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ブリヂストンが宇宙探査事業を手がける米アストロボティック社と月面探査車向けタイヤ開発の協業を発表

2024.11.05

ブリヂストンは、アストロボティック テクノロジー社(以下アストロボティック社)と、月面探査車向けタイヤ開発の協業契約を締結した。

90年以上にわたるタイヤ開発の歴史を有するブリヂストンは、その知見を活かして2019年から月面探査車用タイヤの研究開発に取り組んでいる。

アストロボティック社の月面探査車にブリヂストンと開発したタイヤを装着

これまでに第1世代と第2世代のタイヤコンセプトモデル開発を経て、地上走行試験やシミュレーションを重ねてきた。この活動を通じて、パートナーに「自ら極限へ挑戦する姿」を示し、宇宙ビジネスのネットワーク拡大と共創機会の創出を進めている。

今回、ブリヂストンとアストロボティック社は協業契約を締結し、スペースモビリティの進化に向けた共創への一歩を踏み出した。

アストロボティック社は、6種類の月面探査車開発やNASAからのローバー技術契約37件受託など、17年間にわたる月面探査車の開発実績を持つ宇宙探査と技術開発のリーディングカンパニーだ。

ブリヂストンは、モータースポーツなど「極限」の環境で技術イノベーションを磨き続けることで、地球のあらゆるモビリティの進化を支えてきた。

今回の発表に際して同社では、「次のステージとして、月面という人類が活動する新たな『極限』に挑戦することで安心・安全な人とモノの移動を支え続け、スペースモビリティの進化を足元から支えていきます。本プロジェクトを通じて、モビリティの未来になくてはならない存在となることを目指します」とコメントしている。

■耐久性を確保しながらも柔らかく変形することで、月面にある岩などを乗り越えて走行が可能

今回ブリヂストンと共同開発したタイヤを装着予定のアストロボティック社の月面探査車「24U CubeRover」は、月面における科学調査機器とペイロード(積載物)の移動手段となり、電力、通信を提供するよう設計されている。

「24U CubeRover」は中型サイズで、優れたハンドリング性能やサスペンション、長距離通信機能を兼ね備え、過酷な月面環境でも卓越した性能を発揮する。

ブリヂストンの月面探査車用タイヤが装着されたアストロボティック社の「24U CubeRover」

「24U CubeRover」向けに開発するブリヂストンのタイヤは、金属製スポーク(※1)を採用。耐久性を確保しながらも柔らかく変形することで、月面にある岩などの障害物を乗り越えて走行できるという。
※1:タイヤの接地面とホイールを繋ぎ、荷重を支えるとともに衝撃を吸収する機能を持つ部材

この構造により外部からの衝撃を吸収し、さらに走破性およびエネルギー効率の向上にも繋がるため、月面探査車の駆動系への負担が軽減され、月面探査ミッションを長期間足元から支えることが可能になる。

近い将来、アストロボティック社とブリヂストンは月面への打ち上げおよび宇宙での熱環境におけるタイヤの耐久性も確認する予定だ。

ブリヂストンの月面探査車用タイヤのコンセプトモデル

ブリヂストンでは、「月面探査車用タイヤ開発を通じて宇宙モビリティの進化を支えることで、企業コミットメント『Bridgestone E8 Commitment』で掲げる『Extension 人とモノの移動を止めず、さらにその革新を支えていくこと』にコミットしていきます」とアナウンスしている。

関連情報
https://www.bridgestone.co.jp/technology_innovation/moon_tires/

構成/清水眞希

 

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