ビジネスメールや文書で目にする『ご査収の程』の適切な使い方に、悩んだことはありませんか?初めて使うときは特に戸惑うものです。『ご査収の程』の意味や基本的な使い方を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
目次
「ご査収の程」の意味と基本的な使い方
ビジネスシーンで頻繁に使用される『ご査収の程』は、丁寧な表現として知られる言葉です。まずは、『ご査収の程』の語源と意味、ビジネスメールにおける役割について詳しく解説します。
■「ご査収の程」に含まれる意味
『ご査収(ごさしゅう)』は、主にビジネスシーンで使用されます。この言葉の語源は調べることを意味する『査』と収めることを意味する『収』を組み合わせた『査収』に、尊敬の意を表す『ご』を付けたものです。
相手に文書や資料をきちんと確認した上で受け取ってほしいという願いが込められています。
似た表現に『ご査収ください』『ご査収いただきたく存じます』などがありますが、言い回しやニュアンスが異なるだけで、基本的には全て同じ意味合いです。
■ビジネスメールにおける「ご査収の程」の役割
ビジネスメールにおいて『ご査収の程』は、単なる形式的なあいさつ以上の重要な役割を果たします。この表現を使用することで、送信者は受信者に対して文書の重要性を強調し、慎重な確認を促すことができます。
また、この表現は送信者の誠実さや丁寧さを表現する効果もあります。相手への配慮を示すことで、ビジネス関係の強化にもつながります。
ただし、使用頻度が高すぎると確認の意味が薄れる可能性があるため、状況に応じて適切に使い分けることが大切です。重要度の高い文書や正式な取引の際に使用するのが効果的でしょう。
「ご査収の程」の言い換え表現
『ご査収の程』は、状況や相手との関係性によって、より適切な表現に言い換えることができます。言い換え表現を適切に使用することで、相手への敬意を示しつつ、より自然なコミュニケーションが可能となります。
■お目通しください
『お目通しください』の『目通し』は、対象物に目を通すことを意味します。送った書類を最初から最後まで、全て見てもらいたいと考えるときには、『お目通しください』が言い換え表現として使えるでしょう。
『お目通しくださいますようお願い申し上げます』『お目通しいただけると幸いです』など、より丁寧で柔らかい表現もあります。社外や目上の人に使う場合は、丁寧な表現を心掛けましょう。
『ご査収の程』と比べると、内容をしっかり確認してほしいという意味合いは薄れますが、全てに目を通すことで内容の確認につながるため、大きな違いはありません。
■ご確認ください
『ご確認ください』は、内容を確認するよう促す言葉です。『ご査収の程』とほぼ同じ意味で使えます。
ただし、『ご確認ください』は『ご査収の程』と比較するとややカジュアルな表現です。改まった場面や、堅いビジネス文書にはそぐわない可能性があります。
社内での使用や、口頭での連絡であれば、『ご確認ください』『ご確認をお願いいたします』のような表現が使えるでしょう。
もし、確認してほしい部分が明確であれば、「お手数ですが、書類の数値部分を確認していただき、必要があれば修正の指示をいただけますでしょうか」のように、詳細を伝えるのもおすすめです。
「ご査収の程」を含む例文と使用シーン
ビジネスメールや書類送付時における『ご査収の程』の具体的な使用シーンと例文を紹介します。例文を確認することで、『ご査収の程』の使い方をマスターできるでしょう。
ビジネスメールでの「ご査収の程」の使用例
ビジネスメールでは一般的に、添付したファイルや別途発送した郵送物に対して、『ご査収の程』を使用します。主な例文を紹介します。
【ビジネスメールでの例文】
資料はPDFファイルにて添付しております。何卒ご査収の程お願い申し上げます
〇月分の請求書を添付いたしました。ご査収の程よろしくお願いいたします
本日、〇〇の書類を郵送いたしました。到着後、ご査収の程よろしくお願いいたします
メールで連絡する場合は、ファイルの添付忘れや対象物の伝え忘れに注意する必要があります。
書類送付時の「ご査収の程」を含む文例
郵便で書類を送付する際も、『ご査収の程』を使用します。
ビジネスメールとそれほど違いはありませんが、対象物が同封されていることを追記するなど、郵送ならではの気遣いが必要になるでしょう。主な例文を紹介します。
【書類送付時の例文】
