでなく出社拒否にまで陥ってしまう可能性がある。
ストレスの解消法は人それぞれ違うので、自分なりのストレス解消法を見つけるとよいだろう。
まとめ
出社と出勤、退社と退勤は、言葉として似ているが意味が異なる。
出社とは会社や職場に行くことであり、出勤は自分の会社だけでなくテレワークや取引先の会社に行くことも含め仕事を開始することをいう。
退社とは会社や職場から出ることであり、退勤は自分の会社だけでなくテレワークなどを含め仕事を終了することをいう。
ビジネスシーンでは、この言葉の意味をきちんと理解して使用することが大切だ。
文/小島 章広
信用金庫に8年、システム開発の会社に現在まで20年以上勤務。社会保険労務士・行政書士の資格を保有し、人事労務関係、社会保険関係の記事を中心に7年以上執筆活動を続けている。