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「執行役員」と「執行役」「取締役」の違いとは?

2025.01.15

経営の効率化と意思決定の迅速化を図るため、一部の企業では執行役員制度を導入しています。執行役員は業務執行の長で、取締役とは相互補完の関係です。役割や位置付けを確認しましょう。

執行役員とは何か

一部の会社では、執行役員制度の導入による『執行役員』という役職を設けています。社内での立ち位置や、執行役との違いを確認しましょう。

■経営方針に基づき業務執行を担う人

執行役員とは、取締役会が決定した経営方針に基づき、業務執行を担う責任者です。

執行役員制度を導入した企業にのみ設けられるポジションで、取締役会決議によって選任・解任されます。取締役が経営の意思決定と監督に集中できるように、事業運営の統括を引き受けるのが主な役割です。

役員と名が付きますが、会社法上の役員には該当しない点に注意しましょう。会社法上の役員とは、経営責任を負う幹部のことで、『取締役』『会計参与』『監査役』を指します。

■企業の役職序列と執行役員の位置付け

企業にもよりますが、取締役と一般従業員の中間に位置付けられる傾向があります。経営層と現場をつなぐ、橋渡し役と考えましょう。

事業部門においては、本部長や部長クラスの人物が任命され、事業の統括を遂行するのが一般的です。企業によっては、取締役が執行役員を掛け持つケースもあるようです。

企業に雇われている執行役員であれば従業員と見なされますが、法人の経営に参画している執行役員であれば、税法上では『みなし役員』として扱われる場合があります。

■執行役員の権限と責任範囲

執行役員の持つ権限は『業務執行権限』です。取締役会の指揮命令の下、事業組織の長として任務に当たります。主な責任範囲は、以下の通りです。

  • 事業計画の遂行
  • 部門間の調整
  • 現場の指揮監督
  • 経営陣と従業員の橋渡し
  • 進捗状況の報告

執行役員は、業務執行に対して重い責任を負います。責任範囲の明確化により、取締役会は経営戦略の立案や意思決定に集中できるのです。現在のところ、執行役員制度を規定する法律はなく、責任範囲や権限は企業ごとに異なります。

■執行役員と執行役は異なる

執行役とは名称が似ていますが、同じポジションではありません。両者は法的位置付けや権限、責任などの面で大きな違いがあります。

執行役員のルールを定める法律はなく、設置するかどうかは企業の自由です。一方、執行役は『指名委員会等設置会社』における設置が義務とされています(会社法第402条)。

執行役員は、あくまでも取締役会の決定に基づき業務を遂行するのに対し、執行役は取締役会から大幅な権限委譲を受けているのが特徴です。

出典:会社法 第402条|e-Gov 法令検索

執行役員の主な契約形態

執行役員会議

(出典) pixta.jp

主な契約形態には、『雇用型』と『委任型』があります。企業にもよりますが、従業員として雇われる雇用型が採用されるケースが多いでしょう。それぞれの特徴を解説します。

■雇用型

雇用型は、所属する企業と『雇用契約』を結ぶパターンです。従業員としての扱いとなり、契約期間中は雇用主(企業)の指示・命令に従わなければなりません。

給与や待遇などは、各企業が定めたルールに基づいて決定されます。他の従業員と同じように労働法規が適用され、労働者としての地位が守られるのが基本です。

執行役員規定を設けて、善管注意義務や忠実義務を定めたとしても、責任追及には一定の制限がかかるでしょう。これらの義務は本来、取締役が会社に対して負わなければなりません。

■委任型

委任型は、企業と執行役員が『委任契約』を結ぶパターンです。主従関係はなく、両者は自由に契約を解除する権利を有します。独立性があり、雇用型に比べて裁量が大きいのも特徴です。

受任者の専門的な能力を評価され委任されるケースが多く、業務の対価として報酬が支払われます。従業員ではないため、雇用保険や労災保険の適用はありません。

任期は、企業ごとに決定されます。1~2年の短い期間で設定するところもあれば、具体的な任期を定めないところもあるようです。

執行役員と取締役の違い

ミドルのビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

執行役員と取締役は、企業経営において重要な役割を果たしますが、その位置付けや責任には多くの違いがあります。これらの違いを理解することで、執行役員制度の意義や企業経営における両者の役割がより明確になるでしょう。

