カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー (英⽂名: Counterpoint Research HK 以下、カウンターポイント社)は、スマートフォングローバル市場におけるGenAI搭載スマートフォンの出荷シェアは2024年中に19%に達し、さらに2028 年には54%で7.3 億台となり、2024年の出荷⾒込みの3倍を超える可能性があるという市場予測を含むSmartphone 360 Serviceによる最新調査を発表した。
2028 年には54%で7.3 億台となり、2024年出荷⾒込みの3倍を超える可能性
⽣成AI(GenAI)の台頭で、スマートフォン業界は⼤きな変⾰を迎えている。実際、従来はより⼤きなディスプレイ、より速いプロセッサ、より多くのカメラといったハードウェアの進化が重視されてきた。
しかし、今や、より⾼いインテリジェンス、より⾼度に状況に適応しユーザーひとりひとりにパーソナライズされた体験を提供することに重点がシフトしている。
ハードウェアの進化は減速傾向だが、イノベーションは⽅向性を変えつつ、むしろ加速している。業界を挙げて、⽣成AIの⼒に頼った超パーソナライズの⽅向に向かっている。
<図:スマートフォングローバル市場における⽣成AI搭載スマートフォン出荷予測>
2023年から2028年にかけてCAGR 74%の成⻑
出典: カウンターポイント社 GenAI Smartphone Forecast
初めて⽣成AI を搭載したスマートフォンが発売されてから約1年になり、そのインパクトは⾒過ごすわけにはいかない。
⽣成AI搭載スマートフォンの出荷シェアは2024年中に19%に達し、さらに2028年には54%で7.3億台となり、2024年の出荷⾒込みの3倍を超えると予測されている。
2024 年中に、SamsunApple を合わせて、⽣成AI搭載スマートフォングローバル市場の75%を占める勢いだ。両社とも先進国市場で強いプレゼンスがあり、⾼価格帯機種市場を寡占している。
共に⾼価格帯機種市場での地位を武器に、富裕層や新技術好きの存在が最⾼級機への需要に繋がる先進国を中⼼に、アーリーアダプター層を取り込んだ。
短期的には⽣成AI は⾼価格帯機種スマートフォンカテゴリーを席捲し、中期的には中価格帯機種およびそれ以下のカテゴリーまで拡⼤するとみられている。
■焦点がスペック競争から真のパーソナライゼーションを実現できるかに移行
スマートフォンメーカー間の競争はさらに激しくなり、その焦点がスペックを競うことから、真のパーソナライゼーションを実現できるかに移っている。
メーカーにとってAI をどう使いこなすかが差別化の鍵になっており、実際にAIのユースケースは進化しつつある。今のところAIを活⽤したアプリケーションとしては、撮影機能の拡張、翻訳機能、アプリの使い勝⼿向上、⾳楽やビデオコンテンツのレコメンド、パーソナライズされたコンテンツの⽣成といったものがある。
また、半導体セクターは今後⼤きく成⻑するとみられ、⽣成AIの端末への搭載が牽引役となって、2030年には3390 億⽶ドルになる⾒込みだ。スマートフォンの部品原価に占める半導体の割合は、現在の40%から、2030年には45%に達すると予想されている。
スマートフォンで使われる半導体で価格が⾼いのはプロセッサ、メモリ、各種通信⽤チップ、電源管理、センサー、オーディオだ。⽣成AI機能追加の影響が⼤きいのはプロセッサで、次いでメモリ、センサ、オーディオのコストにも影響する。
Qualcomm はスマートフォンの出荷増においても、⽣成AI 搭載スマートフォンにおけるエクスペリエンス向上においても、その中核を担ってきた。
同社のチップが、スマートフォンメーカー各社の次世代機の開発を可能にしてきたのだ。別途発表しているカウンターポイント社のホワイトペーパーでは、10 ⽉初旬に弊社が開催したAI 360サミットにおけるQuelcommのキーノートスピーチを元に、市場全体の成⻑と次世代⽣成AIスマートフォンが可能にする新サービスについて、深く分析を⾏なっている。
今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独⾃の調査⽅法で実施された。
調査時期/2023年1⽉1⽇〜2024年9⽉30⽇
関連情報
https://japan.counterpointresearch.com
構成/清水眞希