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【ANoTHER IMPERIAL HOTEL × DIME】コラボ商品の開発プロジェクトが始動!

2024.11.03

帝国ホテルは、新規事業としてオンラインモール「ANoTHER IMPERIAL HOTEL(アナザー インペリアルホテル)」をローンチした。開業記念日である11月3日より公式サイトをオープンし、37ブランド、約100アイテムにのぼるオリジナル商品を発売する。

帝国ホテルは、渋沢栄一ら政財界人の働きかけによって、1890年に誕生した日本初の本格的西洋ホテルである。国家元首や王族をはじめ、政財界のトップが滞在・利用するなど、今なお日本の重要な外交拠点として機能していることは、改めて触れるまでもないだろう。近代化を目指した当時の政府が威信をかけて形作った‶日本の迎賓館〟たらしめる格式、礼遇の心は、脈々と受け継がれている。

そんな日本を代表する歴史あるホテルが、帝国ホテルブランド初となるオンラインモール「アナザー インペリアルホテル」を立ち上げた。

コンセプトは、〝もっとあなたを、驚かせたくて。〟

開業134年の歴史の中で出会った日本各地の商品を、シェフやソムリエ、バーテンダーをはじめとする経験豊かなホテルスタッフがセレクト。生産者やつくり手が抱える課題へ手を差し伸べるなどして、帝国ホテルにしかできない新しい地域共創の形を目指すという。

このメイド・イン・ジャパンの老舗ホテルとしての矜持、強い使命感にDIME編集部は共鳴。ここから3回にわたって、本誌『DIME』と所縁の深い3名の有識者を迎えて始動したオリジナル商品開発プロジェクトの全容をレポートする。

おもてなしの価値と驚きを届ける〝新たな出会いの場〟に

左から)ヒャダインさん(音楽クリエイター)、鳥海高太朗さん(航空・旅行アナリスト)、山田純平さん(帝国ホテル・広報課)、平石理奈さん(帝国ホテル・EC事業部)、安田典人(DIME編集室長)、山田 遊さん(method代表・バイヤー)
※帝国ホテル本館の特別階「インペリアルフロア」にあるスイートルーム『フランク・ロイド・ライト® スイート』にて撮影

何よりも気になるのは、新たなオンラインモールを立ち上げた背景だろう。これについて帝国ホテル・広報課の山田純平さん(以下、帝国・山田)は次のように話す。

帝国・山田「すでにご承知かと存じますが、現在、当ホテルの本館、タワー館を構える内幸町一丁目街区は、再開発プロジェクト『TOKYO CROSS PARK構想』の只中にあります。

まず、北地区にありますタワー館を2024年度に、本館を2031年度に解体着工を予定しています。

新タワー館は2030年度、新本館は2036年度に完成を予定しておりまして、建て替え期間中の2029年度に、100室と小規模ではありますが、隣接する中地区セントラルタワーに帝国ホテルとは異なる新ブランドの宿泊特化型ラグジュアリーホテルを開業予定です。

ほかにも2026年春を目指し、京都市東山区の祇園甲部歌舞練場敷地内にある登録有形文化財『弥栄会館』を一部保存活用する形で、4番目の帝国ホテルへと再生いたします」

ヒャダインさん(以下、ヒャダイン)「内幸町一丁目街区の再開発プロジェクトについては見聞きしていましたが、帝国ホテルがそこまで大きな変革期に突入していたとは知りませんでした。ただ、範囲を広げながら営業を継続するとはいえ、これまで帝国ホテルを利用してきたお客様からすれば、どうしても勝手の違いは否めなくなる」

帝国・山田「懸念しております。そこで建物が移り変わる間も〝帝国ホテルのおもてなしの価値と驚きを感じていただける〟〝お客様との新しい繋がりを育める〟そういった新たな出会いの場をWeb上でつくることができないかと考えました」

鳥海高太朗さん(以下、鳥海)「つまり、今回のオンラインモール事業は、単純な物販機能の拡大ではなく、新館の建て替えと同じように、帝国ホテルが歩む100年先を見据えた重要な取り組みのひとつというわけですね」

山田 遊(以下、山田)「僕はおもしろい取り組みだと感じますね。仕事柄、ホテル業界の動向はチェックしていますが、実はオンラインモールに力を入れているホテルって珍しいですよ」

ヒャダイン「そういえば、聞いたことないですね。これはよくある話で、贈り手にとっては価値のあるものだとしても、受け取った側がそれを知らなかったら空振りになってしまう。その点で、帝国ホテルブランドは強力なアドバンテージになるでしょうね。受け取り手の解像度を上げる意味でも、ブランド力の高さに頼るのはギフト選びの正攻法ですから。

でも、そればかりではよくあるオンラインモールの域に収まってしまいます。先ほど山田さんがおっしゃった〝帝国ホテルのおもてなしの価値と驚き〟をどうやって表現したのか、ものすごく気になります」

