「リセール」とは、商品の再販売を意味する言葉です。ブランド品・衣類・チケットなどが対象で、国内外ではリセールビジネスやRaaSに参入する企業・個人が増えているのが現状です。
目次
リセールの基礎知識
チケットリセールやリセールバリューなど、『リセール』という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。国内外では、リセールビジネスに参入する事業者が増えています。まずは、リセールの意味と注目が集まる理由を解説します。
■リセールとは?
リセールとは、一度購入された商品を再び販売することを指します。語源となる英語の『Resale』は、『再び(re-)』と『販売(sale)』を組み合わせた言葉です。例えば、購入されたチケットを再販することは、『チケットリセール』と呼ばれます。
ビジネスにおいては、中古品の販売や、企業が自社製品を顧客から買い戻して再販売することを指します。衣類・高級ブランド品・電子機器などが対象で、専用のプラットフォームやオークションサイトなどで取引されるのが一般的です。
近年、リセールは資源の有効活用や環境負荷の軽減などの面で、重要性が高まっています。新たなビジネスモデルとしても注目を集めており、経済活動の一翼を担う存在となっています。
■リセールが広まった背景
産業革命以降、先進国は大量生産・大量消費社会に突入しました。市場に出回る製品の数が増えたことで、消費者は短いサイクルで商品を買い替えるようになります。
しかし、廃棄物の増加や環境汚染、労働問題が深刻化したことで、大量生産・大量消費・大量廃棄の経済を問題視する風潮が広まります。消費者の価値観の変化や経済的理由もあり、中古品市場が徐々に拡大していきました。
日本では1990年代以降、インターネットの普及とともにオンラインオークションやフリマアプリが登場し、個人間取引が活発化します。これらの過程の中で、リセールは一般消費者にとってより身近な概念となりました。
リセールの基本的な仕組み
リセールは、独自の取引形態を持っています。リセールの対象となる商品の種類や取引の流れ、主な取引形態について詳しく解説します。
■対象となる商品やサービス
リセールというと、ブランド品や高級衣料品を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、対象となる商品・サービスは多岐にわたります。
- ブランド品
- 衣料品
- スマートフォンやパソコンなどの電子機器
- 家庭用の電化製品
- 工業機器や医療機器
- 自動車やバイク
- 書籍
- チケット
これらの商品・サービスは、状態や需要などに応じて価値が変動し、新たな所有者へと受け継がれていきます。
■主な取引形態
リセールの取引形態は、『実店舗型』と『オンライン型』に大別されます。実店舗型は、リサイクルショップや中古車販売店、金券ショップといった対面販売の形式です。
オンライン型は、オンライン買取サービスやフリマアプリに代表されるもので、若年層を中心に人気を集めています。これらのプラットフォームでは、個人間による取引も頻繁に行われています。
近年は、ブランド自身がリセール市場に参入し、自社製品の買取・販売プログラムを展開する動きもあるようです。専門的な認証・修理サービスを提供する業者も登場し、リセール市場の信頼性向上に貢献しています。
■取引の流れの一例
リセールの流れは、商品の種類や取引形態によって多少の違いがあります。オークションサイトやフリマアプリ、チケットリセールなどのオンライン型の場合、以下のような流れで行われるのが一般的です。
- 売り手:価格を設定して出品する
- プラットフォーム:商品を審査した上でサイトに掲載する
- 買い手:サイト上を閲覧し、商品を購入する
- 売り手:商品を発送する
- 買い手:届いた商品を確認する
- プラットフォーム:売り手に商品代金を入金する
プラットフォームは、取引の安全性を確保し、必要に応じて仲介や保証サービスを提供します。
リセールビジネスの実態
中古品やチケットなどを再販売して利益を得るビジネスモデルは、『リセールビジネス』と呼ばれています。ファッション業界を筆頭に、リセール市場は急速な拡大を遂げており、新たなサービスも生まれています。ビジネスの実態を見ていきましょう。
■リセール市場の規模は拡大傾向
リセールサイトを運営するアメリカの『ThredUp』によると、アメリカの中古衣料品市場の規模は、2022年時点で390億ドルに到達しており、2027年には700億ドルまでに拡大すると予想されています。
中古衣料品市場は、『Resale(リセール)』と『Traditional Thrift and Donation(リサイクル・寄付)』に大別されますが、成長が著しいのはResaleです。日本のリユース市場も拡大傾向にあり、リセールの個人間取引が増えています。
この急成長の背景には、消費者の価格重視傾向や若い世代のサステナビリティへの関心があります。多くの小売業者が、新規顧客獲得や収益源拡大を目指してリセール市場に参入し、衣料品以外の企業でも自社製品の買取・販売をするケースが増えています。
出典:リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)| リユース経済新聞
■RaaSの台頭
循環型経済の実現に貢献するとして、『RaaS』が注目を集めています。RaaSは『Resale-as-Service』の頭文字を取ったもので、日本語では『小売業のサービス化』と訳されます。
簡単にいうと、自社のノウハウやテクノロジーを使って構築したシステムを、他の企業に提供するBtoBのビジネスモデルです。
リセール業界では、一次市場のアパレルブランド向けに、二次流通プラットフォームを提供する事業者が増えています。代表的なRaaS事業者には、『Reflaunt』や『TROVE』などが挙げられます。
■リセールに関する国内の法規制
チケットリセールでは、偽造チケット詐欺や不正な高額転売のトラブルに巻き込まれる恐れがあります。日本では2019年、チケットリセール市場の健全化と消費者保護を目的とした『チケット不正転売禁止法』が施行されました。
この法律は、特定の要件を満たす『特定興行入場券』の不正転売を規制するもので、違反者には最大100万円の罰金が科せられます。
ただし、急用や急病で参加できなくなった場合は、正規(公式)のリセールサイトを通じた転売が可能です。リセールサイトは、興行主の同意を得ており、正規価格でのみ取引ができます。