ビジネスで活用されるフレームワークの一つに『5W2H』があります。英語の疑問詞『5W1H』から派生したもので、情報伝達やマーケティング戦略などに有効です。ビジネスで役立つ理由や具体的な活用シーン、相性の良いフレームワークなどを紹介します。
目次
5W2Hとは?
5W2Hは、英語の基本要素である5W1Hに『How much(いくらで)』を加えたものです。各要素を意識することで、情報伝達や問題解決の円滑化が図れます。5W2Hの定義と、構成要素を見ていきましょう。
■5W2Hの定義と各要素の意味
5W2Hは、以下の英単語の頭文字を取ったものです。ビジネスシーンでは、情報を効果的に整理・分析するためのフレームワークとして活用されています。
- When(いつ):時期や期限
- Where(どこで):場所や環境
- Who(誰が):行動の主体やターゲット
- What(何を):具体的な行動内容や課題
- Why(なぜ):行動の理由や目的
- How(どのように):方法や手段
- How much(いくらで):必要な予算やコスト
ビジネスでは、限られた予算で最大の成果を上げる必要があり、予算・コスト・価格といった『How much』の要素が重視されます。
■ビジネスシーンで5W2Hを活用するメリット
5W2Hを用いれば、複雑な状況や問題を体系的に整理できます。ビジネスシーンにおける主なメリットは、以下の通りです。
- 重要な情報を漏れなく伝達できる
- 実行可能な事業戦略を立案できる
- 問題の本質を見極めやすくなる
報告や連絡の際に5W2Hを意識すれば、重要な情報を漏れなく伝達できます。追加質問や確認作業の必要性がなくなり、業務効率が大きく向上するでしょう。
戦略の立案では、より具体的なアクションに落とし込めるのがメリットです。5W2Hに沿って物事を分析していくと、問題の本質が浮き彫りになり、より適切な解決策を講じられます。
5W2Hの具体的な活用シーン
5W2Hは、意思決定や問題解決の質を高め、組織全体のパフォーマンス向上に貢献します。ここでは、『事業計画の立案』『問題解決』『議事録や報告書の作成』における、5W2Hの具体的な活用方法を紹介します。
■事業計画の立案
新たな事業やプロジェクトを始める際は、計画や戦略を立てる必要があります。例えば、新商品の開発プロジェクトでは、5W2Hに沿って以下のような要素を洗い出します。
- When:開発スケジュールや発売時期
- Where:開発拠点や販売地域
- Who:メンバーと役割
- What:開発する商品の特徴や機能
- Why:商品開発の目的や市場ニーズ
- How:開発プロセスや販売戦略
- How much:開発予算や販売価格
個人の主観やその場の勢いで物事を進めようとすると、思いがけない問題によってプロジェクトが頓挫する恐れがあります。5W2Hを活用すれば、プロジェクト全体を俯瞰できる上、計画の精度が大きく向上するでしょう。
■問題解決
売り上げの減少や生産効率の低下、クレームの増加といったトラブルが生じた際は、5W2Hに沿って情報を整理します。原因や自社の課題が明らかになり、より効果的な解決策を導き出せるでしょう。
- When:問題の発生時期
- Where:問題が発生している地域や部署
- Who:責任者や関係者
- What:具体的な問題点とその影響
- Why:問題が発生している原因や背景
- How:具体的な解決策
- How much:問題解決に必要な予算とリソース
チームのプロジェクト管理で5W2Hを活用すれば、問題の特定と改善をスピーディーに行え、業務効率が向上します。
■議事録や報告書の作成
議事録や報告書の作成において、5W2Hは非常に有効なツールです。情報の抜け漏れがなくなり、読み手にとって理解しやすい文書が完成します。
- When:いつの出来事か
- Where:どこで起こったことの報告か
- Who:誰に関する報告か
- What:何に関する報告か
- Why:なぜその行為を行ったのか
- How:どのように行ったのか
- How much:量や金額はどれくらいか
議事録や報告書は、要点を押さえて簡潔にまとめる必要があります。重要な情報や決定事項を先に記載し、理由や経緯は補足事項として加えるのがよいでしょう。
5W2Hを効果的に活用するためのポイント
5W2Hを効果的に活用するには、いくつかの重要なポイントがあります。ポイントを押さえることで、ビジネスシーンでの問題解決力や情報整理能力が向上します。
■5W2Hの順番を考える
『Why(なぜ)』『What(何を)』『How(どのように)』という核心部分を最初に伝えることで、相手は情報の本質を理解しやすくなります。
その後、『When(いつ)』『Who(誰が)』『Where(どこで)』『How much(いくら)』といった補足情報を加えると、より深い理解が得られるでしょう。
例えば、新規プロジェクトの説明では、『なぜこのプロジェクトが必要か』『具体的に何をするのか』『どのように進めるのか』を先に伝え、その後で開始時期・担当者・予算などの詳細を説明します。
■多角的な視点を持つ
5W2Hの要素を考えるときは、複数の視点を意識することが重要です。例えば、『When(いつ)』には、以下のような複数の意味が含まれます。どれかが抜け落ちれば、追加質問が出たり、確認が必要になったりして、チームの業務効率が低下しかねません。
- プロジェクトの開始日
- プロジェクトの期限日
- プロジェクトの期間(スケジュール)
また、プロジェクト計画においては、5W2Hの要素を『ターゲットの視点』『開発担当者の視点』『営業担当者の視点』といった、複数の角度から評価するのがポイントです。より包括的で、実現可能性の高い計画が立案できるでしょう。
■視覚的に分かりやすくまとめる
5W2Hを活用すると、情報量が増えて混乱する人が出てきます。頭だけで整理しようとせず、メモやツールを使って視覚的に分かりやすくまとめましょう。
例えば、マインドマップやフローチャートを使って5W2Hの要素を図示すれば、情報の関連性が一目で分かり、全体像の把握が容易になります。さらに、各要素に異なる色を割り当てることで、情報の区別が付きやすくなります。
チーム内で情報共有を行う際は、リアルタイムの共有・作業が可能なデジタルツールを活用するのがおすすめです。