アンバサダーの知見が‶帝国ホテルらしさ〟を担う

「アナザー インペリアルホテル」開業時点の商品数は、37ブランド、約100アイテムを数える。いずれも独自の基準に基づいて選定され、アンバサダーとバイヤー、つくり手とが意見交換を繰り返しながら〝日本で100年以上の歴史がある帝国ホテルにしかできないもの・こと〟へと磨き上げるという。バイヤーチームを指揮する帝国ホテル・EC事業部の平石理奈さん(以下、帝国・平石)が話す。

帝国・平石「商品の選定基準は4項目ございます。1つ目は、希少性です。『アナザー インペリアルホテル』には、どこでもお買い求めいただけるような商品のお取り扱いはございません。

私たち帝国ホテルには、メイド・イン・ジャパンのホテルとして、全国各地の優れたものを取り扱ってきた自負、そして134年にわたり受け継がれてき研鑽があると思っています。そこで日本各地の〝良いもの、良いこと〟を、いかに帝国ホテルらしい目利きを通してご提供できるかという点にこだわりました。

2つ目は、意匠性。いわゆるビジュアルですよね。オンラインモールですので、お客様の琴線に触れるビジュアルであることは、非常に重要だと思っています。

3つ目は、ストーリーです。商品化へ至る経緯、つくり手の想い、そしてどんな土地で作られているのか。こうした商品が持つ固有のストーリーを、ひとつの価値としてお客様へお届けしたいと考えたのです」

帝国・平石「最後に、つくり手の応援に繋がること。私たちバイヤーチームは、全国各地のつくり手に直接お会いし、オリジナル商品を開発してまいりました。

日本各地を巡ってきた中で出会えた‶素晴らしいもの〟‶素晴らしいこと〟はたくさんある一方で、地域の方々の多くが、技術継承などを含め、様々な課題を抱えておられます。134年という長い期間をかけてホテル業を営んできた帝国ホテルだからこそ、未来へバトンを繋ぐような存在になれないか。そういった想いで商品を選んでまいりました」

帝国・平石「例えば、宮崎県・霧島連山の麓にある牧場『KIRISHIMA RANCH』とコラボレーションした『フレンチ牛鍋&〆のストロガノフ』という商品がございます。

この牧場で飼育される黒毛和牛『霧島和牛』と地場産のお野菜を、3段組の木箱にたっぷりと詰め込んだお料理セットです。経産牛の赤身もも肉は、柔らかで脂がほどよく非常に美味しい。お鍋をいただいた後に付属のルゥとスープを注ぎますと、和牛とお野菜の旨味がたっぷりの濃厚な〆のビーフストロガノフとなり、最後のひと口までお楽しみいただけるという逸品です」

ヒャダイン「お鍋の後は麺や雑炊が定番ですけど、ロシアの郷土料理で〆るというのは新しいですねぇ! 僕は自分で料理をする自炊勢なので、食材をお皿に移すなどの手間を省きながらも、料理を楽しむ余白を残しているというバランスも素晴らしいですね」

鳥海「これはめちゃくちゃ美味しそうですよね! でもどうして〆がビーフストロガノフなんですか?」

帝国・平石「まず『KIRISHIMA RANCH』の方と商品の企画会議を行なうにあたり、つくり手として抱えている課題を伺うことから始めました。そうしましたら、多く出て余ってしまう牛脂の処理に悩まれていると。そこで総東京料理長の杉本の発案で〝牛脂でルゥを仕立ててみよう〟ということになりました。というのも、帝国ホテルではルゥにバターを使ったビーフストロガノフをお仕立てしております」

ヒャダイン「なるほど。バターを牛脂に置き換えてみようということですか」

帝国・平石「牛脂をしっかりと焼き込んでおりますので、和牛ならではの香ばしさが感じられるビーフストロガノフをお楽しみいただけます。と、ここまでご説明できれば、地域貢献や課題解決への取り組みをお客様へお伝えできるのですが、文章だけでどこまでお伝えできるかと思うところもありまして……」

ヒャダイン「最近は長い文章を読まない傾向にあるとも聞きますし、それを実感する自分もいます。とても魅力的なエピソードなので、伝えていかないともったいないですよね」

山田「このベーコンにも、帝国ホテルならではの逸話が?」

帝国・山田「もちろん、ございます。コラボパートナーの『ノムラ』はBtoBの会社ですから、一般的な知名度は決して高くはありません。しかし、帝国ホテルの歴史を紐解きますと、『ノムラ』は帝国ホテルが戦後GHQに接収されていた時代から関係を紡いでいる老舗精肉卸業者でございます。

帝国・平石「実はですね、今から40年ほど前になりますでしょうか、当時の総支配人から〝海外ゲストが好むベーコンはカリカリに焼けないとダメだと。日本にはない食感の美味しいベーコンを作りなさい〟という指令が下りました。ブッチャーシェフと料理長たちが『ノムラ』に出向きまして一緒につくり上げたのが、この『生ベーコン』でございます」

