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JR東日本が来春から常磐線と南武線でワンマン運転を実施

2024.11.09

東日本旅客鉄道(以下JR東日本)は、首都圏主要線区でワンマン運転を実施すると発表した。

これは技術開発の成果を取り入れて、グループ経営ビジョン「変革2027」に掲げるワンマン運転を拡大することにより、人手不足や社員の就労意識の変化などに対応。鉄道をより効率的でサステナブルな輸送モードに変革させるもので、同社では「この施策の推進により社員の就労意識を<人ならではの創造的な仕事>へシフトさせていきます」とコメントしている。

本稿は同社リリースを元にその概要をお伝えする。

首都圏主要線区でのワンマン運転実施計画

・2025年春から、常磐線(各駅停車)綾瀬駅~取手駅間(10両編成)、南武線 川崎駅~立川駅間(6両編成)でワンマン運転を実施する。
・2026年春から、横浜・根岸線 八王子駅~大船駅間(8両編成)でワンマン運転を実施する。(東神奈川駅~大船駅間は、横浜線車両E233系8両編成のみワンマン運転)
・その後2030年頃までに、山手線、京浜東北・根岸線、中央・総武線(各駅停車)、埼京・川越線においても準備を進め、ワンマン運転を実施する予定。


2030年頃までに首都圏主要線区でワンマン運転を拡大する予定の線区

■首都圏主要線区でのワンマン運転実施に伴う安全・輸送安定性への取り組み

(1)安全性向上への取り組み

列車発車時の安全性向上のため、運転席に乗降確認モニタを設置するほか、JR東日本として初めて、異常時等で乗客と輸送指令室との通話や、輸送指令室から直接車内放送を行なう機能を導入する。

係員に対しては必要な教育・訓練を行ない、「お客さまに安心してご利用いただけるワンマン運転を実施します」と説明している。

また、首都圏在来線でのホームドア整備も推進していく。

(2)輸送安定性への取り組み

 輸送安定性の向上および運転士の負担軽減のため、ATO(自動列車運転装置)又はTASC(定位置停止装置)を整備する。

(3)さらなる安全性向上のための技術開発

輸送指令室で列車内のリアルタイム映像を確認できる機能や、車両に搭載したカメラで列車が走行する線路内の障害物を検知するシステムなどの早期導入を進め、さらなる安全性向上を目指す。

【参考1】 安全性向上への取り組み

■乗降確認モニタによる発車時の安全確認

運転士は、運転席に設置した乗降確認モニタで、全てのドアの乗り降りの状況を一目で確認することができ、より安全に列車のドアを閉めることが可能になる。

乗降確認モニタの例(南武線E233系)

■乗客と輸送指令員との通話

列車内で非常事態が発生し、乗客が非常通報装置(SOSボタン)を押した後、運転士が応答できない場合には、輸送指令室に直接つながり、乗客と輸送指令員が会話することができる。輸送指令員は、乗客の状況を確認した上で、速やかに必要な手配を行なう。

■輸送指令室からワンマン運転列車への車内放送

輸送指令室からワンマン運転列車に対して、車内放送を行なうことができる。運転士が車内放送できない状況にある時など、輸送指令室から車内放送を行い、乗客にタイムリーな情報を伝える。

■避難はしごの整備

列車の外に避難が必要になった場合に使用する避難はしごを、列車の最前部と最後部に整備する。必要により、乗客自身で使用できるように設置しているが、避難の際は、近隣の駅などから係員を派遣するなど安全に配慮した手配を行なう(※常磐線<各駅停車>は、乗務員室内)。

避難はしご設置の例(南武線E233系)

【参考2】さらなる安全性向上のための技術開発

■輸送指令室で列車内のリアルタイム映像が確認できる機能の導入

列車内で非常事態が発生した際に、車内の状況をいち早く把握し適切な対応を行なうことを目的として、非常通報装置が扱われると輸送指令室にアラームが鳴動。

車内防犯カメラのリアルタイム映像が確認できる機能を山手線1編成に試験導入して、検証を進めている。同社では2025年度から山手線への導入を目指している。

■車両前方のステレオカメラによる障害物検知システムの開発

乗務員の運転支援および将来のドライバレス運転を見据えた安全確保手段として、車両前方に搭載したカメラ画像から、列車が走行する線路内の障害物をリアルタイムで検知するシステムの開発が進行中だ。

現在、京浜東北・根岸線の車両に搭載しての走行試験を実施しており、引き続き開発を進め、早期導入を目指す。

関連情報
https://www.jreast.co.jp/

構成/清水眞希

 

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