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「こんなはずじゃなかった…」を減らすロジカルシンキングの活用法

2024.11.13

上司や部下、他部署とのやりとり等、会社では様々な人たちとコミュニケーションをとりながら仕事を進める必要があります。その際に「そんなつもりじゃなかったのに・・・」という経験はないでしょうか? 相手に自分の考えをうまく伝えられない原因としては、伝えたい内容を整理しきれていないケースがあります。今回はこのような悩みを解消すべく、ロジカルシンキングの簡単な活用方法を考え、社内での相互認識のズレを失くす手法を考えていきたいと思います。

そもそもロジカルシンキングとは

ビジネスの世界には「~シンキング」と表現されるものが様々あります。その代表的なモノの一つで、得られた情報を法則や枠組みに従って整理し・分析し、そこから結論を導き出すスキルがロジカルシンキングです。ロジカルシンキングで整理・分析された内容を活用して相手への情報提供を行えば、社内で起こる「こんなはずではなかった」が解消することにもつながります。

ロジカルシンキングを行うための代表的な手法を以下の通りです。

●演繹法・帰納法
●ロジックツリー
●MECE
●ピラミッドストラクチャー

上記の内容を細かい説明はそれぞれの専門書にお任せしたいと思いますが、それぞれの手法において、共通して重要になっている事は、【事実】をベースに得られた情報を整理・分析が進められており、人の主観や感情のようなものが入る余地が限りなく少ない状態になっていくということです。ロジカルシンキングで整理された情報は、結論もそれを支える根拠も、人によって認識のズレない表現になり、その状態で相手に伝えることで、社内で起きる認識のズレが最小化していくことに繋がっていきます。

ここでひとつ疑問が出てきます。様々な立場や役割に人間がいるビジネスの世界において、全員が共通して事実と認識できることはあるのでしょうか?立場が違えば、同じ事象でも、違った見方がなされ、事実認識が異なってしまうことはよくあります。ロジカルシンキングを簡単に扱うための前準備として、この事実の取り扱いについて考えていきたいと思います。

同じ事実認識を作るためには

現代社会はテクノロジーの発達により、様々な考え方を気軽に発信でき、その多くの考え方を大勢の人が認識できる世の中になっています。それにより、一昔前と比較すると多様な考え方に寛容な世の中になったと言えるのではないでしょうか?

この世の中の変化は非常に良い側面もありますが、その反面、事実認識の統一に難しさを生んでいるように感じます。

このような社会の変化を認識した上で、ビジネスの世界で大切にしていただきたいのは、【前提条件を合わせる】という事です。相手に伝えたい情報の前提条件が合っていれば、その条件の中で物事を考察するようになるので、事実認識が合いやすくなります。

例えば、「歩留まり率」という言葉を例に前提条件を合わせる重要性をお伝えしていきます。この言葉は取り扱う業界によって、その意味合いを変える言葉です。

一般的には製造業で使われることが多い言葉であり、投入した原料や素材に対して、実際に得られた生産数量の割合を意味する言葉です。原料100キロ投入し、50キロの製品(良品)を作った場合は歩留まり率50%になります。製造業という前提条件の中では【工場】の生産性や効率を表す言葉として認識されます。

一方、この言葉自体は汎用性の高い言葉なので、営業会社などでも使われます。営業会社で使われる場合は、テレアポ100件に対して、商談できた数は50件で歩留まり率50%と表現されます。このように営業会社という前提条件の中では【人】の生産性や効率を表す言葉として認識される人も多いのではないでしょうか?歩留まり率という言葉で表現したい内容自体は【生産性や効率】なのですが、同じ歩留まり率50%という数字でも、【工場】を主語とした話なのか、【人】を主語とした話なのかのズレを生んでしまうことになります。

このように、社外に目を向けると前提条件を合わせることは難しく感じるかもしれません。しかし、社内コミュニケーションというテーマで考えると、このような業界のズレは起きないと思います。社内の場合、前提条件を合わせる上で認識しなければいけないのは、【会社の当たり前】と【それぞれの役割】です。会社の当たり前は会社の基準とも表現できます。それぞれの役割は役職に紐づいている役割をイメージしてください。この二つの前提条件を社内やチームで揃えるだけでも同じ事実認識を作ることにつながります。

会社の当たり前と役割の認識する上で重要なこと

同じ事実認識を扱う上で、会社の当たり前と役割を前提条件として揃える際にポイントとして捉えていただきたいことを2つお伝えしたいと思います。

一つ目は、なるべく見える化するという事です。人の頭の中は自由です。同じ物事でもその時その時の捉え方でズレが生じます。また、会社はいろんな背景を持った人材が集まります。育った環境や時代が違えば、認識する事実はズレやすくなります。

だからこそ、会社の当たり前や基準は見える化して記録に残し、その記録をベースに事実認識を進めれば、その記録内容に合っているかズレているかの二択で物事を判断することができ、共通の事実認識を作りやすくなります。

二つ目は、期限と状態を人によって解釈のズレない状態でのコミュニケーションを心がけるという事です。現代のビジネス環境において、非常に速いスピード感を求められることが多い中で、意外と期限設定の認識がズレる場合があります。状態については誰が承認者か明確にすれば、定量的にしづらい事でも〇か×の判断がつけやすくなります。

他者から受けた話が曖昧な場合は、この二つのポイントを自分なりに考えて、その考えたことをベースに話し合いを進めると共通の事実認識が作りやすくなります。

このように事実の取り扱いをシンプルにすることで、ロジカルシンキングを使って得たい事実認識を比較的簡単に手に入れることができるのです。

まとめ

ロジカルシンキングを活用して相手とコミュニケーションしなければいけないと考えると、難しさを感じる人もいるのではないでしょうか?しかし、事実をベースに社内のやり取りを進めるだけでOKと考えると、その難しさも簡単に感じる人も増えるのではないかと思います。ロジカルシンキングで得たい効果効能に近づかせるべく、社内のやり取りにおいて、前提条件を合わせ、事実でコミュニケーションをとっていただき、社内に存在する「こんなはずではなかった」を減らしていきましょう。

文/識学

この記事はマネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」による寄稿記事です

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