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主戦場をピッチからビジネスに移した元日本代表FW・大津祐樹のアグレッシブな人生

2024.11.15

 2024年のJリーグも佳境を迎え、大物選手の引退発表が相次いでいる。2014年南アフリカワールドカップ(W杯)に参戦した青山敏弘選手(広島)、歴代2位となるJ1・168ゴールという偉大な記録を持つ点取屋・興梠慎三選手(浦和)、ドイツ・ブンデスリーガ1部で100試合以上に出場した細貝萌選手(群馬)ら日本代表経験のあるプレーヤーたちが今季限りでピッチを去るのは寂しい限りだ。

 彼らに先駆けてちょうど1年前、一足先に16年間の現役生活にピリオドを打ったのが、同じく元日本代表の大津祐樹さんだ。

柏を皮切りに16年間のプロ生活。1年前に引退した元日本代表は敏腕社長として奔走中

 東京・成立高校から2008年に柏レイソル入りしたアタッカーは、新人時代から強烈なインパクトを残し、2011年7月にはドイツ・ブンデスリーガ1部の名門・ボルシア・メンヘングラードバッハ(MG)へ移籍。高度な経験値を2012年のロンドン五輪で遺憾なく発揮した。彼が初戦・スペイン戦挙げた先制弾は今も多くの人々の脳裏に焼き付いて離れない。

 ロンドン五輪直後の2012年8月にはオランダ1部・VVVフェンロへ。2013年には日本代表入りし、本田圭佑選手や岡崎慎司さん(バサラマインツ監督)、香川真司選手(C大阪)らと共闘する機会に恵まれた。ただ、同年末には右足アキレス腱断裂の重傷に見舞われたことで、残念ながらオランダで輝かしい実績を残すことは叶わなかった。

 そして2015年頭には柏へ復帰。2018年からは横浜F・マリノスへ赴いた。その2年目となる2019年にはトリコロール軍団のJ1制覇に貢献する。自身初のビッグタイトル獲得にはやはり特別な感慨があったに違いない。

 その後、コロナ禍の2021年にはジュビロ磐田へ移籍。3シーズンのうち2シーズンはJ2でのプレーだったが、チームのJ1復帰を見届けて、2023年末にサッカー選手のキャリアに区切りをつけることになった。

 本人としては、契約は次のシーズンも残っていたのに怪我の影響もあり100%でプレーできないならば、チームのために引退をするべきだという決断をしたという。それと同時に現役中から起業していたためビジネスの世界で活躍するビジョンも見えていたのかもしれない。

現役時代のユニフォーム姿もよかったが、スーツ姿が板についている(筆者撮影)

プロ選手と並行してサッカースクール運営、大学生のキャリア支援を手掛ける

 そもそも大津さんは現役時代から“起業家”として名を馳せていた。最初にアクションを起こしたのは2015年。柏時代のチームメートでロンドン五輪代表・日本代表の盟友・酒井宏樹選手(オークランドFC)とともに「大津祐樹×酒井宏樹サッカースクール powered by malva」を立ち上げ、子供たちに本気で勝負に挑むことの大切さと充実感を伝える活動をスタートさせたのが始まりだ。

 次なるチャレンジは、マリノスでJ1制覇を達成した2019年。再び酒井選手とともに(株)ASSISTを起業し、大津さんが代表取締役CEOに就任。大学サッカー部所属の大学生の就職支援(Football Assist=フットボールアシスト)を始めるに至ったのである。

「僕はプロサッカー選手として活動する中で、会社経営者や起業家など多種多様なジャンルと出会い、話をする機会に恵まれました。そういう時間を通して『サッカー部で活動している大学生と企業をマッチングさせることは大きな意味があるのではないか』という考えが浮かび、本気で事業化を模索し始めたんです。

 会社を立ち上げる前の1~2年間、自分なり市場調査をして、『これを形にすれば、双方にとってウイン・ウインになる』と確信するに至った。それで実際にサービスを始めることになりました。

 スポーツ選手はビジネス経験が乏しい分、難しいように見られがちですけど、本気で1つのことに取り組む能力に長けていますし、みんなで協力して問題解決に当たれる粘り強さもある。それは自分が長くサッカーをやってきて感じるストロングポイントです。

 その一方で、体育会系の学生はビジネスの業界に詳しくなかったり、どんな企業があるのかを知らなかったりする。専門的なアドバイザーがその弱点をサポートし、人生の選択肢や可能性を増やすことができればすごくいい。そういう僕の思いが徐々に多くの大学生に伝わっていきましたね」

 起業当初の様子をこう振り返る大津さん。自ら大学に足を運び、就活イベント開催にこぎつけるなど、ピッチ外でも精力的に活動した。手がける範囲も全大学生に拡大。小学生や転職支援、イベントや備品支援など幅広く行うようになったという。

コミット店内には高級時計がずらりと並ぶ(筆者撮影)

2024年からは東京・銀座の高級時計販売店「コミット」の経営も

「『サッカー選手は遠征や移動も多いし、時間もないのに、よくビジネスができるね』という見方をされることも多かったですけど、僕は『その時にできることをやっていく』というスタンスだったので、全く負担には感じませんでした。

 練習後の過ごし方は選手によってまちまち。家族サービスや友人と遊びに行く人も多いかもしれませんが、僕はみんなが趣味に使う時間をビジネスをする時間に使っていただけ。コロナ禍にオンラインが普及したこともあって、より柔軟に時間を作れるようになりましたね。

『サッカー選手は引退後が大変』とネガティブに見られがちですけど、僕はそう言われるのが一番嫌だった。なぜアスリートがそのような見え方になっているのか疑問でした。だからこそ、その課題を解決したいと思い、起業してアプローチをしてきました」と彼は言う。

 33歳での現役引退は「若すぎる」という声もあったが、大津さんはキッパリと区切りをつけ、2024年頭からは会社の仕事にまい進している。1月からは高級腕時計販売専門店「コミット」の取締役も兼務。東京・銀座の店舗で経営にも携わっているのだ。

「僕は欧州にいた頃から株に興味を持ち、自分なりに投資もしてきたんですが、実物資産にもかなり興味がありました。最近、金の価格が史上最高値をつけていますが、今は実物資産という意味で金と時計に目が行くようになりましたね。

 時計の方は若い頃から結構好きで、プロ1年目に50万円でロレックスを買ったのが最初。それが倍の値段になったのを見て『身に着けられる資産なんだな』と感じていました。

 そんな時に僕の会社とパートナーシップを結んでいたビジネスパートナーでもあったコミットの社長から『一緒にやらないか』と声をかけていただいた。本当にいいチャンスに恵まれました。

 時計の世界はグローバルで資産価値が高く、子供や孫など次世代にも引き継いでもらえる息の長いビジネス。今、非常に伸びている業界だと思います。数多くあるお店の中でも、コミットは特にお客さん1人1人を大切にするきめ細かい対応を心がけています。自分も以前から1人のお客さんとしてお店に来ていましたけど、『スタッフの接客が本当に素晴らしいな』と感じていました」と大津は偶然の出会いに感謝する。

JR中野駅には大津さんが前面に出たインパクト大の広告も

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