高強度の持久力運動により、体脂肪だけを効果的に減らせることを示す研究結果が報告された。中年男性が7日間で1,440kmのロードサイクリングを行った結果、全身の体脂肪は9%減少、内臓脂肪は15%減少して、血圧や血清脂質にも良い影響が生じ、一方で体重はわずか1%しか減らなかったという。
体脂肪だけを減らせる持久力運動
この研究は、ラヴァル大学(カナダ)のJean-Pierre Despres氏らによるもので、詳細は「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」9月号に掲載された。論文の責任著者である同氏は、「われわれの研究結果は、肥満予防にはカロリー制限よりも、身体的に活動的なライフスタイルを促進することが重要であるという事実を裏付けている」と述べている。
また研究グループは、「人間はできるだけ食べないようにするのではなく、身体的に活動的になるように設計されていることを示す、一つのエビデンスといえる」という別の言い方で研究結果を総括している。
この研究には、50~66歳のレクリエーションレベルの男性サイクリスト11人(平均年齢60.4±4.4歳)が参加した。これらの参加者はベースライン時点において、同年齢の一般男性86人に比べて心肺機能(VO2peak)が有意に高く(+9.2mL/kg/分、P<0.0001)、皮下(-56.2mL)および肝臓(-3.3%)の脂肪量が有意に少なかった(ともにP<0.05)。
これらの参加者に対して、7日間で1,440kmのロードサイクリングを課し、その間、消費したエネルギー量を食事で十分に補充して体重が落ちないようにしてもらった。そのため、朝食と昼食はビュッフェ形式で自由に摂取可能とし、夕食は持ち帰りの弁当や菓子などを無制限に提供した。
7日後、体重は約1%減少し(-0.8±0.9kg)、BMIも低下(-0.3±0.3)したものの(ともにP<0.05)、わずかな変化に抑えられていた。それに対して、全身の脂肪量は約9%減少し(-1.5±1.0kg、P<0.001)、内臓脂肪量は14.6%減少(-14.1±14.2mL、P<0.01)、ウエスト周囲長も有意に低下していた(-3.2±1.7cm、P<0.0001)。さらに、除脂肪体重は1.2%増加し(0.8±1.2kg)、総コレステロールは20%以上低下、トリグリセライド(中性脂肪)に関しては40%近く低下し、また血圧も大幅に低下していた。
研究グループは、「これらの結果は、持久力運動によって引き起こされる影響が体重の変化にとどまらずに、体組成への好ましい影響が少なくないことを改めて強調している」と結論付けている。(HealthDay News 2024年9月20日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpendo.00098.2024
Press Release
https://www.physiology.org/detail/news/2024/09/18/endurance-exercise-without-weight-loss-may-reduce-body-fat
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構成/DIME編集部