始末書と顛末書との違いは?理由書・反省文について
始末書や顛末書とは違う書類に、理由書や反省文がある。それぞれ、どのような特徴があるのか解説する。
■理由書とは?始末書・顛末書との違い
理由書とは、特定の行動や意志決定の背景にある理由を説明するための書類だ。不祥事やミスが発生した理由について記載することもあるが、必ずしも問題や失敗に関連するものではない。
「なぜこのような行動をしたのか」「なぜこのような意志決定をしたのか」「なぜこのような提案をするのか」を説明する資料という位置づけと考えればよいだろう。
例えば、新しい福利厚生制度(フレックスタイム制)の導入を提案する場合、導入を提案する理由として「社員の多様なライフスタイルへの対応」「生産性の向上」「人材確保・定着率の改善」「通勤ラッシュの緩和」などを挙げ、具体的な理由を付記すれば理由書となる。
始末書と顛末書は、不祥事やミスが発生したときに経緯を振り返り、反省することが主な目的だ。理由書は行動や意思決定の背景を説明するため、書類としての役割が異なることがわかるだろう。
■反省文とは?始末書・顛末書との違い
反省文は、従業員の個人的な問題について反省を促す書類だ。始末書や顛末書よりも個人的な点に関する報告書、と捉えればよいだろう。
なお、始末書でも個人が抱えている問題を戒めるケースはあるが、反省文はそこまで事態が重くないケースで用いられるケースが多い。例えば、軽度のミスや落ち度がある不祥事を起こしたとき、始末書ではなく反省文で済ませることがある。
例えば、情報の誤送信をしてしまったときにおける反省文として、以下のような文面が考えられる。
○年○月○日、当社の機密情報が含まれるファイルを誤って社外の取引先にメール送信してしまいました。原因は送信前の確認不足でした。今後は、機密情報を含むファイルの送信時には必ず上司の確認を得る体制を整えます。また、社内全体でセキュリティ研修を実施し、再発防止に努めます。 |
始末書・顛末書・理由書・反省文は状況に応じて使い分けられ、時には複数の書類を書くケースもある。
まとめ
始末書と顛末書は、いずれも不祥事やミスが発生したときに書く書類である点は共通している。
しかし、始末書は事態の報告に加えて当事者に反省を促す性格があるのに対し、顛末書は客観的な報告書という性格がある。また、始末書は当事者が書くのに対し、顛末書は必ず本人が書くとは限らない。
それぞれの書類がどのような役割を果たしているのか理解すれば、どのような文面にすればよいかがわかるだろう。
文/柴田 充輝(しばた みつき)
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。