小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

賃金のデジタル払いが解禁されても企業の9割が「導入予定なし」と消極的な理由

2024.11.06

政府は、給与の一部をデジタルマネーで受け取れる「賃金のデジタル払い」を2023年4月に解禁。2024年8月に取り扱い事業者として初めてキャッシュレス決済サービスの「PayPay」の運営会社が厚生労働省から指定を受けた。

同年9月25日、通信サービス大手のソフトバンクグループ各社は国内で初めて希望する社員に対して、給与を「PayPay」で支払った。幅広い分野でキャッシュレス化が進むなかで、今後賃金のデジタル払いの動きが広がるかどうか注目されている。

そこで、帝国データバンクは、企業における賃金のデジタル払いへの対応についてアンケートを実施。結果をグラフにまとめて発表した。本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。

賃金のデジタル払い、企業の約9割が「導入予定はない」

自社における賃金のデジタル払いへの対応について尋ねたところ、「導入に前向き」な企業は3.9%と低水準だった一方で、「導入予定はない」は88.8%と9割近くにのぼった。なお、「言葉も知らない」は1.6%、「分からない」は5.6%だった。

企業からは、「導入を検討している。周知されれば便利だと思う」(飲食店)といった前向きなコメントも聞かれたが、「必要と感じない」(専門サービス)や「社会への浸透具合、社員からの要望、セキュリティ対策など多面的な検討が必要なため、現時点での導入については時期尚早との認識」(建設)といった、導入に消極的な声が大多数を占めた。

■導入に前向きな理由、「振込手数料の削減」が5割超、次いで「従業員の満足度向上」が4割台

賃金のデジタル払いについて「導入に前向き」な企業に対し、その理由を尋ねたところ、「振込手数料の削減」が53.8%でトップとなった。次いで、「従業員の満足度向上」(42.3%)、日払いや前払いなどのしやすさなど「事務手続きの削減」(32.7%)が続いた。

企業からは、「賃金のデジタル払いができたら支払いが楽になる」(メンテナンス・警備・検査)といった声があがった。

他方、「検討しようと考えているが、小さな会社での導入は可能なのかどうかや、実際の事務作業の流れ、必要な手続き・手数料などを知りたい」(情報サービス)といったコメントも寄せられ、前向きに考えている企業においても制度・サービスに関する情報や理解が十分でない状況が推察できる。

■導入予定がない理由、「業務負担の増加」が6割超、理解の不十分さやセキュリティリスクへの不安も

賃金のデジタル払いについて、「導入予定はない」企業に対し、その理由を聞いたところ、デジタル払いと口座振込の二重運用や労使協定の改定など「業務負担の増加」が61.8%でトップとなった。

次いで、「制度やサービスに対する理解が十分でない」(45.0%)、「セキュリティ上のリスクを懸念」(43.3%)が4割台で続いた。また、人事給与システムの改修などの費用を含む「コストの増加」(39.2%)も4割近くにのぼった。

企業からは、「振り込み処理が複雑になる」(機械製造)や「セキュリティが十分とは思えず、従業員も不安に思っている」(繊維・繊維製品・服飾品製造)など不安な声があがった。

また、「デジタルマネーで支給したものを現金化できるかなど、知識不足な部分が多い」(パルプ・紙・紙加工品製造)のように制度・サービスに関する情報や理解が不十分であることから導入を検討しないケースも複数あった。 

さらに、デジタル払いを利用する従業員が少ないことや銀行振り込みなど、従来の給与の支払い方法で不便を感じていないことにより“必要性を感じない”といったことのほか、“地域でデジタル払いができる店舗が限られる”、“従業員からの要望がない”などの意見も聞かれた。一方で、導入予定はないが、今後従業員から要望があれば検討したい、とのコメントも一定数寄せられている。

調査結果まとめ

本アンケートの結果、賃金のデジタル払いを導入する予定がない企業は9割近くにのぼった。業務負担の増加や、制度・サービスに対する理解が十分でないこと、セキュリティ上のリスクへの懸念などが導入を妨げる要因となった。また、手間がかかる一方で必要性やメリットを感じない、そもそもデジタル払いに対応する店舗や施設が少ない、従業員から要望がないなどといった意見も聞かれた。

賃金のデジタル払いで支給された給与は現金化ができるようになっているが、企業からは“現金化ができないため不便”といったコメントがあがっていた。ほかにも、取り扱い事業者が破綻した場合は保証機関から弁済されることが決まっているものの、“何か起きた時に誰が責任をとるのか不安”といった声が聞かれるなど、情報が行き届いていない様子も明らかになった。

企業からの声をまとめると、キャッシュレス社会実現への取り組みである「賃金のデジタル払い」の普及に向けた課題は多く残っていることがわかった。利用拡大のためには、制度・サービスに関するきめ細かい情報周知のほか、セキュリティの強化とその情報共有、店舗などでのデジタル払いの導入と消費者のデジタル払いの利用を促す政策の強化が求められる。

関連情報
https://www.tdb.co.jp/index.html

構成/清水眞希

 

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年11月15日(金) 発売

DIME最新号は「2024年ヒットの新法則!」、永尾柚乃、小田凱人、こっちのけんと他豪華インタビュー満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。