請求書を同封しております。ご査収の程よろしくお願い申し上げます
ご依頼いただきました〇〇の書類を送付いたします。お手数ですが、ご査収の程お願いいたします
■「ご査収の程」を使うときの注意点
『ご査収の程』は、どのようなシーンでも使える言葉ではありません。使用時の注意点と、使わない方がよいケースについて解説します。相手に意図がうまく伝わるよう、使い方にはくれぐれも注意しましょう。
口頭では基本的に使わない
『ご査収の程』は主に書面やメールで使用され、口頭では使わないのが一般的です。口語表現では「このファイルの確認をお願いします」「書類をチェックしていただけますか」のように、伝わりやすい表現があります。
通常の会話で『査収』が使われることは、ほとんどありません。内容を正確に伝えるためにも、一般的な口語表現に言い換えると自然です。
フォーマルな場面であっても、基本的には口頭で使う言葉ではないと考えておきましょう。
内容によっては使えないケースもある
『ご査収の程』は、何らかの確認が必要なときに使われる言葉です。確認すべきものが添付されていない場合は使用しません。
また、相手が確認する必要がないものに対しても使えないため、注意しましょう。例えば、セールスのチラシや会社紹介のパンフレットなどが該当します。
そのほか、確認する対象は『相手に頼まれて作成した書類・ファイル』『相手との取引で発生した確認が必要な書類・ファイル』などが中心です。たとえ確認すべきものであっても、スケジュール確認や日時連絡などで『ご査収の程』を使うことはありません。
確認対象の書類・ファイルを指定する
メールや書面で『ご査収の程』を使う場合、複数のファイルや書類を一度に送ることも考えられます。相手が何を確認すればよいのかはっきり分かるように、何を確認してほしいのかを伝えましょう。
ファイル名や書類の名称を伝えることをおすすめします。添付ファイル・同封物に気が付かず、相手が確認できないことがないよう、配慮しましょう。
もし、特定の書類・ファイルの中で、特に確認が必要な部分がある場合は、触れる方が相手に伝わりやすくなります。
■「ご査収の程」への適切な返信方法
『ご査収の程』を含むメールや文書を受け取った際には、どのように返信すればよいのでしょうか?適切な返信方法について解説します。状況に応じた適切な返信を心掛けることで、ビジネスコミュニケーションが円滑に進むはずです。
「ご査収の程」に対する主な返信例
『ご査収の程』を含むメールや文書を受け取った際の基本的な返信例を、ケース別にいくつか紹介します。
【不備や特別な連絡事項がない場合】
ご連絡、ありがとうございます。請求書を受領いたしました
添付ファイルの内容を確認いたしました
【内容に不備があった場合】
請求書の内容を確認いたしました。〇〇の部分に問題があるようですので、お手数ですがご確認ください
メールにファイルが添付されていないようです。お手数ですが、もう一度送信していただけますでしょうか
【そのほかの返信例】
書類の内容を確認しました。〇〇の手続きを進めてください
書類の内容を確認し、担当者よりご連絡いたします
返信の際は、相手の立場や状況に応じて適切な言葉遣いを選ぶことが大切です。書類を送付してもらったことに対して、お礼の言葉を伝えてもよいでしょう。
「ご査収の程」への返信に関する注意点
メールや文書に『ご査収の程』と書かれていた場合、対象の書類の内容を確認しなければなりません。返信は内容を確認してからにするか、受け取ったことだけを伝えた上で改めて連絡するとよいでしょう。
内容を確認しないまま、確認したかのように返信するのはおすすめできません。後日不備が判明した場合、返信の際に確認していなかったのかと相手に不信感を抱かせてしまいます。
また、請求書・納品書・見積書など取引に使用する書類の場合、思わぬ損害につながる可能性もあるでしょう。金額間違いや個数の間違いによって、トラブルに発展するリスクも考えられます。
メールや書類で「ご査収の程」を使いこなそう
『ご査収の程』を正しく活用することで、納付物の確認がスムーズに進みます。メールや書類を送るときには、丁寧に確認をお願いするためにも使い方を覚えておきましょう。
ただし、納付物の種類や状況によっては、『ご査収の程』を使わない方がよいケースもあります。注意点を把握し、言い換え表現と使い分けながらコミュニケーションを取るようにしましょう。
構成/編集部