帝国ホテルといえば、異なる味の具を3枚のパンではさみ、ひし形に仕立てた、アメリカ流のクラブハウスサンドイッチを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。実際にこのベーコンの味わいが少しでもブレますと、〝今日のアメリカンクラブハウスサンドイッチはいつものと違うね〟というお声をお客様からいただくくらいの定番となっておりまして、それをホテル外のお客様へ向けて初めて販売する形になります」

安田「せっかくですので〝ブッチャーシェフ〟の役割をご説明いただけますか?」

帝国・山田「まず帝国ホテルの調理場は分業制になっておりまして、料理の仕上げをしてお客様に提供する部署だけでなく、下ごしらえをする専門の部署がございます。その中で肉を専門に扱う部署がありまして、それを私たちは〝ブッチャー〟と呼んでおります。〝ブッチャーシェフ〟はその部署の責任者。お肉の塊を触れるだけで手の温度で溶け出した脂から、そのお肉の状態を見極められるくらいの技能を有しております」

安田「ブッチャーシェフは、帝国ホテルが誇るお肉のプロフェッショナルである、と。山田さんはご存じでしたか?」

山田「いえ、初めて耳にしました。とても可能性を感じますね。今回のお話を聞いて僕が新鮮に感じたのは、商品開発に携わっている帝国ホテルのスタッフさんのストーリーです。どんな役割の方がいて、それぞれがどう連携を取り合って、帝国ホテルという共同体を動かしているのか。僕らでは測り知れない技能を持ったアンバサダーの存在感が増すほど、このオンラインモールに対するお客様の期待値も自然に高まるのではないかと感じました」

帝国ホテルの最前線は‶新しい学び〟の宝庫だ

安田「伊万里鍋島焼の窯元である畑萬陶苑と開発した『IMPERIAL BLUE』、老舗『ぎんざ空也』の5代目 山口彦之氏とコラボした『和洋折衷マドレーヌMONAKA』など、この記事に載せられないほど、たくさんのオリジナル商品をご紹介いただきました。ここからは少しお時間をいただいて、第1回目の会議の総括としてDIMEがプロデュースするオリジナル商品の方向性を固めさせてください」

ヒャダイン「まず『アナザー インペリアルホテル』に関しては、絶対に外さないギフト需要の受け皿として、これほど魅力的なオンラインモールはないように感じました。ただ、DIMEのプロデュース商品に関しては、ものよりも体験を提供する商品を推したいですね」

鳥海「同感です。今ある本館は2031年度に取り壊されてしまうわけですから。帝国ホテルのレガシーを活用した体験型プランは魅力的だろうなと強く感じます」

山田「トレンドを踏まえると、新しい学びを得ること、いわゆる‶リスキリング〟に着目してもいいかもしれませんね。繰り返しになりますが、帝国ホテルには優れた技能を持ったアンバサダーがいますから、実際の働く現場で彼らと会話を交わす。この体験からビジネスパーソンが得られる学びは多いと思います」

ヒャダイン「ブッチャーシェフに肉の叩き方を教えてもらいたいですよね!」

鳥海「そこはぜひ『ノムラ』さんも交えて、ふたりのストーリーを拝聴しながらお肉の食べ比べや特別なお酒や食事を味わう、あるいは『アナザー インペリアルホテル』の商品を使ってホームパーティのデラックス版みたいなものを帝国ホテルで開くプランがあっても嬉しいですよね」

帝国・山田「本館には宿泊者専用の施設のほかも、外来のお客様でもご利用いただけるお茶室などもございます。この茶室を設計されたのが、村野藤吾さんという方でして」

山田「村野藤吾さん! 日生劇場を設計したことでも知られる近代建築の巨匠ですね。それはぜひ見ておきたい!」

帝国・山田「その茶室というのは、武者小路家千家、表千家、裏千家という千利休の直系である三千家の名のある茶室を写したもので~というような話をしながら一服いただく。さらに、今おっしゃったような『アナザー インペリアルホテル』でお取り扱いする商品を食す、飲む機会をレストランで体験する。

建て替えがはじまる前の‶今の帝国ホテル〟でしか味わえないレガシーを活用し、宿泊でご利用するお客様でも味わえない、特別な時間を提供する体験型プランがおもしろそうだな、というふうに感じました」

安田「ありがとうございます。それでは、DIMEプロデュース商品は体験型プランで進行いたしましょう。次回の会議では、『アナザー インペリアルホテル』のアンバサダーの方々にお会いできる機会が持てることを願いつつ、ランドリー、オールドバー、あるいはブッチャーシェフの働くエイジングルームなのか、この体験型プランを利用するお客様目線で、職人が働く現場を視察できればと思います。次回もよろしくお願いいたします」

■関連情報
ANoTHER IMPERIAL HOTEL
ANoTHER IMPERIAL HOTEL 公式Instagram

文/DIME編集部

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