■法的位置付けの比較

取締役は、会社法で定められた役職です。株主総会で選任され、重要な経営方針を決定する権限を持ちます。

一方、執行役員は会社法上の定義がなく、各企業の判断で設けます。従業員として、企業と雇用契約を結ぶのが一般的です。この違いにより、責任の範囲や選任・解任方法にも差が生じます。

取締役は会社法上の責任を負い、株主総会で選任・解任される一方で、執行役員は会社独自のルールに基づいて選任・解任されます。

■役割と責任の違い

執行役員と取締役の役割・責任は、明確化されています。取締役は、意思決定と監督を担うポジションで、会社全体の戦略立案や重要事項の決定に携わります。一方、執行役員は取締役会の決定に基づいた業務執行を行うのが役目です。

責任の面では、取締役は会社に対して善管注意義務と忠実義務を負うのに対し、執行役員は取締役会に対する業務遂行の責任があります。

善管注意義務とは、善良な管理者の注意を払って管理に取り組む義務です。忠実義務は、会社に対して忠実に職務を行う義務で、善管注意義務と同義とされています。

このように、取締役が経営のかじ取り役、執行役員が現場の責任者を担い、協力体制の下で効率的な運営を実現しています。

■報酬体系の違い

執行役員と取締役の報酬体系には、明確な違いがあります。取締役の報酬は、定款または株主総会で決定されるのが特徴です。

報酬の種類には、確定報酬・不確定報酬・株式報酬・新株予約権報酬などがあり、報酬が過大に設定されるのを防ぐために、会社法でさまざまなルールが定められています。

執行役員の報酬は、契約形態に応じて支払い方法が変わります。雇用型の場合、従業員給与として会社規定で決定されるのが一般的です。多くの企業では、基本給と業績連動型の賞与で構成されています。

執行役員制度の目的と仕組み

役員会議

(出典) pixta.jp

執行役員制度は、経営の効率化とガバナンス強化を目的に多くの企業で導入されています。制度が生まれた背景や、メリット・デメリットを見ていきましょう。

■導入の背景

執行役員制度は、1997年にソニーが日本で初めて導入して以来、多くの企業に広まりました。この背景には、コーポレートガバナンス強化の要請があります。

コーポレートガバナンスとは、『会社は株主のもの』という考えに基づき、経営を監視・統制する仕組みのことです。

取締役会が監督と業務執行の両方を担う場合、監督機能が形骸化する恐れがあります。取締役会の人数が多くなれば、意思決定の質とスピードが低下するでしょう。

監督と業務執行を分離する必要性の高まりとともに、多くの企業で執行役員制度が導入されるようになりました。

■執行役員制度のメリット

執行役員制度を導入すると、経営判断のスピードアップが図れるのがメリットです。取締役が経営の意思決定に集中することで、変化の激しいビジネス環境に迅速に対応できるようになります。本来の監督機能が発揮され、透明性の高い経営が実現するでしょう。

執行役員制度は、将来の役員候補を育成する場としても機能します。優秀な人材を執行役員に登用し、経営能力を見極めます。一定の成果を出した者を、後継者候補とする企業も少なくありません。

税務上において、従業員として雇用すれば、支払う給与は経費として計上できます。みなし役員に該当しなければ、役員報酬のような『損金不算入』による不利益がないのもメリットです。

■執行役員制度のデメリット

デメリットとしては、役職の増加による組織の複雑化が挙げられます。『部長と執行役員はどちらが上か』『執行役員は役員に当たるのか』など、ポジションや指揮命令系統が分かりにくくなる可能性があるのです。

執行役員と取締役の役割・責任の所在が明確化されていない場合は、意思決定の遅延や矛盾により、社内が混乱するかもしれません。

取締役と従業員の間に執行役員が入ることで、取締役が現場の状況を把握しにくくなる懸念もあります。現場とのずれを生じさせないためにも、取締役会への報告を義務付けるルールを作ることが重要です。

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