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組織に入った以上、必ず関わらなければならないのが「上司」という存在です。しかし、上司が怖いと感じると、仕事でわからないことがあったり、判断に迷う時に気軽に聞くことができず、仕事に対するモチベーションが低下したり、緊張と委縮状態でメンタル不調に陥ってしまうこともあります。
今回は、怖い上司の特徴を挙げ、その特徴別における対処法を解説します。さらに「上司が原因で退職をするかの見極め時」についても解説していきたいと思います。
怖いと感じる上司の特徴と対処法
怖いと感じる上司にも、いろいろなタイプがあります。その特徴を見てみましょう。
■言動がぶっきらぼう
話し方が威圧的な上司。指示を仰いだ際に、パソコンから目を離さずに対応するなども、ぶっきらぼうな態度といえるでしょう。
このような対応をされると、「自分のことを嫌っているのではないか」「面倒な部下だと思われているのではないか」などと考え、上司に恐怖心を抱くようになりがちです。
【対処法】このタイプは、自分の態度が部下に怖がられているという自覚がありません。また、上層部から注意してもらったとしても、語尾の強さや雰囲気は本人もどうやって修正したらよいかわからないため、治らないことが多いです。
そのため、こちらの受け止め方を変えるのが正解です。観察してみると、このタイプの上司は自分だけでなく、誰に対してもぶっきらぼうであることが大半です。この人は素がこういうキャラクターで他意はないのだ、と割り切って接しましょう。
■気分にムラがある
丁寧に教えてくれるときとそうでないときの差が激しい。機嫌が悪いときにミスすると、叱責が長時間続くなど、上司の気分にムラがあると「今日は話しかけて大丈夫だろうか?」とドキドキして上司の顔色ばかり伺うようになってしまいます。
【対処法】気分にムラがある人は、頻繁にため息をついたり、ドアを強くしめたりするなど機嫌が悪い状態が態度に出やすいです。
気分にムラがあるということを自分自身で気づいている人もいるのですが、ホルモンバランスや感情障害など自身でもコントロールが難しい人も一定数います。そのため、「今日は機嫌が悪い」と感じたらなるべく近づかないことで自分防衛しましょう。
メールで済ませられる要件はメールにして直接話さないようにするといったことも工夫のひとつです。また、機嫌が悪くなると一定期間その状態が続くタイプには「〇日までに先方に返事をすることになっておりますので、お時間がある時にご教示ください」など余裕をもって指導を仰ぐとよいでしょう。
■プレッシャーをかける
上司のプレッシャーのかけ方が強くて怖いという状態は、数値目標を持つ営業部署によく見られます。営業部署の上司は自分自身が優秀なプレイヤーだった人が多く、そうした人の中にはノウハウを蓄積する努力型より、天性の勘が鋭かったり話術に長けている感覚型も多いのです。
そのため、部下を教育するという概念やノウハウに薄く、とにかく頑張れば達成できるという「感覚」で無意識に部下に高いプレッシャーをかけてしまいがちです。
【対処法】プレッシャーのかけ方が人格否定にあたる言動であったり、実現不可能である場合はしかるべき人や部署に訴えるべきですが、そうでなければ、上司がかけてくる圧は「流しておく」くらいの図太さが大切です。
営業は、社内順位が高かったり目標数値を大幅に超えるとインセンティブがつくことが多いため、成績が収入に直結するという部分に魅力を感じる人も多いと思います。
しかし、競争力が強く働くという職種柄、すべてではないですが、やはり様々な面においてパワーが強い上司が多いのは事実です。そのため、上司への対処法を考えるだけではなく、営業という職種が自分に合っているのか、というキャリア形成の視点でも考えてみることをおすすめします。
■理詰めがキツい
提出物について細部にわたって詰めてくる、ミスをすると、発生要因の追及や対処法など理詰めで説教され、どんなミスでも「うっかり」が理由にならないという完璧主義型の上司。
人間ですから誰でもミスしてしまうことはありますが、理詰めの上司の場合、ミスを報告することが怖くなり、ともすると隠蔽や不正につながってしまうケースもあります。
【対処法】もちろんミスをしてしまったら原因を探り、今後ミスをしないよう対処法を考えることはとても大切です。また、丁寧な仕事は、どのような職種、業種、役職においても将来における糧になります。
提出物や業務連絡などにおいて怖いと感じる場面では、将来の自分自身への投資だと思ってみましょう。ただ、そのような対応をされるのが自分だけといった場合はパワーハラスメントに該当するケースもあります。他の部下への対応がどうなのか、といった点も観察して見極めてください。
休職や退職理由に「上司が怖い」はありなのか
上司が怖いことが理由で、休職や退職を考えるなんてナンセンスではないか、ただ自分が弱いだけなのではないか、と悩んでいる方もいると思います。
その際に、まずおすすめしたいのは「迷っているなら、退職ではなくまず休職してみる」ということです。
迷うということは、何かが退職という決断を引き止めているということです。ストレスの対象となっている環境から一度離れてみることで、心がリセットできたり自身のキャリアを見つめ直す機会にもなります。
なお、上司にも自分に異動がなく、離れられる可能性がない場合で、かつ上記にあげたような「上司の〇〇が怖い」といったものではなく、上司の存在自体が怖いと感じているのであれば退職を考えることはありでしょう。
心身が限界に達してしまってからでは、リカバリーにも長い時間がかかりますし、恐怖体験がトラウマとなり、その後の社会生活に支障が出る可能性があります。一番大切なものは自分の心と体の健康であるということは忘れないでください。
まとめ
テレワークが中心の職場も増え、同僚とおしゃべりをしたり会社帰りにご飯に行ったりすることが難しい人もいらっしゃると思いますが、上司について相談したり、愚痴を言ったりできる仲間がいるだけで、ストレスが解消できて「明日からまた頑張ろう」という気持ちになれたりもします。
環境が許せる限り、上司の人となりを知っている人とのコミュニケーションもぜひ大切にしてみてください。
文/小日向るり子
フィールマインド代表。カウンセリング件数約6000件(2024.4月現在)。カウンセリングのほか人間心理や恋愛コラムの執筆も行っている。